• トップ
  • 自動車
  • 特集
  • 車検や毎年の自動車税、住所変更など、クルマを所有しているときに必要な手続きと費用とは?
クルマの購入時に必要な手続きや費用をご存じですか?|特集
文=萩原文博/監修=丸山晴美

車検や毎年の自動車税、住所変更など、クルマを所有しているときに必要な手続きと費用とは?

知らないと損するクルマの手続きと費用AtoZ【クルマの所有時編】

クルマを所有していると、駐車場代やガソリン代などの維持費のほか、車検、税金、任意保険など定期的に発生する手続きや費用があります。ここでは定期的に必要な手続きと費用について、節約アドバイザーが詳しく紹介していきます。

目次

毎年支払いが必要になる費用とは?

ガソリン代や駐車場代などは使用頻度などによりまちまちですが、毎年支払いが必要な税金や任意保険料をはじめ、定期的にやってくる車検のほか、引っ越しをすれば免許証や車検証の住所変更の手続きなどが必要になってきます。そんなクルマ所有時に必要になる手続きと費用のうち、まずは毎年支払う税金と任意保険(自動車保険)について説明します。

●自動車税/軽自動車税(自動車税種別割)

毎年支払う自動車の費用として挙げられるのが、自動車税/軽自動車税(自動車税種別割)です。自動車税は、4月1日現在の自動車の所有者として自動車検査証(車検証)に登録されている人が納める税金です。ただし、割賦(ローン)販売などで売主が自動車の所有権を留保している場合は、使用者として車検証に登録されている人が納めます。

自動車税の納め方は、5月上旬に送付される納税通知書で、5月末日(納期限)までに支払います。また自動車を譲り受けたときや、廃車にした場合は、運輸支局または自動車検査登録事務所で移転登録(名義変更)や抹消登録をすることになりますので注意しましょう。

●自動車税の詳細はこちら(東京都主税局)

自動車税/軽自動車税の金額一覧表

●任意保険(自動車保険)

任意保険(自動車保険)も毎年支払いが必要な費用です。自動車の保険は大きく2種類に分けることができます。1つは、クルマを使用する際に加入が義務づけられている自賠責保険です。もう1つが任意保険です。その名の通り「強制」ではなく「任意」で加入する保険ですが、自賠責保険の補償ではカバーできない部分を補うものとして、クルマを所有するならば加入すべき保険です。

最近では死亡事故を起こすと、1億円を超える賠償額を請求されることもあります。自賠責保険は被害者の人身損害を補償するもので、その補償額は3000万円まで(被害者1名あたり)なので足りません。また、ガードレールや他人のクルマを壊してしまうと自賠責保険では補償されませんが、任意保険に加入していれば、契約内容により物損をはじめ運転者や同乗者が死傷した場合でも補償されます。保険金額はタイプにより異なるので確認しておきましょう。

事故のイメージ写真

自賠責保険は被害者の人身損害に対してのみ支払われる保険であり、物損には支払われないので、任意保険でカバーするのが常識となっている

車検のときに必要になる書類と費用とは?

新車の場合は3年目に、それ以降は2年ごとに行うのが車検です。正式には「自動車検査登録制度」と言い、クルマが保安基準を満たしているかを検査する制度です。クルマの各機能が正常に作動するか、排気ガス規定を満たしているかといった安全性や公害防止性能などをチェックします。基準に満たない場合は、整備をして再度検査を受けなければなりません。車検が法律で義務付けられているのは、ミニカーや小型特殊自動車以外の自動車、排気量が250ccを超える二輪車です。また、車検には有効期間があり、期限切れのクルマは公道を走行できません。

車検費用は、大きく「法定費用」と「車検基本料金」に分けられます。自動車重量税や自賠責保険料などを合計した法定費用は、車検を受ける場所を問わず一定ですが、車検基本料金は車検業者や整備内容によって変わります。車検基本料金は、点検費用、整備費用、事務手数料を合わせたもので、車検業者の人件費なども含まれるため、受ける場所によって違いが出るのが特徴です。

自動車整備工場のイメージ写真

車検は検査場だけでなく、指定工場と呼ばれる整備工場でも行うことができる

●車検時に必要な書類など

・車検証(自動車検査証)
・自賠責保険(共済)証明書
・自動車税納税証明書
・印鑑

納税証明書の電子化に伴い、車検時の納税証明書の提示が原則として省略できるようになりました。以前は登録車だけでしたが、2023年1月より軽自動車用のシステムがスタートしています。ただし、コンビニなどで自動車税を納付後すぐに継続検査を受ける場合や、自動車税の滞納がある場合、納税証明書の電子化に対応していない地域の場合は納税証明書が必要になります。印鑑は、クルマを個人で所有している場合や継続検査申請書に自筆で署名している場合は不要です。

●車検時に発生する費用

(1)自動車重量税

車両の重量と車検期間によって納める金額が異なる税金です。自動車重量税は1年ごとにかかる税金ですが、新規登録時や車検時にまとめて支払います。エコカー減税により、環境性能の高い次世代車などの対象車は免税や軽減がされますが、新規登録から13年、さらに18年が経過したクルマは段階的に税率が高くなります。軽自動車の重量税は、車両重量にかかわらず年間3,300円(自家用)です。

