この春に免許を取りたいあなたへ! 自動車学校元教官が教える「運転免許最短取得のコツ」
S字・クランク・縦列駐車など、難関ポイントの攻略法を解説3月から4月にかけて、全国の自動車教習所ではひっ迫した繁忙期を迎えています。高校生や大学生、そして新社会人の方々が、できれば入学や入社に間に合うようにと運転免許の取得に挑戦しているからです。中でも普通免許(普通自動車第一種運転免許)はもっともニーズの高い運転免許で、18歳以上になれば多くの方が取得したいと思うポピュラーな国家資格のひとつです。そこで、みなさんが念願の運転免許をいち早く取得できるように、自動車学校元教官で自動車運転免許研究所 所長の長 信一さんが、免許取得のコツとポイントを説明します。
教習所内の難関ポイント! S字カーブとクランク攻略のコツ
最初に、もっとも一般的な取得方法として、普通オートマチック(AT)車限定免許を指定自動車教習所に入所した場合の例を紹介します。免許取得までの全体的な流れは以下のとおりです。
全国には1291校(2023年時点)の指定自動車教習所があり、入所してすべての課程を履修すれば卒業証明書が交付されます。これを持って運転免許試験場(免許センター)に行き、適性検査と学科試験に合格すれば運転免許証が交付されます。
まず第1段階となる仮免許の学科教習と教習所内での技能教習で大切なポイントを説明します。
・学科教習: 最初に先行学科(オリエンテーション・適性検査など)を受けてから、10時限の学科教習を受講します。教習所の教室で授業を受けるのが一般的です。しっかり講話を聞いていれば交通ルールやマナーの知識は簡単に理解できるはずです。最近は、オンライン授業を行っている学校も増え、自宅でスマートフォンやタブレットから授業を受けられるシステムもあります。
・技能教習: 12時限の技能教習を受講します。初めての運転で緊張しますが、指導員の話をよく聞いて操作すれば大丈夫です。ここで重要なのは車両感覚を身につけることですが、これが難題です。車の大きさや運転者の体格により運転席からの見え方が異なるのと、運転中は車体の大きさをつかむ、これといった目印を把握しにくいからです。
そこで道幅の狭いS字やクランクを通過することで車体の大きさを体得し、徐々に車両感覚のコツを身につけていくのです。そのポイントとなるのがS字とクランクコースの通過方法です。
① S字: 道幅3.5mの狭い道をゆっくりと通過します。ゆっくりとした速度を保つには、AT車特有のクリープ現象(アクセルを踏まなくても車が進む現象)を利用します。ブレーキペダルに足を乗せたまま、ブレーキの踏み加減で低速を保ちます。
左カーブのポイントは、右前輪を外側のカーブに沿うように誘導することです。これはハンドルを左に切ると内輪差により、左後輪が内側のカーブに接近し過ぎるのを防ぐためです。反対に、右カーブのポイントは、左前輪を外側のカーブに沿うように誘導することです。これはハンドルを右に切ると内輪差により、右後輪が内側のカーブに接近し過ぎるのを防ぐためです。
②クランク: 道幅3.5mの狭い道に加え、要所要所に立体障害物(ポール)があります。S字と同様にクリープ現象を利用し、ブレーキペダルで速度を調整しながら走行します。
右クランクのポイントは、道路の左側に寄せるところです。これはハンドルを右に切ると、内輪差により右後輪が内側の角に接近し過ぎるのを防ぐためです。クランクの内側の延長上に前輪の車軸が並んだら、ハンドルを右に切ります。その後左前部がボールに接触しないように注意します。
反対に、左クランクのポイントは、道路の右側に寄せるところです。これはハンドルを左に切ると、内輪差により左後輪が内側の角に接近し過ぎるのを防ぐためです。クランクの内側の延長上に前輪の車軸が並んだら、ハンドルを左に切ります。その後右前部がボールに接触しないように注意します。
学科試験突破の鍵は問題の反復学習!
