いま見ても先進的! トヨタ「セリカ・コンバーチブル」が実現した電動オープンカーの世界
スイッチひとつで開閉するパワートップを採用。日本市場に新たな価値を提示した一台セリカ・コンバーチブルは、4代目セリカをベースに開発された4人乗りの本格オープンカー。トヨタが国内で製造したベース車を米国ASCで架装する生産方式を採用し、流麗なスタイルと開放感を両立させた。
【1987年10月5日】
日米協力で実現した「セリカ・コンバーチブル」発売!
セリカ・コンバーチブルのリアビュー。ベースとなったクーペの流麗なスタイルを生かしながら、トランクルームを備えた専用のリアデザインが採用された。幌はスイッチ操作で油圧機構が作動するパワートップ
セリカ・コンバーチブルは、1980年代後半のトヨタが提案した「気軽に楽しめる本格オープンカー」を象徴する一台である。
1980年代後半、日本のスペシャルティカー市場は成熟し、スタイルや個性を重視するユーザーが増えていた。トヨタはその潮流に応えるべく、セリカ・コンバーチブルを新設定。流麗なスタイルを持つ4代目セリカ(T160系)をベースに、気軽に開放感を楽しめる本格的な4人乗りオープンカーとして登場した。
最大の特徴は、幌の開閉を油圧式で行う「パワートップ」の採用である。フロントウインドー上部のロックを外し、センターコンソールのスイッチを操作するだけで開閉でき、当時としては非常に扱いやすいオープン機構だった。
コンバーチブル専用ボディーで、リフトバックのセリカとは異なりトランクルームを備える。オープン化による剛性低下を抑えるために各部を補強し、リアスポイラーなどを装備してスポーティーで流麗な外観を実現した。閉じればパーソナルクーペの雰囲気を保ち、開けば大きな開放感を生む二面性が魅力だった。
生産方式もユニークで、トヨタが日本でベース車を製造し、米国のASC(アメリカン・サンルーフ・コーポレーション)へ輸送して架装を委託する生産方式を採用。ASCは北米で数多くのコンバーチブルを手がける専門メーカーで、その技術を取り入れることで高品質なオープン化を実現した。日米協業によって実現したユニークなモデルとして記憶されている。
搭載エンジンは2Lのレーザーα3S16バルブ(3S-FE型)。扱いやすい出力特性と経済性を両立させ、スペシャルティカーとしての快適な走りを提供した。
販売は受注生産方式で、月販100台を計画。オープンカーがまだ特別な存在だった日本市場において、セリカ・コンバーチブルは“気軽に楽しめる本格オープン”という新しい価値を提示した。
【ST162C型 トヨタ・セリカコンバーチブル(5MT)】
●全長×全幅×全高:4410×1690×1320mm ●ホイールベース:2525mm ●車両重量:1220kg ●搭載エンジン:3S-FE型(1998cc 水冷直列4気筒DOHC)
クーペをベースとしたスポーティーな運転席まわりで、メーターパネルをドライバー正面に配置し、センターにはオーディオや空調などの操作系をまとめている
ブラックを基調としたインテリアが、セリカらしいスポーティーな雰囲気を演出。4人乗車が可能で、日常の使いやすさにも配慮されていた