●自動車重量税の詳細はこちら(国土交通省)

自動車重量税の金額一覧表

(2)自賠責保険(共済)料

自賠責保険(共済)料は法定費用の一部に含まれ、クルマを所有する際には必ず入らなければならない保険(共済)です。加入していないと公道を走行できません。基本的には次の車検までの期間に応じた加入月数になり、それに応じた保険(共済)料を支払います。新車の場合、自家用乗用車は24,190円、軽自動車は24,010円(ともに37か月分)です。

自賠責保険(共済)は人身事故の場合のみ被害者に補償され、事故による運転者自身のケガや物損の補償はありません。補償金額は傷害が120万円まで、死亡が3000万円まで、重度の後遺障害が4000万円まで。

●自賠責保険に関する詳細はこちら(一般社団法人日本損害保険協会)

自賠責保険料の一覧表

継続車検を行う場合は、24か月契約を行うのが一般的(表は2025年2月末現在の金額)

(3)継続検査印紙代

継続検査印紙代は、国に支払う検査登録印紙と自動車審査証紙の2種類があります。新車販売店などの指定工場に車検を出す場合は、普通車・小型車ともに1,800円(軽自動車は1,600円)です。検査場に自動車を持ち込んで検査を行う持込検査(ユーザー車検)は、普通車が2,300円、小型車が2,200円。軽自動車は2,200円になります。

●継続検査印紙代に関する詳細はこちら(国土交通省)

継続検査印紙代の一覧表

(4)車検基本料

車検を出す場所は、新車販売店、整備工場、カー用品販売店、ガソリンスタンドなどがあります。車検の基本料金は点検、整備費用、事務手数料を合わせた金額で、同じ自動車でも依頼する場所によって変わります。

(5)代行手数料

車検の代行手数料とは、新車販売店や整備工場などに車検の代行を依頼する際にかかる手数料のことです。店によっては「車検代行料」や「検査手続き代行料」など、呼び名が異なることがあります。代行手数料の内訳は、手続きに必要な書類の作成料、有効な車検証を発行してもらうための手数料などです。代行料や何を代行手数料とするかは店によって異なるため、費用や内訳を把握するためにも事前に見積りを取ったほうがいいでしょう。

クルマを整備しているイメージ写真

税金などの法定費用はどこに出しても同じだが、点検費用などは依頼先によって異なっている

引っ越しで住所が変わったときは、どんな手続きが必要?

まずは速やかに運転免許証の住所変更を行う!

引っ越しをして住所が変わったら、できるだけ早く運転免許証の住所変更を行う必要があります。道路交通法第94条第1項にも「変更を生じたときは、速やかに住所地を管轄する公安委員会に届け出」の必要があると定められています。具体的な期限は定められていませんが、できるだけ早く行う必要があります。道路交通法第121条第1項には、「次の各号のいずれかに該当する者は、2万円以下の罰金又は科料に処する」とあり、同条第1項第10号には、免許証の記載事項の変更届出等が含まれています。

運転免許証の住所変更は、新住所を管轄する運転免許試験場や運転免許センター(一部地域では運転免許更新センター)、警察などで手続きを行います(土日・祝休日・年末年始は休み)。なお、運転免許試験場では日曜日も手続きが可能です(土・祝休日・年末年始は休み)。混雑していなければ、10分程度で変更作業が完了します。住所変更手続きに手数料はかかりませんが、窓口に必要書類を提出する必要があります。

運転免許証の写真

引っ越しをした場合は、速やかに運転免許証の住所変更を。これを行わないと自動車に関する変更の手続きがスムーズに行えないからだ

●運転免許証の住所変更手続きに必要な書類など

(1)運転免許証

旧住所が記載された運転免許証は必ず持参してください。手続きを終えると免許証に埋め込まれたICチップ内のデータが書き換えられ、免許証の裏面に新しい住所が記載されます。

(2)運転免許証記載事項変更届

運転免許証記載事項変更届は、警察署や運転免許(更新)センター、運転免許試験場の窓口に備え付けられています。東京都など地域によっては、各警察のウェブサイトでダウンロードすることもできますので、あらかじめ記載を済ませておけば手続きにかかる時間を短縮できます。

(3)新住所が確認できる書類

氏名と新住所が確認できる書類として認められるのは、マイナンバー未記載の住民票、マイナンバーカード、健康保険証、消印付き郵便物、公共料金の領収書などです。転居届け後にすぐ入手できる住民票が確認書類として最適です。そのため引っ越したら、まず住民票を移しておいたほうがいいでしょう。その際、マイナンバーカードの電子情報も変更しておくと、コンビニのマルチメディア端末から住民票を取得できるようになり、便利で発行手数料も窓口よりもお得です。

運転免許証の記載事項変更手続きは、本人が行うことが原則です。しかし、やむを得ない理由で本人が手続きできない場合、本人と同一世帯の方であれば代理で手続きが可能です。その際は、上記の3つの書類に加えて、本人と代理人が併記された住民票の写しと、代理人の身分を確認できる書類も必要になります。また、地域によっては委任状が必要になる場合がありますので、事前に確認しておくようにしましょう。

15日以内に車検証と車庫証明を変更しないと罰金!?

