夏前に落としておきたい“春の汚れ” お掃除職人が教える愛車クリーニング術【前編】
花粉・黄砂を“こすらず”落とす! 掃除歴40年のプロが外装、車内、フィルターまで動画で解説
ゴールデンウィークが過ぎ、気温も少しずつ上がってきたこの時期。
「花粉のピークも過ぎて、車の汚れもひと段落」と感じている方も多いのではないでしょうか。
しかし、春の間に付着した花粉や黄砂が、今も残ったままかもしれません。そのままにしておくと、雨や気温の影響などで汚れが定着しやすくなるため、夏を迎える前に一度リセットしておくのがおすすめです。
今回はハウスクリーニングやビルの清掃など、お掃除歴40年のプロフェッショナル、お掃除職人きよきよさんに誰でも気軽にできる、車を傷つけないお手入れ方法を教えていただきました。
難しい道具や特別な技術は必要ありません。ポイントは「こすらず、やさしく」汚れを落とすこと。日常の延長でできる愛車のクリーニング術を披露してもらいました。
【動画で解説】12分でわかる「お掃除職人きよきよ流」プロの洗車術
春の汚れの正体は「花粉」と「黄砂」…その性質とは?
――きよきよさん、まずは簡単に自己紹介をお願いします。
みなさん、初めまして。お掃除職人のきよきよと申します。お掃除のことなら何でもお任せください。普段はハウスクリーニングや、ビルの清掃を行っているのですが、実は車の掃除も得意です。今日は普段のやり方とは違う“プロの考え方”で車を奇麗にしていきます。
お掃除職人きよきよさん。ハウスクリーニングやビル清掃を手がける、お掃除歴40年のプロフェッショナル!
――「夏前に落としておきたい汚れ」というのはあるのでしょうか?
春から5月にかけて一番多い「花粉」と「黄砂」。いわゆる“春の汚れ”ですね。車がうっすら黄色くなっていると思うのですが、ほとんどがこのふたつです。夏が来る前に一度洗車しておきましょう。
まず汚れの性質についてですが、黄砂は「砂」なので非常に硬いです。見た目は細かいのですが、顕微鏡レベルで見るとかなり尖っています。これを乾いたまま拭くと、ヤスリでこするのと同じで車に傷が付いてしまいます。
一方で花粉は「タンパク質」の汚れです。水に濡れるとペクチンという粘着成分を出して張り付き、そのまま放置すると、ボディの塗装を傷めたり、シミの原因になります。ちなみに鳥のフンも同じくタンパク質の汚れなので要注意です。
春に多い車の黄色い汚れ。その正体は「花粉」と「黄砂」
――ではさっそく花粉と黄砂の汚れの落とし方を教えてください。
まず一番やってはいけないのが、タオルなどで「いきなり拭くこと」です。さきほど性質について説明したように、黄砂はボディに傷を付け、花粉はつぶれて張り付くなど、この状態で拭くと確実に車体にダメージが出ます。そこで最初にやることは一つ。汚れを「水で浮かせて流す」これだけです。
――洗車前にチェックしておいたほうがいいことはありますか?
ワイパーが汚れを巻き込み、動くたびに細かい傷を付けていることがあります。そのため最初にやるのは「ワイパーを立てること」です。ゴム部分に汚れが付いたままだと、動かしたときにガラスを傷つけてしまいます。しっかり洗えるように、ワイパーを立てておきましょう。
あと大事なのが、窓が閉まっているか確認することです。万が一、開いていると車内が大変なことになりますからね。
汚れを巻き込みやすいワイパーは洗車前に立てておこう
汚れは泡で浮かせて落とす⁉ プロが実践する洗車方法
――水洗いのポイントを教えてください。
水道の水で花粉と黄砂を流していくのですが、できれば少し強めの水圧にして、たっぷり流してください。水の力で汚れを浮かせて落とします。
車の「上から下へ」向かって水をかけていきます。上から流せば、汚れが下に落ちていくので、効率よく洗うことができるからです。下からやると、もう一度洗い直すことになります。
水洗いで固形の汚れはほとんど流れ落ちます。塗装に密着した汚れは、このあとカーシャンプーで落としていきます。
洗車の基本は「上から下へ」。まずはルーフから洗っていくのがポイント
――洗車用のカーシャンプーを使ったほうがいいですか?
