• トップ
  • 自動車
  • 特集
  • R32、NSX、AE86…ネオクラ世代の“これから”は? 復刻パーツとレストア支援が広がる現場
ノスタルジック2daysの会場風景
国産車を中心とした268台もの旧車が集まり、2日間で4万5000人以上(昨年比約107%増)という来場者が訪れたノスタルジック2days
文・写真=高橋陽介

R32、NSX、AE86…ネオクラ世代の“これから”は? 復刻パーツとレストア支援が広がる現場

30〜40年選手でも乗り続けたい人へ。メーカー支援の最新動向と、修復に強いディーラーの増加傾向

今年も盛況のうちに幕を下ろした、パシフィコ横浜でのノスタルジック2days。懐かしのクルマたちがひしめき合うなか、注目を集めていたのが新車のようにレストアされた車両や復刻パーツなどを揃えた自動車メーカーのブース。「大切な愛車を長く乗り続けていきたい」という旧車ユーザーの気持ちに寄り添うべく、各メーカーの間ではさまざまな取り組みが進められているようです。

目次

80年代〜90年代初頭のネオクラ車に向けた
自動車メーカーによるパーツ再販が本格化

スプリンタートレノの車体全景

会場内のGAZOOレーシングのブースに展示されていたAE86スプリンタートレノ。ネオクラ世代の中でも特に人気の高いクルマで、茨城県のGR Garage水戸けやき台店のスタッフの手により新車さながらの状態まで修復が行われていた

かつては一部の熱狂的マニアだけのものという印象も強かった旧車の世界。しかし昨今では漫画や映画、SNSなどの影響もあり、その裾野は20代、30代の年齢層まで広がりを見せています。

この流れを牽引しているのが80年代から90年代初頭にかけて販売が行われていたネオクラ(ネオクラシックの略)と呼ばれる時代のスポーツモデル。BNR32型以降の日産スカイラインGT-Rやホンダ・NSX、トヨタ・スープラ、トヨタ・スプリンタートレノ/カローラレビン、ユーノス(現マツダ)・ロードスターなどがその代表格とされ、中古車市場では新車当時の販売価格を大きく超えるプライスボードが付けられている例を目にすることも珍しくありません。

とはいえ、旧車のカテゴリー内では比較的年式が新しめとされているネオクラ車も生産から30〜40年という時間が経過していることから、短時間の試乗や見学だけで個体のコンディションを見極めることは困難。見た目は状態が良さそうな個体でも思わぬトラブルが発生したり、その修理のために必要なパーツが供給終了になっていたりと、維持していくためにはそれなりの心構えが必要とされるのは否めないところ。

そんな現状を解決するための一手として期待されているのが、自動車メーカーによる旧車ユーザー支援に向けた動き。供給終了となっていたパーツの復刻再販や本格的なレストアサービスなど内容はそれぞれ異なりますが、長い間愛されて来た名車を次なる世代へ、という視点に基づいた取り組みに拡充の兆しが見えつつあるのは旧車ファンにとって何より心強い話。そこで今回は、ノスタルジック2daysの会場内で目にした各メーカーの現状にスポットを当ててみました。

HONDA
限りなく新車時の状態へと近づけるレストアサービスを開始

会場内ホンダブース

1993年から初代NSXを対象とした「リフレッシュプラン」を開始するなど、自動車メーカーによる旧車ユーザーサポートの分野においては草分け的存在と言えるホンダ。同プログラムは2025年夏に終了したが、2026年春からは「Hondaレストアサービス」としてサービス内容をさらに強化。各種補修用パーツの販売に加え、新車レベルまでの完成度を目指したレストアメニューも用意されている。

ホンダブースに展示されていた再販パーツ

「ホンダヘリテージパーツ」として補修用部品についてもシリンダーブロックやカムシャフトといった機関部分から内装関係まで、幅広くラインアップ。現時点ではNSX用のみだが、将来的には他のスポーツモデルも対象予定とされている