引っ越しをして住所が変わった場合は、車検証や車庫証明なども住所変更をする必要があります。 車検証の変更は引っ越し完了日から15日以内、車庫証明の変更は自動車の保管場所を変更してから原則15日以内にしなければなりません15日以内に車検証の住所変更をしなかった場合50万円以下の罰金を、車庫証明を変更しなかった場合10万円以下の罰金を科せられる可能性があるため、早めに手続きをしましょう。なお、軽自動車の車検証の住所変更手続きは、軽自動車検査協会などで行います。

車検証の変更は管轄の運輸支局で、車庫証明の手続きは新しい住所を管轄する警察署で行います。いずれも自動車保有関係手続きのワンストップサービス(一部地域を除く)を利用してオンラインで行うことも可能です。

車検証は名義変更手続きを行います。これはクルマの所有者の住所や氏名が変わった際に行う手続きで、正式には「移転登録」と言います。販売店で自動車を購入した場合は、販売店側に手続きを代行してもらうのが一般的です。しかし、家族や知人からクルマを譲り受けた場合やネットオークション、個人売買などでクルマを購入する場合は、自分で名義変更を行う必要があります。この移転登録が行われていないと、車検や廃車の手続きをすることができません。

●車庫証明の申請に必要な書類と費用はこちらをチェック!

ナンバープレートのイメージ写真

引っ越した先が同じ運輸支局の管轄内ならナンバー変更は不要だが、車検証や車庫証明などの住所変更は必要

結婚して名前が変わった場合も手続きが必要?

結婚して姓が変わった場合や改姓した場合は、引っ越しした場合と同様に運転免許証の記載事項を変更する必要があります。クルマを所有している場合は、車検証の名義変更も行う必要があります。車検証については道路運送車両法第12条で、その内容について変更があったときには申請する必要があると定められています。

車検証のイメージ写真

結婚をして姓が変わった場合も運転免許証および車検証の名義変更が必要になる

クルマを譲ってもらったときに必要な手続きは?

自動車を親戚や友人などから譲ってもらった場合も、名義変更(移転登録)を行う必要があります。名義変更の手続きは自動車の新所有者の地域を管轄する運輸支局(軽自動車の場合は軽自動車検査協会)に必要書類を提出する必要があります。なお、新しく所有する人だけでなく、旧所有者も用意する書類があるので注意が必要です。

また、名義変更手続きに必要な書類のなかには、発行までに1週間ほどかかるものもあるため、事前に書類の準備をしておく必要があります。また、 名義変更手続きは引き渡しがあった日から15日以内 に行うように定められており、自分で名義変更をする場合はスケジュール管理が大変です。名義変更の手続きは手間がかかるため、自動車販売店や行政書士などに相談するとよいでしょう。

普通車・小型車の名義変更手続きを自分で行った場合の事務費用は、合計で4,000~5,000円程度です。内訳は、移転登録手数料(印紙代)が500円、車庫証明書の取得費用が2,000円前後、クルマを使用する管轄地域が変わる場合は、ナンバープレート代として1,500円前後がかかります。軽自動車の場合は事務手数料が無料のため、必要なのはナンバープレート代の1,500円前後のみです(地域によって車庫証明書の取得費用がかかる)。

●普通・小型自動車の名義変更に必要な書類

普通自動車の名義変更に必要な書類

●軽自動車の名義変更に必要な書類

軽自動車の名義変更に必要な書類

節約アドバイザー:丸山晴美

丸山晴美さんの顔写真

まるやま・はるみ ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー。22歳のときに節約に目覚め、一人暮らしをしながらも1年で200万円を貯め、26歳で住宅を購入した経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年に節約アドバイザーとして独立。食費や通信費など身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを執筆、監修している。著書に『シングルママの「お金に困らない」本』『50代から知っておきたい!年金生活の不安、解消します(共著)』など多数。

OSSを使って自分で手続きを行いコスト削減

自動車を保有するためには多くの手続きと税・手数料が必要です。これらの手続きをインターネット上で一括して行えるのが、自動車保有関係手続きのワンストップサービス(OSS)です。インターネットにつながる環境であれば、24時間365日いつでも申請することができるため、さまざまな手続きが一度にできます。また、自身で申請を行うことで代行費用を節約することもできます。マイナンバーカード(電子証明書付き)など必要な書類を手元にそろえてチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

ただし、一部の手続きでは、ステッカー、車検証などの受け取りや書類の提出等で各行政機関に出向く必要がある場合があるので、確認しておきましょう。

●ワンストップサービス(OSS)の詳細はこちらをチェック!

この記事はいかがでしたか?
この記事のキーワード
あなたのSNSでこの記事をシェア!
  • トップ
  • 自動車
  • 特集
  • 車検や毎年の自動車税、住所変更など、クルマを所有しているときに必要な手続きと費用とは?