日本全国ガソリン高のイメージ

このままではガソリン200円時代がやってくる? 補助金縮小後の各都道府県ガソリン値上げの推移

補助金廃止後の予想価格と暫定税率廃止後の予想価格も紹介
宇野源一

2025年1月16日に、原油価格高騰に対する政府の対策である補助金が2回目の減額を受けた。それにより店頭で販売されているガソリン価格が上昇し、自動車ユーザーの家計にさらなる負担がかかっている。今回は、都道府県別に最新のガソリン小売価格を調査し、今後予想されるであろうガソリン価格について解説する。

目次

ガソリン補助金は段階的に減ると予想

政府のガソリン補助金が1月16日から5円減った。補助金が減る前の1月14日(180.7円)と補助金が減った後の1月20日時点の全国平均価格(185.1円)を見ると、約5円の値上がりをしたことがわかる。この原稿を書いている1月24日時点で、政府からの石油元売各社に支給されているガソリン補助金は約17円。今後も段階的に減らされていくことが予想される。

レギュラーガソリン1L200円の地域も! 都道府県別のガソリン価格の推移予想

そこで、現在資源エネルギー庁より公表されている、レギュラーガソリンの店頭小売価格を都道府県別にまとめてみた。下記の表は比較のために今回補助金が減額される前と後、さらに補助金が段階的に5円ずつ縮小し、最終的に廃止されたと仮定し、ガソリン価格の変動をシミュレーションしてみた。ガソリンの元となる原油の取引価格は日々変動しているため、世界情勢などを反映することで実際の価格と乖離が出るかもしれないが、直近で起こりうる可能性として参考にしていただきたい。

もし原油価格が変わらず補助金だけが完全になくなってしまった場合、レギュラーガソリンが1L200円を超える地域が出てくると予想される。補助金が完全に廃止されれば、ほとんどの都道府県で1L200円以上となる可能性が高い。日常的にクルマを使っている人にとって家計へのダメージが大きくなってしまうだろう。


都道府県別ガソリン価格の現状(2025年1月24日時点)と今後の推移予想(単位:円)

順位 地域 1/14
時点
1/20
時点
5円
上昇
5円
上昇
5円
上昇
補助金
撤廃
  全国
平均
180.7 185.1 190.1 195.1 200.1 202.1
32 北海道 178.9 183.6 188.6 193.6 198.6 200.6
42 青森 177.2 182.8 187.8 192.8 197.8 199.8
47 岩手 174.1 177.8 182.8 187.8 192.8 194.8
33 宮城 178.8 185.1 190.1 195.1 200.1 202.1
37 秋田 178.3 183.3 188.3 193.3 198.3 200.3
4 山形 186.7 191.0 196.0 201.0 206.0 208.0
17 福島 181.3 186.4 191.4 196.4 201.4 203.4
44 茨城 176.6 181.5 186.5 191.5 196.5 198.5
24 栃木 180.0 184.5 189.5 194.5 199.5 201.5
19 群馬 181.1 187.0 192.0 197.0 202.0 204.0
43 埼玉 176.8 182.5 187.5 192.5 197.5 199.5
38 千葉 177.6 182.4 187.4 192.4 197.4 199.4
12 東京 182.5 187.2 192.2 197.2 202.2 204.2
29 神奈川 179.5 183.8 188.8 193.8 198.8 200.8
35 新潟 178.4 183.1 188.1 193.1 198.1 200.1
1 長野 190.6 193.5 198.5 203.5 208.5 210.5
28 山梨 179.6 183.5 188.5 193.5 198.5 200.5
15 静岡 181.5 186.1 191.1 196.1 201.1 203.1
46 愛知 174.7 178.2 183.2 188.2 193.2 195.2
23 岐阜 180.8 185.6 190.6 195.6 200.6 202.6
26 三重 179.8 184.4 189.4 194.4 199.4 201.4
19 富山 181.1 185.6 190.6 195.6 200.6 202.6
14 石川 182.0 186.6 191.6 196.6 201.6 203.6
19 福井 181.1 185.7 190.7 195.7 200.7 202.7
25 滋賀 179.9 184.8 189.8 194.8 199.8 201.8
17 京都 181.3 186.3 191.3 196.3 201.3 203.3
35 奈良 178.4 183.5 188.5 193.5 198.5 200.5
16 大阪 181.4 187.0 192.0 197.0 202.0 204.0
40 兵庫 177.4 181.2 186.2 191.2 196.2 198.2
40 和歌山 177.4 182.0 187.0 192.0 197.0 199.0
5 鳥取 185.9 190.6 195.6 200.6 205.6 207.6
6 島根 185.6 187.9 192.9 197.9 202.9 204.9
38 岡山 177.6 182.2 187.2 192.2 197.2 199.2
30 広島 179.4 184.0 189.0 194.0 199.0 201.0
31 山口 179.2 183.2 188.2 193.2 198.2 200.2
45 徳島 176.1 181.2 186.2 191.2 196.2 198.2
13 香川 182.1 186.7 191.7 196.7 201.7 203.7
11 愛媛 182.6 186.5 191.5 196.5 201.5 203.5
2 高知 189.0 193.6 198.6 203.6 208.6 210.6
26 福岡 179.8 184.2 189.2 194.2 199.2 201.2
22 佐賀 181.0 183.5 188.5 193.5 198.5 200.5
8 長崎 185.3 190.3 195.3 200.3 205.3 207.3
34 熊本 178.7 181.6 186.6 191.6 196.6 198.6
7 大分 185.4 188.9 193.9 198.9 203.9 205.9
9 宮崎 185.2 188.2 193.2 198.2 203.2 205.2
3 鹿児島 187.5 190.8 195.8 200.8 205.8 207.8
10 沖縄 184.4 185.2 190.2 195.2 200.2 202.2