TOYOTA
AE86レビン/トレノ、スープラ、ランドクルーザーなど人気モデルを網羅

スープラ用補修パーツ

「GRヘリテージパーツプロジェクト」の名称で、2020年からA70型、A80型スープラ用を皮切りに復刻パーツの供給を開始したトヨタ。2026年3月にはA80型スープラ用インストルメントパネルの再販が決定。形状はオリジナルのまま、材料は耐久性に富んだものへと変更するなど、クルマ好きの視点に立った改良が加えられている。

GRヘリテージパーツの展示写真

スプリンタートレノ、カローラレビン、スープラの他、2000GT、MR2、ランドクルーザーなど、対象車種の拡大が進むGRヘリテージパーツ。必要な部品が探しやすく、互換性のある車種まで記された専用サイトもユーザーから好評を得ているようだ

NISSAN
GT-R用パーツに加え、L型エンジン用のツインカムヘッドをお披露目

L型エンジン用ツインカムヘッド

膨大なコストが必要となる金型を用いることなくボディパネルの成形を可能とした対向式ダイレス成形技術や、3Dプリンターなどによる第二世代GT-R向けのパーツを「NISMOヘリテージパーツ」の名称で2021年から手掛けて来た日産。ノスタルジック2daysの会場では同社のL28型6気筒OHCエンジンのヘッド部分をDOHC化するためのチューニングキットも注目を集めていた。

SUBARU
初代インプレッサを対象とした、スバルヘリテージサービスがスタート

スバル車の部品

「スバルヘリテージサービス」は積極的に廃盤パーツの復刻を進める他社とは異なり、インプレッサの初代モデルを対象に、現在でも入手が可能な純正パーツの情報を改めて詳しく案内することに重点が置かれている。

スバルブースの全景

ブース内に展示されていた初代インプレッサは走行26万kmを走破した車両で、その隣には同車から摘出されたエンジンや吸排気系の部品を展示。担当者によると、これらはあくまで耐久評価の研究プロセスの一環で、ここからすぐに代替パーツの復刻が開始されるという話ではないと語るが、市場ニーズの動向次第では新しい展開が期待できるかもれない?

各地のディーラーでも旧車整備に力を入れる店舗が増加傾向に

会場内で数多く見受けられたのが、各地のディーラーで修復が行われた旧車。近年ではちょっとした傷や部品の不具合程度でも即交換が当たり前とされているが、旧車人気の高まりによって機関部分の細かい調整や錆で朽ち果てた外板を手作業で作り直す鈑金作業など、熟練の職人の技術や経験の大切さが改めて見直されつつあるようだ。

2008年に専用のレストア部門を開設
ネッツトヨタ富山 GR Garage富山新庄

カローラレビンのフロント全景

レストアピットと名付けられた旧車専門の部署を開設し、すでに18年のキャリアを誇るネッツトヨタ富山。展示車両のAE86カローラレビンは、神奈川県のユーザーからレストア作業依頼のために持ち込まれたもの。さらに同社ではレストアされたトヨタスポーツ800や初代チェイサーハードトップをレンタカーとして貸し出すサービスも行なうなど、旧車の楽しさを周知させるための活動にも力を入れている。

これまで15台以上の旧車をレストア
NTP名古屋トヨペット

NTP名古屋トヨペットのMR2

「リボーンレストアプロジェクト」という名称で、旧車のメンテナンスや復元作業を行う名古屋トヨペット。これまでもセラやトヨタスポーツ800など15台の車両を修復。写真のMR2は純正色での再塗装の他、エンジンのオーバーホールも行われ、新車のような存在感を放っていた。

若者はクルマ離れなんて、していない?
カスタムやレストアを授業に取り入れる学校も

今年のノスタルジック2daysには多数の自動車専門学校が出展。自動車業界では整備士不足が慢性的な問題とされており、授業の課題に旧車のエンジン整備を取り入れたり、ボディカスタムの学科を設けたりと、各校ともさまざまな特色をアピールしていた。また同イベントの主催者である株式会社芸文社は、神奈川県内の全公立高校、横浜市立中学校、東京都立の工科高校の学生を入場無料とするなど、若者世代のクルマ文化に対する親しみを深めるためのきっかけ作りも行っていった。

