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オートモビルカウンシルの会場風景
会場内には歴史的な背景などマニアックなウンチクを知らずとも、スーパーカー世代なら直球で共感できる車種も数多く見受けられた
文・写真=高橋陽介

フィアット・アバルト750レコルド・エンデューロ・ピニンファリーナ/フェラーリ・250GT SWB/ランチア・ベータ・モンテカルロ…実感できた名車の存在感

オートモビルカウンシル2026イベントレポート【外国車編】

オートモビルカウンシル2026レポートの第2弾は、海外メーカーの車両を紹介。主催者テーマ展示スペースを飾った歴史遺産クラスの名車の他、比較的新しい年式ながら日頃はまず見かけることのない、自動車ファンの琴線に触れるようなキャラクターを備えたモデルを集めてみました。

目次

時代の流れに色褪せない輝きを放つ
クルマ好き垂涎の顔ぶれに大満足!

ポルシェブースの全景

昨年9月にドイツ本国で発表された最新型の911ターボS(写真右端)の国内初披露の場として、オートモビルカウンシルの会場を選んだポルシェジャパンのブース

今年のオートモビルカウンシルでは例年以上の充実ぶりが印象に残った国産車の展示エリア。とはいえ、根っからのクルマ好きたち(筆者を含め)がこのイベントで注目しているポイントといえば、やはり海外のヴィンテージモデル。今回も雑誌やネットなどでしか目にする機会がない名車の姿が会場内のあちこちで見受けられました。

ここではそんな伝説級の名車に加え、比較的高年式の世代ながらマニアの琴線に触れる“クセが強め”なクルマをセレクト。こんな豪華なラインアップを一気に楽しむことができるのも、このイベントの醍醐味ですね!

ポルシェ910と904

場内でプライスカードが掲げられた車両は、購入の相談を行うこともできた。ちなみに手前の1967年式ポルシェ910は5億5000万円、奥側の1964年式ポルシェ904は18億円!

半世紀以上前に作られた一人乗りの速度記録挑戦車
フィアット・アバルト750レコルド・エンデューロ・ピニンファリーナ

フィアット・アバルトのフロント全景

トリノ工科大学の風洞実験を通じて生み出された極端に長い前後オーバーハングと薄い車体は、空力性能を最優先に考えられたもの

今回の主催者展示はピニンファリーナが題材。

その中で入場口に最も近い場所に置かれていたのは、1958年にイタリアのモンツァサーキットにおいて数々の国際記録(排気量501〜750ccのクラスHでの記録)を樹立したフィアット・アバルト750レコルド・エンデューロ。

アバルトとはカルロ・アバルト氏が1949年に設立した、フィアットやシムカなどの車両をベースに性能の向上を図るためのパーツや競技用車両の製作などを行っていた会社。70 年代にはフィアットの一員となったが、その名称とトレードマークであるサソリのエンブレムを冠したスポーツモデルは現代も販売が行われている。

フィアットアバルトのリア全景

小型大衆車フィアット600をベースに排気量を750ccまで拡大したエンジンをミッドに搭載。そびえ立つテールフィンの側面にはピニンファリーナのロゴが描かれている

さまざまなレースで活躍した名車中の名車
フェラーリ・250GT SWB

フェラーリ250のフロント全景

車名末尾のSWBとはショートホイールベースの略。その長さは同車の前身モデル250GTクーペの2600mmに対し、2400mmというもの

2度のル・マン24時間レース優勝をはじめ、この紹介スペースでは収まり切れないほどのヒストリーを持ち、歴代フェラーリの中でもトップクラスの人気を誇る250GT SWB。

レースカーとして誕生したのは1959年のこと。スカリエッティの製作による1tを切る軽量な車体に3基のウェーバーキャブレターを備えたV型12気筒エンジンを搭載。1963年に国内初の本格的なレース競技として鈴鹿サーキットで行われた、第1回日本グランプリにもその勇姿を見せている。

フェラーリ250のリア全景

レースカーの車体はオールアルミ製だが、ホモロゲーション取得のため作られたロードカーにはスチールが用いられた

性能はスーパーカー級じゃないけど、存在感はバツグン!
ランチア・ベータ・モンテカルロ

ランチア・ベータのフロント全景

当時輸入されたクルマのほとんどがサビや電気系などのトラブルで姿を消していったなか、ここまで素晴らしいコンディションの個体が残っていたことにまずビックリ!