ガソリン価格が高い長野県と安い岩手県。16円の差がつく理由は?

表左側に記載している順位は、都道府県のレギュラーガソリン店頭小売価格を高い順番で並べたものとなっている。価格が高い県は上から、長野県、高知県、鹿児島県、山形県、鳥取県と続いている。

最もガソリンの高い長野県と安い岩手県の1月14日時点の価格とを比べると16円も差がある。原油価格は同じにもかかわらず、都道府県によってなぜここまで価格差が広がっているのか。それは主に「輸送コスト」によるものだ。

ガソリンを作っている製油所は沿岸部にある。それを運ぶための人件費や輸送に必要な燃料代といったコストが添加されているため、製油所から離れた内陸の地域は価格が上がりやすい。一方、ガソリンスタンド同士の価格競争が活発な地域は値下げが起こりやすいのも、価格差の要因と言える。

ガソリン価格高騰対策の切り札! 一刻も早く「暫定税率」の撤廃を求める

われわれ自動車ユーザーがガソリンに払っているお金は、「ガソリン本体+石油石炭税+ガソリン税+消費税」だ。ガソリン税は1Lあたりあわせて53.8円が課され(沖縄は軽減措置あり)、道路整備の財源を補う(道路特定財源)との名目で、このうち25.1円が暫定税率(当分の間税率)として本来の課税額に上乗せされている。

2009年4月に道路特定財源は廃止となり、使い道を問わない一般財源化されたにもかかわらず、税率は変わらないまま自動車ユーザーは大きな負担を強いられている。

ちなみに暫定税率が撤廃された場合、現在ガソリン価格が高い地域において、ガソリン価格がどのくらいまで低下するのか、その予想は以下の表の通りだ。

順位 地域 補助金廃止後の
予想価格
暫定税率撤廃後の
予想価格
  全国平均 202.1 177.0
1 長野 210.5 185.4
2 高知 210.6 185.5
3 鹿児島 207.8 182.7
4 山形 208.0 182.9
5 鳥取 207.6 182.5
6 島根 204.9 179.8
7 大分 205.9 180.8
8 長崎 207.3 182.2
9 宮崎 205.2 180.1
10 沖縄 202.2 177.1
  • 一部地域における補助金廃止後のガソリン価格と暫定税率廃止後のガソリン価格の予想(単位:円)

暫定税率が撤廃されれば、補助金が段階的に減額されている1月14日時点の価格とほぼ同じ水準となり、自動車ユーザーの負担が大きく軽減されるに違いない。また車を多く使う事業者にとっても経費削減や商品価格の値下げ、あるいは給与上昇も可能になるだろう。日本政府にはこの物価上昇を含めた状況を鑑みて、一刻も早く暫定税率を撤廃してほしい。

宇野源一

うの・げんいち 大学卒業後、大手メーカー系自動車ディーラーに就職。その後、金融業界の業務・教育支援を行う会社に転職し、法人営業に従事しながら、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP資格を取得。2018年よりライターとしても活動。FP視点でのカーライフを提案することが得意。

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