あなたも間違えるかも? 運転免許学科試験「誤答の原因」と攻略法
正答率50%以下も! 運転免許学科試験で多くのベテランドライバーが間違える問題とは?ベテランドライバーが運転免許学科試験に挑む、JMO特命調査団の学科試験企画。第3弾となる今回は、40~60代を中心としたドライバーが間違えてしまった学科試験問題の中でも、正答率がかなり低かった10問について出題。その正解と攻略のコツをお教えします。
ベテランドライバーほど学科試験問題がわからない?
JAF Mate Onlineで2024年8月から連載している「JMO学科試験予備校」。そこでは、毎回テーマごとに出題される学科試験問題5問に加えて、さらに挑戦したい人に向けて、オンライン試験も行っているのをご存じだろうか?
今回の設問となる10問は、このオンライン試験での正答率がおおむね6割以下となったもの。試験に挑んだベテランドライバーの多くが戸惑い、悩み、そして間違った答えにたどり着いてしまった、いわゆる「難問」の部類に属するものだ。
ベテランドライバーでも解けない学科試験問題などと聞くと、どうせ重箱の隅をつついたような「実際の運転にはほとんど関係ない!」ことだと思い込んでしまいがちだ。ところが、今回の設問を見ると、交差点の曲がり方や標識の意味、制限速度、乗車定員といった、普段の運転で当たり前のように必要なことが並んでいる。これはもしや運転技術に長ける反面、運転に必要な知識がアップデートされていないという、ベテランドライバーゆえの落とし穴なのか?
この由々しき事態とも言える状況についての解決策を探るべく、JMO学科試験予備校の監修でおなじみ、自動車運転免許研究所の長信一先生に話を聞いた。
自動車運転免許研究所の長信一先生
知識不足ではなく「キーワード」の見落としが誤答につながる
長先生: 私は今回の設問となった学科試験問題について、「難問」とは思っていません。オンライン試験で間違えてしまったドライバーの皆さんも、おそらく正しい知識を持ち合わせていると思いますよ。ではなぜ正解にたどり着けなかったのか、そこに学科試験問題を解く上での攻略の秘訣があるのです。それは、ズバリ文中にある「キーワード」を見つけることです!
設問は、出題者が何について質問し、どう判断・行動すべきかを聞いています。それに対して解答者は、自分が運転していることを想定して、その判断や行動が正しいか否かを判断します。そこでは設問の意図を正しく理解することが重要です。その攻略のポイントになるのが、問題文にさりげなく書かれたキーワードを見落とさないということです。
これからそれぞれの設問にあるキーワードをそっと教えますので、皆さんもチャレンジしてみてください。
この標識何だっけ? 横断歩道に近づいたら必ず徐行?【難易度☆☆☆】
最初の設問は、意外と紛らわしい道路標識の意味や、横断歩道に近づいたときのルールから3問出題。正答率は6割程度と、難易度としては星3つといったところ。長先生のヒントをよく読んで、標識の混同やルールの例外の有無に注意しつつ、全問正解したいところだ。
【正答率63.1%】問題: 図の標識は、この先に横断歩道があることを表している。
【キーワード】横断歩道がある
【ヒント】この標識とよく似た図柄の標識がほかにもありますね。警戒標識とは、道路上の危険や警戒すべき情報などを前もって運転者に対して知らせ、注意を促すもの。指示標識とは、特定の交通方法ができることや、道路交通上で決められた場所などを指示するものです。この色と形の標識が何を意味しているのか、よく考えましょう。
-
正解: ×
解説: 図の標識は「学校、幼稚園、保育所などあり」を表している警戒標識です。この先に学校、幼稚園、保育所などがあることを示しています。
【正答率61.2%】問題: 図の標識のあるところでは、自動車や一般原動機付自転車は進入できないが、自転車であれば進入できる。
【キーワード】自転車
【ヒント】図の標識は、一方通行の出口などに設けられ、車両は標識の方向からは進入することができません。車両には軽車両も含まれますが、軽車両には自転車も含まれますか?
-
正解: ×
解説: 図の標識は「車両進入禁止」を表している規制標識です。自転車を含むすべての車両は、標識の方向からは進入できません。
【正答率60.5%】問題: 横断歩道に近づいたとき、横断する人や横断しようとしている人が明らかにいない場合でも、車はその手前で停止できるように速度を落として進まなければならない。
【キーワード】人が明らかにいない場合
【ヒント】横断する人や横断しようとしている人がいるかいないか明らかでない場合は、停止できるように速度を落として進みます。しかし、そうした人が明らかにいない場合も同様でしょうか?
-
正解: ×
解説: 横断する人や横断しようとしている人が明らかにいない場合は、そのまま進むことができます。
子供5人は大人何人? 右折のときは道路のどこを走る?【難易度☆☆☆☆】
続いての設問は、クルマの乗車定員や走行中のトラブル、一部の普通免許でも運転可能な中型トラック、交差点の正しい右折方法から4問出題。正答率は5割前後でばらつきがあるが、難易度としてはおおむね星4つ。文章題の計算ミスや問題文の強調表現に惑わされないよう注意しよう。
【正答率54.5%】問題: 乗車定員5人の普通自動車に、運転者のほかに、大人1人と12歳未満の子供5人を乗せて運転した
【キーワード】12歳未満の子供5人
【ヒント】12歳未満の子供は、3人を大人2人として計算します。残った子供は、大人として数えますが、合わせて何人になりますか?