当初は若者が気軽に買えるFFスポーツとしてフィアットブランドの一機種となるはずが、開発段階の途中からミッドシップに変更。ブランドも発売を前にしてフィアットグループ内のランチアへと格上げされるという紆余曲折の経歴を持つベータ・モンテカルロ。

当時ピニンファリーナに在籍していた敏腕デザイナー、パオロ・マルティンによる引き締まったスタイルは秀逸の一言。国内でも一時、手頃な価格の中古車が流通していた時期があり、筆者も物件情報をチェックしていたこともあったが、残念ながら良縁には恵まれず。それにしてもカッコいいデザイン!

ランチアベータのリア全景

エンジンは120馬力を発生する2L4気筒。展示車両はベータ・モンテカルロの中でも特に希少な、折りたたみ式ソフトトップを備えたモデルだった

フェラーリ製V8エンジンを搭載したFFセダン
ランチア・テーマ8.32

ランチア・テーマのフロント全景

格子型のフロントグリルは8.32の専用品で、ひと目でその存在を識別することができた。車両は愛知県のLussoCarsが出品したもので、新車さながらの輝きを放っていた

ジウジアーロがデザインを手掛けたランチアの上級サルーン、テーマのフロントにフェラーリ308用のV型8気筒エンジンを押し込んだ異色モデル。車名は「8気筒、32バルブ」に由来。

フェラーリエンジンを搭載した4ドアセダンとしては近年ではマセラティ・クアトロポルテもその一例として挙げられるが、こちらの駆動方式はFFで、トランスミッションは5速マニュアルのみ。90年代初頭にマツダが展開していたディーラー、オートザムで扱われていた時期もあった。

ランチア・テーマのリア全景

星型デザインのアルミホイールや車体全体を囲むピンストライプも8.32の専用装備。トランクには電動でせり上がるウイングも備えられていた

超高級スポーツクーペのワゴン仕様
アストンマーティン・ヴィラージュ・シューティングブレーク

アストンマーティンのフロント全景

ドアから前方はノーマルのヴィラージュそのもの。シューティングブレークとは、その名の通り西洋の貴族が狩猟のために用いたクルマが語源とされている

英国を代表する高級車メーカーで、007のボンドカーとしても度々起用されてきたことでも知られるアストンマーティン。
その初代ヴィラージュをベースに、後部をワゴン型に作り替えたスペシャルモデル。欧州の自動車メーカーには通常の市販仕様では満足できない富裕層からのスペシャルオーダーに応えるビスポーク部門が設けられているケースは珍しくなく、このクルマもワゴンへの架装はアストンマーティンの社内で行われ、正式なディーラー車として国内に輸入されている。

出品元のワイズによると、同様の車体(一部は4ドア仕様)は世界で6台しか存在しないとのこと。

アストンマーティンのリア全景

リアゲートにヴィラージュクーペ用のテールランプを違和感なく収めるなど、メーカーが手掛けただけあって、仕上がりはいたってナチュラルだ

隠れた人気を誇る“もう一つ”のディーノ
フィアット・ディーノ・スパイダー

フィアット・ディーノのフロント全景

ディーノと呼ぶには違和感を覚える人もいるかも知れないが、フェラーリ版のディーノにもこのクルマと同様、4灯ヘッドライトを備えた試作車が存在していたことは、マニアの間では知られた話

クルマ好きの間で「ディーノ」と言えば、ミッドシップのフェラーリ製ディーノが連想されるところだが、こちらは同じV型6気筒エンジンをフロントに搭載したフィアット版。

デザインはどちらもピニンファリーナによるもので、盛り上がったフロントのフェンダーラインや丸型4灯のテールランプ、その脇に記されたディーノの車名ロゴなどにはフェラーリ版との近似性が感じられるが、全体から受ける印象はまったく別物。