はい、そうですね。中性洗剤でも代用はできますが、ボディへのダメージを考えると洗車用のカーシャンプーがおすすめです。今回はソフト99というメーカーの「メンテナンス シャンプー」を使います。ボディを傷めにくく、泡立ちがいいのが特徴です。
この商品の希釈の目安は、1リットルに対してキャップ1杯です。今回は約4リットル作るので、キャップ4杯分。次に水を入れていきますが、最初はゆっくり入れて、途中から勢いをつけると泡立ちが良くなります。
この「泡」が重要です。汚れはこすらずに「泡で浮かせて」落とします。
使用したのはソフト99の「コーティング施工車専用メンテナンスシャンプー」(オープン価格)
水を入れる時に最初はゆっくり、途中から勢いよく入れるとよく泡立つ
――カーシャンプーで洗う際も「上から下へ」が基本ですか?
はい、基本は上から下です。今回は乾燥を防ぐために、ルーフから順番に仕上げていきます。洗い方のコツですが「ゴシゴシこすらない」ようにしてください。スポンジは水を含んで十分な重さがあります。この重さだけで滑らせるように洗っていくのがコツです。
汚れはこすって落とすのではなく、泡で浮かせて動かします。力を入れると汚れの粒子で傷が付いてしまいますので、スポンジを前後に優しく動かしていきます。一度で落ちない場合は、何度か繰り返します。汚れがひどい場合は、少し時間を置くと洗剤の力で落ちやすくなりますよ。
スポンジで強くこすると傷の原因になるので、前後にやさしく動かすのがポイント
水アカを防ぐ重要ポイント! 仕上げは「部位ごと」に
――カーシャンプーで汚れを浮かせた後はどうしましょう?
汚れが浮いたら水分が乾く前に流します。乾燥すると水道水に含まれるミネラルが固まって、水アカが残ります。お風呂の鏡にできるウロコ模様と同じ現象です。そうならないために洗ったら「すぐ流して、すぐ拭く」これを部分ごとに繰り返します。
洗車用のマイクロファイバータオルを使って、拭きあげていきます。水アカが残らないようにルーフ、ボンネット、ボディといった具合に部位ごとに仕上げていくのがポイントです。
――バスタオルなどで拭いてはダメですか?
バスタオルは繊維が硬いので、細かい傷の原因になります。カーメンテナンス専用のマイクロファイバーのタオルを使ってください。
拭き方のポイントは、タオルを広げて軽く引くだけです。スポンジのときと同じくゴシゴシこする必要はありません。吸水性が高いので、軽く引くだけで水分が取れます。一気に水分を取れるのが専用タオルの特徴です。古いタオルや服などで拭くと傷の原因になるので注意してください。
また細かい部分に水分が残りやすいので、そこは丁寧に拭きとります。
今回使用したのはソフト99の「激吸水 ビッグ&ワイド」(オープン価格)
洗車用のマイクロファイバータオルを広げて軽く引くように拭いていく
――ルーフを仕上げた後はどこを洗いましょうか?
次はボンネットをやっていきます。ボンネットは熱を持ちやすいので、乾きやすい場所です。エンジンが冷えた状態だと作業がしやすくなります。基本のやり方はルーフのときと同じです。水で濡らして、洗剤で洗って、よく流した後は拭きあげます。
フロントガラスは円を描くように拭いても基本的には問題ありません。ガラスはボディほど傷が付きやすくないためです。ただし同じ拭き方をボディにすると、傷の原因になりますので要注意です。
最初に立てたワイパーのゴム部分も忘れずに。ここに汚れが溜まっているとガラスが傷つく原因になるとのこと
――ボンネットが仕上がりましたが、次はどの部分ですか?
続いてボディを洗っていきます。泡が少なくなってきたら、しっかり泡立ててください。スポンジにたっぷり含ませて洗います。泡で汚れを浮かせて下に流していくイメージで、やはり「こすらない」ことが大切です。
掃除は力を入れると落ちるイメージがありますが、その分素材を傷つけるリスクが高くなります。絶対に力は入れないでください。
洗い残しが多いというミラー周り。汚れがひどい場合は少し時間を置くと洗剤の力で汚れが落ちやすくなるとのこと
――汚れを落とすときは力を入れないほうがいいですか?