日産自動車大学校のブース

日産自動車直系の日産自動車大学校が手掛けた2台のカスタムカー。いずれも同校9期生の卒業制作として作られたもので、写真右の車両は初代サニークーペをベースに、ハコスカの愛称で知られる3代目スカイラインのフロント周りの雰囲気を再現

日産自動車大学校のデモカー

エンジンはシルビア用SR20を搭載。ハコスカ調のフロントグリルの再現には3Dプリンターを使用。なんとも大胆なスタイルだが、「保安基準を満たすこと」という課題制作の原則に基づいた仕様となっている

日野ルノーの全景

1963年式日野ルノーを持ち込んだのは、静岡工科自動車大学校。こちらは不動状態で学校に寄贈されたもので、留学生の手で実動状態へと整備が行われている

日野ルノーと静岡自動車大学校の生徒

エンジンの整備を担当したのはスリランカから留学のカビントさん(右)とプラサドさん。卒業後は日本の自動車整備工場への就職が決まっている

シルビアの電気自動車

ネオクラ車の中でも人気のPS13型日産シルビアをEV化させたのは千葉自動車大学校。ボンネット内、助手席フロア、トランクと重量バランスを考慮して搭載されたバッテリー部分は日産リーフの中古品を使用。初期仕様が完成したのは2004年のことだが、以降もメカニズム部分の改良が続けられている

日産自動車直系の日産自動車大学校が手掛けた2台のカスタムカー。いずれも同校9期生の卒業制作として作られたもので、写真右の車両は初代サニークーペをベースに、ハコスカの愛称で知られる3代目スカイラインのフロント周りの雰囲気を再現

エンジンはシルビア用SR20を搭載。ハコスカ調のフロントグリルの再現には3Dプリンターを使用。なんとも大胆なスタイルだが、「保安基準を満たすこと」という課題制作の原則に基づいた仕様となっている

1963年式日野ルノーを持ち込んだのは、静岡工科自動車大学校。こちらは不動状態で学校に寄贈されたもので、留学生の手で実動状態へと整備が行われている

エンジンの整備を担当したのはスリランカから留学のカビントさん(右)とプラサドさん。卒業後は日本の自動車整備工場への就職が決まっている

ネオクラ車の中でも人気のPS13型日産シルビアをEV化させたのは千葉自動車大学校。ボンネット内、助手席フロア、トランクと重量バランスを考慮して搭載されたバッテリー部分は日産リーフの中古品を使用。初期仕様が完成したのは2004年のことだが、以降もメカニズム部分の改良が続けられている

ノスタルジック2daysに関する第二特集、いかがでしたでしょうか? 現状、復刻パーツの設定は一部の人気車種に限られていますが、今回のイベントに出展していた自動車メーカー以外にもマツダが初代ロードスターやFC/FD型RX-7を対象に補修パーツの供給を行うサービスCLASSIC MAZDAを展開するなど、旧車ファンの声に自動車メーカーを筆頭とする業界各社が広く耳を傾け始めたことは、大いに歓迎すべき出来事。今のところは「復刻パーツ対象車のリストに自分の愛車がない」という方にも、いつの日か明るい報せが届く日が来るかも知れません。

高橋陽介

たかはし・ようすけ 幼少期からのクルマ好きが高じ、九州ローカルの自動車雑誌出版社の編集を経てフリーランスに。雑誌やウェブを中心に、4輪・2輪関連の記事を執筆中。クルマにまつわる映画にも目がない。自身の愛車遍歴はもっぱらマニュアルのスポーツカーだが、後輪駆動とアナログメーターが必須条件のため、購入候補車が年々減っていくのが悩みとなっている様子。

この記事はいかがでしたか?
この記事のキーワード
あなたのSNSでこの記事をシェア!
  • トップ
  • 自動車
  • 特集
  • R32、NSX、AE86…ネオクラ世代の“これから”は? 復刻パーツとレストア支援が広がる現場