-
正解: ×
解説:運転者を含めた大人2人を除くと、残りの定員は大人3人なので、この場合、子供は4人(計算上は大人2人と子供1人)までしか乗車できません。
【正答率48.8%】問題: 四輪車で走行中、エンジンの回転数が上がった後、故障などにより下がらなくなったときは、すぐにフットブレーキを踏んで車を止める。
【キーワード】すぐにフットブレーキ
【ヒント】故障によりエンジンの回転数が下がらなくなったとき、動力がクルマに伝わらないようにするにはどうするのが一番よいでしょう?
-
正解: ×
解説:まずギアをニュートラルにしてエンジンからの動力を切り、つぎにフットブレーキを踏んで安全な場所へ車を停止させ、最後にエンジンを切ります。
【正答率48.6%】問題: 図の標識がある高速道路において、中型貨物自動車の最高速度は、すべて時速100kmである
【キーワード】すべて時速100km
【ヒント】中型貨物自動車は車両の大きさや乗車定員により、特定中型貨物自動車とそれ以外の中型貨物自動車に分けられます。「すべて」という強調語には要注意。
-
正解: ×
解説: すべてではありません。特定中型貨物自動車(車両総重量8t以上、最大積載量5t以上、または乗車定員11人以上の中型貨物自動車)は時速90kmで、それ以外の中型貨物自動車は時速100kmです。
【正答率45.3%】問題: 自動車で交差点を右折しようとするときは、あらかじめできるだけ道路の中央に寄り、交差点の中心のすぐ内側を徐行しながら通行しなければならない。
【キーワード】道路の中央に寄り
【ヒント】交差点を左折するときは、あらかじめできるだけ「道路の左端に寄り」ます。右折するときは、あらかじめできるだけ「道路の〇〇に寄り」ます。ただし、一方通行の道路では「道路の右端に寄り」ます。
-
正解: 〇
解説: 交差点を右折するときは、あらかじめできるだけ道路の中央に寄り、交差点の中心のすぐ内側を徐行しながら通行します。
高速道路の最高速度は時速何km? チャイルドシートは何歳まで義務?【難易度☆☆☆☆☆】
これまで数々の難問に挑んできた皆さん、いよいよ最後の設問です。高速道路の最高速度やチャイルドシートのルール、正しいホーンの使い方について、3問出題。正答率は3~4割以下と、つまり6~7割のベテランドライバーが間違えた結果に。難易度は星5つと、まさに難問中の難問と言っても過言ではありません。ヒントを頼りにいざチャレンジ!
【正答率39.7%】問題: 標識や標示で最高速度が指定されていない高速自動車国道の本線車道で、道路の構造上往復の方向別に分離されていない区間での普通自動車の最高速度は、時速60kmである
【キーワード】往復の方向別に分離されていない区間
【ヒント】普通自動車の高速道路での法定最高速度は、時速100kmです。ただし、本線車道が道路の構造上往復の方向別に分離されていない(対面通行)区間では、スピードの出しすぎによる事故が多くなっています。
-
正解: 〇
解説: 設問の道路での最高速度は、一般道路と同じく時速60kmです。
【正答率36.6%】問題: 12歳未満の子供を四輪車に乗せるときは、病気などでやむを得ない場合を除き、チャイルドシートを使用させなければならない。
【キーワード】12歳未満の子供
【ヒント】チャイルドシートは身長が150cm未満の子供は着用するように推奨されていますが、着用義務がある年齢の平均身長とは大きく異なる点に注意しましょう 。また、病気などでやむを得ない場合は、着用を免除されます。
-
正解: ×
解説: チャイルドシートが義務付けられているのは、6歳未満の乳幼児です。
【正答率27.3%】問題: 図の標識のあるところでは、見通しのよい交差点であっても、警音器を鳴らさなければならない。
【キーワード】見通しのよい交差点
【ヒント】「警笛鳴らせ」の標識だけなら、見通しがよい悪いにかかわらず警音器を鳴らさなければなりません。しかし、その下に「区間内」の補助標識が付くと、鳴らす場面が限定されます。
-
正解: ×
解説: 「警笛区間」を表します。この標識のあるところで、「見通しのきかない交差点」「道路の曲がり角」「上り坂の頂上」を通行するときは、警音器を鳴らさなければなりません。
出題意図が隠されたキーワードを手掛かりに、正しい知識の習得を
いかがでしたでしょうか? このように攻略のポイントになる「キーワード」を正しく見つけることができれば、難問といっても決して難しいことはありません。しかし、このキーワードを間違えると、出題者の意図とは異なった判断をすることになるので注意が必要です。
運転免許の学科試験では「ひっかけ問題が出た」とか「いじわる問題が出た」などのコメントもよく耳にしますが、本当にそうでしょうか。その方々にお聞きしますが、「ひっかけ」とか「いじわる」と感じてしまった文言はどこでしたか? 実は、それこそが正解に導くための「キーワード」なのです!
運転免許の学科試験は、運転に必要な知識とルール、マナーを判定するのが目的です。着目してもらいたい意図があって、問題を出題しています。まず問題文をじっくりと読んでから「キーワード」を探せば、ケアレスミスは防げるはずです。学科をしっかり学んで、運転に必要な知識を正しく理解し、交通安全を守る優良ドライバーを目指しましょう。
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