つぎに第2段階となる本試験の学科教習と路上での技能教習で大切なポイントを説明します。
・学科教習: 16時限の学科教習を受講します。第1段階に続き、運転に必要な交通ルールやマナーを学びます。例えば、駐停車の方法や禁止されている場所、高速道路での運転に必要な知識など、より実践的で広範囲の内容を学びます。第1段階と同様に、教習所の教室で授業を受けますが、自宅でオンライン教習を受けられる教習所もあります。
第1段階では仮免許学科試験がありましたが、第2段階では学科試験はありません。ですので最終的な本試験となる、運転免許試験場で受験する学科試験に合格できるようにするため、教習所で配られる学科試験問題のプリントを数多く解くことが重要です。
書店で学科試験問題集を購入して、自習しておくのも効果的です。教習所によっては、コンピューターを使った学習機を利用して試験対策するところもあります。
学科試験問題集の例(提供=自動車運転免許研究所)
学科試験問題などがe-ラーニングで学べる学習機の例(提供=株式会社ノイマン)
無事教習所を卒業すれば、あとは運転免許試験場に行って学科試験を受けることになります。
路上で大切な「方向転換」と「縦列駐車」をマスター
・技能教習: 19時限の技能教習を受講します。いよいよ路上教習が始まります。第1段階では場内での運転操作を基本とした教習でしたが、これからは実際の道路を走行しての教習になります。もちろん、歩行者や自転車に注意しながら、他の車への配慮も忘れてはいけません。
その他、教習所内での方向変換や縦列駐車など、より実践的な運転操作も学びます。これから方向変換と縦列駐車のコツをつかむためのポイントを紹介します。
① 方向変換: 一般的な車庫入れのような課題ですが、バックで敷地に入り、いったん向きを変え、敷地から出てくるまでの動作を教習します。車庫入れと大きく違うポイントは、敷地に車を入れる際に、出口方向に余地を残しておくところです。車庫入れであれば中央に入れますが、出口方向に余地がないと、幅寄せをしなければ出られなくなってしまいます。
右バックで方向変換する場合、まず右側に入れる場所をよく確認します。それからゆっくりと約1車長(車1台分の長さ)以上進んでから車を止めます。周囲の安全確認をした後、ハンドルを右に切りながらバックします。このとき、右後輪が右側の縁石に沿うように入れるのがコツです。その後、車体が平行になるようにハンドルを戻します。停止するときは、車の後端がポールに触れないよう注意が必要です。
② 縦列駐車: 一般道路でよく使われる駐車方法です。免許取得後も路上駐車をする際に必要な手順なので、しっかりと練習しておきましょう。
まず、左幅を約1m空けて駐車場所の真横(C地点)に進入し、左側の駐車場所をよく確認します。それからゆっくり前に進み、出口の端(A地点)より約1車長以上進んでから車を止めます。周囲の確認をしてからバックし、後端がA地点と並んだらハンドルを左に切ります。
その後、ゆっくりバックしながら車体の右側面の延長線上をよく見て、B地点と一致するようにハンドルを戻します。そのままバックし、車体の左角がA地点を通過したらハンドルを右に切ります。車体がAとCを結ぶライン(仮想線)の内側へ平行に入ったら停止します。うまく入らない場合は、もう一度やり直して入れましょう。
ポイントをしっかり押さえて、合格まで一直線!
学科と実技のコツとポイントは、いかがでしたか。
・学科は模擬試験問題をたくさん解いて出題傾向をつかむこと
・実技はS字や方向変換などをしっかり練習して車両感覚をつかむこと
このように要点をつかんでおけば、運転免許の取得はそう難しいものではありません。また、教習所は初めて免許を取る方をお客様として温かく迎え入れてくれます。わからないことや難しいことなどがあったら、ぜひとも遠慮なく相談してみてください。念願の運転免許取得までもう少し。ゴールはすぐ目の前です。がんばりましょう!
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長 信一
ちょう・しんいち 1962年生まれ。1983年、都内の自動車教習所に入社し、学科や実技の指導員に。24歳のとき、全種類の運転免許証を完全取得。教習生への親身な指導をモットーに普通免許、自動二輪免許、第二種免許など数多くの合格者を送り出した。現在は自動車運転免許研究所の所長として運転免許関連の書籍を執筆。その数、実に200冊以上。
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