基本的に力は使いません。掃除は“道具と洗剤”で行います。力を入れるのは昔のやり方です。今は洗剤も道具も進化しているので、力は必要ありません。
――汚れがひどいときはお湯を使ったほうがいいですか?
花粉は水で濡れるとペクチンが出てベタつくので、その状態だとお湯のほうが有効な場合もあります。汚れを放置するほど、洗車は大変になります。お湯は強力ですが、花粉や黄砂であれば基本は水で十分です。
――外装の洗車のポイントをもう一度まとめて教えてください。
ルーフ、ボンネット、ボディと、部位ごとに分けて順番に仕上げていきます。
今回のような花粉と黄砂の汚れは、まず「水でしっかり流す」ことが大切です。いきなり拭くと傷の原因になります。次にカーシャンプーを使いますが、強くこすらないでください。泡で浮かせて汚れを落とすイメージです。
最後は洗剤をしっかり水で流して、そのあとは乾いて水アカが残る前にすぐにマイクロファイバータオルで拭き上げます。水アカは落とすのが大変なので、ここは特に注意してください。慣れれば15分くらいで外装全体の洗車ができるようになりますよ。
水洗いしてから、カーシャンプー。洗剤をよく流したら乾く前に拭きあげる。同じ手順でルーフ、ボンネット、ボディと部位ごとに仕上げていく。コツはとにかく「力を入れない」こと
「塩分」に要注意! ホイール周りのお掃除方法
――タイヤ周りも掃除が必要ですか?
もちろん必要です。サビの原因になる「塩分」が付着している可能性があります。
冬場になると雪を溶かして路面の凍結を防ぐ「融雪剤」(ゆうせつざい)という化学物質が道路に撒かれています。この融雪剤に含まれる「塩分」が、サビの原因になるので掃除しておきましょう。
融雪剤は降雪の多い地域だけでなく、関東でも冬場に高速道路の出入り口や山間部で撒かれています。また海沿いの地域にお住まいの方も、潮に含まれる塩分が車に付着しやすいので、注意が必要です。
融雪剤の主な成分は塩化カルシウムと塩化マグネシウム。この塩分が車に付着したままだとサビの原因になる
特に注意したいのが「ドアの内側」です。ここに水と一緒に塩分が流れ込んで溜まります。そのままにすると、下の部分からサビが広がります。ドアの内側のフチやヒンジ部分も、忘れずに洗ってください。
タイヤ周りの洗い方もボディと基本的に同じです。水で汚れを流して、洗剤をつけたスポンジで洗っていきます。手が入りにくい部分も意識して洗ってください。最後は水でしっかり流します。汚れや洗剤を残さないようにしましょう。
タイヤ周りは取手付きのスポンジだとホイールの細かい部分も作業しやすい
サビやすいドアの内側下部は洗い残しがないように注意が必要とのこと
花粉や黄砂を放置すると、塗装を傷める原因になります。特にこれからの時期は気温が上がり、水アカもできやすくなりますので、夏を迎える前に一度しっかり洗車しておくのがおすすめです。きれいな車は乗っていて気持ちがいいですからね。
そして、お掃除の基本は「力を入れない」ことです。無理にこすらず、汚れに合った道具と洗剤でやさしく落としていくことが大切です。
今回紹介した洗車のほか、後編でご紹介する車内清掃の詳しい手順は、動画でわかりやすく紹介しています。実際の作業の流れや汚れの落ち方も確認できますので、ぜひ併せてチェックしてみてください。

お掃除職人きよきよ
ハウスクリーニング、ビルの清掃、ショッピングセンターの清掃を手がける、お掃除歴40年のプロフェッショナル。2016年に始めたYouTubeは、2026年5月現在チャンネル登録者数39万人超えで、一般の方から同業の清掃業者の方まで幅広く支持されている。著書に『やみつき掃除術 市販洗剤4本で感動的に汚れが落ちて家じゅう試したくなる!』(SBクリエイティブ)などがある。
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