さらにスパイダーの発売開始から数か月後にはベルトーネがデザインを担当したクーペ版のフィアット・ディーノも登場するが、こちらはスパイダー以上にフェラーリ製とは異なった印象のボディーが与えられていた。

フィアット・ディーノのリア全景

アクの強いフロントに対し、リアはいたってシンプル。ミッドシップのフェラーリ版は2シーターだが、フィアット・ディーノはスパイダー、クーペともに小ぶりなリアシートが備わる

いかにもオートモビルカウンシル的なニッチなトピックス
知ってた? ポルシェ924が誕生50周年

ポルシェ924のフロント全景

展示車両は新車からワンオーナーで乗り続けられて来た924S。塗装や内装など、経年劣化が見受けられた部分はDUPROによる補修が行われている

車両展示コーナーではなく、自動車関連の小物や雑貨などの販売を行うマルシェスペースにポツンと置かれていたポルシェ924。

「ふ〜ん、珍しいネ」と、サラリと受け流そうとしたその時、目に止まったのが「PORSCHE924 50 th Anniversary」と書かれた車体後方の掲示物。そこにはマイナーチェンジやグレードの追加など、924の歴史に関する情報がギッシリ。これらはインポーターや出版社などの手を借りることなく、すべて出展社である埼玉のDUPROが用意したもの。

同社はバーンファインド(barn find)と呼ばれる納屋物件(長期間、室内で保管され続けてきた旧車)の発掘、再生をメインとした会社で、中でも得意とするクルマがポルシェ924。

「924の専門店ではないけど、不思議とお話をいただくことが多いですね。ポルシェの中では決して人気車とは言えませんが、いろいろと調べていくうちにポルシェを名乗るにふさわしい実力を秘めたクルマであることがわかりました」

と語るのは、同社の渡辺代表。確かに空冷911が完全に天井知らずの高額相場となってしまった今、頑張れば何とか手が届く本格FRスポーツとして924を見直してみるのもアリかもしれない?

ポルシェ924のリアカット

後継機種の944と同じ2.5L4気筒エンジンを搭載する924S。ミッションをリアアクスル側に配置したトランスアクスル方式で前後の重量バランスの適正化を図るなど、スポーツカーらしい運動性能も追求されていた

ポルシェ924に関する年表

ネットを検索すれば何でも調べられる時代とはいえ、ここまで詳細な情報を得ることは困難。フロントエンジンポルシェの歴史を切り拓いた924は後継機種の944としばらく併売されたのち、1982年をもって輸入が中止に。しかし85年にドイツ本国で性能強化版の924Sが登場。これを受け、87年から日本でも再び輸入が開始されることとなった

国産車編、外国車編と2回に分けてお届けしたオートモビルカウンシル特集、いかがでしたでしょうか?

これだけ充実した内容を持ったイベントを10年以上に渡り継続して来た主催各位様の努力には感謝の一言。少々気の早い話ですが、次回の開催案内を心待ちにしたいと思います。

最後に、一度このイベントに行ってみたいという方にアドバイスを。会場内に入ったら、まず深呼吸して気持ちを落ち着かせること。そして焦らず、順を追って各ブースをじっくり見ること。筆者のように入場前から気持ちが昂り過ぎるとついつい気持ちが先走り、会場を何度もぐるぐる。結果、帰り道は足腰ガクガク。そんな不要な苦労を避けるためにも、場内ではゆっくり、のんびりを心掛けましょう!

ちなみに、今回紹介して来た車両の中で、個人的なベストはランチア・ベータ・モンテカルロ。みなさんにとってのナンバーワンはどのクルマでしょうか?

高橋陽介

たかはし・ようすけ 幼少期からのクルマ好きが高じ、九州ローカルの自動車雑誌出版社の編集を経てフリーランスに。雑誌やウェブを中心に、4輪・2輪関連の記事を執筆中。クルマにまつわる映画にも目がない。自身の愛車遍歴はもっぱらマニュアルのスポーツカーだが、後輪駆動とアナログメーターが必須条件のため、購入候補車が年々減っていくのが悩みとなっている様子。

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