• トップ
  • 自動車
  • 特集
  • パブリカスポーツ、シティターボII、パジェロI…幕張メッセで国産名車を愛でる
オートモビルカウンシルの会場風景
ヴィンテージカーのみならず、最新型車やレーシングカーなども展示。会場入り口を飾る主催者展示スペース(写真内右手)にはピニンファリーナの作品が並んだ
文・写真=高橋陽介

パブリカスポーツ、シティターボII、パジェロI…幕張メッセで国産名車を愛でる

オートモビルカウンシル2026イベントレポート【国産車編】

今回で11回目となる名車の祭典、オートモビルカウンシルが4月10日から3日間にわたり幕張メッセで開催されました。イベントのテーマは「クルマともっと恋をしよう。」。今回も会場内は、まさに心が奪われそうになるほどの魅力を放つ名車たちであふれていました。

目次

欧州車勢にも負けない個性を備えた
国産車の注目モデルを詳しくチェック

トヨタブースの全景

例年以上に力の入った展示内容で多くの来場者が足を止めていたトヨタブース。500台の限定生産が行われたV10エンジン搭載のレクサスLFAを筆頭に、スープラ、トヨタ・2000GTなど、同社のスポーツモデルの変遷が紹介された

旧車ファンにとって2月のノスタルジック2daysにつづく、春のお楽しみイベントとしておなじみとなったオートモビルカウンシル。今年も希少なヴィンテージカーから発売を間近に控えた最新モデルまで、約120台(2輪も含む)が幕張メッセに集結。連日多くの来場者で賑わいを見せていました。

そこで今回は同イベントのレポート企画第一弾として、国産車編をお届けします。

国産車メーカーからはトヨタ、ホンダ、三菱の3社が参加。同イベントの開催初期からの常連で、毎回マニアを唸(うな)らせる独自のテーマを持った展示内容を披露して来たマツダの欠場は非常に残念ではあったものの、3社はそれぞれ見ごたえのあるブースを展開。

他にも旧車を専門に扱う販売店から持ち込まれたハコスカGT-RやサバンナRX-3など、ファンの間で根強い人気を持つ車種も場内に花を添えていました。

宮田自動車の展示車両

旧車を専門に扱う三重県の宮田自動車からも昭和の人気モデルを出品。左のスカイラインターボには850万円というプライスタグが掲げられていた

航空機の技術を採り入れた小型スポーツカー
トヨタ・パブリカスポーツ

パブリカスポーツの全景

ドアは備わらず、航空機のキャノピーのような形状のルーフ部分をスライドして乗り降りする大胆な構造は航空機設計者としての経験を持つ開発主査、長谷川龍雄氏によるもの

大衆車パブリカをベースに、軽さと空力特性に優れたボディーが与えられたパブリカスポーツ。1962年の第9回全日本自動車ショーに出品されたコンセプトカーで、後年登場するヨタハチことトヨタ・スポーツ800の開発の布石にもなった。

展示されていた車両は同車のレプリカだが、当時の数少ない資料をもとにトヨタのデザイン部OBを筆頭とする有志たちの手で2007年から5年がかりで復元された車体はオリジナルの佇(たたず)まいが忠実に再現されている。

パブリカスポーツの車体後部

長方形の小ぶりなテールランプを備えたリア周りはトヨタ・スポーツ800とは異なった雰囲気が漂う。ナンバープレートが取り付けられたパネルの内部がトランクとなっている

屋根を閉じたパブリカスポーツの全景

キャノピーを閉めたフォルムはどこかユーモラス。3年後の1965年に登場したトヨタ・スポーツ800はドアこそ通常の横開きヒンジ式となったものの、このクルマで培われた軽量化や空力といった技術が受け継がれ、モータースポーツシーンにおいても活躍を見せた

新車製造現場からの選抜チームがレストアを担当
トヨタ・スポーツ800

トヨタ・スポーツ800のフロント全景

空力特性に優れたボディーと軽さを生かし、空冷2気筒OHVエンジンながらレースでは4気筒DOHCを搭載するホンダ・S600/S800と互角の戦いぶりを見せた

各地の旧車イベントなどで比較的見かけることも多いヨタハチことトヨタ・スポーツ800だが、今回トヨタブースに展示されていたこちらの車両はちょっと特殊な素性の持ち主。

レストアを担当したのは社内のGPC(グローバル生産推進センター)と名付けられた部署に所属する、トヨタの新車製造現場から選出された20名のメンバーたち。同部署では「ものづくりは人づくり」をスローガンに、レストア作業を通じて現代では失われつつある鈑金や修理などの場面における職人の技術の重要性を見直し、そこで学んだ経験を新車製造現場に生かすとともに、人材育成にも役立てているという。

トヨタ・スポーツ800の部品

トヨタ・スポーツ800の部品

当時の図面が残っているものは、図面から部品を再生。図面がないものは資料用の部品をスキャンして3Dプリンターなどで現物化。レストアの過程では失敗することも多々あったようだが、「それも大切な経験の一つです」とブース担当者。世界的大メーカーであるトヨタがここまで真剣に旧車の保護、維持といった面に力を入れているとは、ちょっとオドロキ!

ドッカンターボの痛快な走り
ホンダ・シティターボII

ホンダ・シティターボの全景

前後にブリスターフェンダーを備えた迫力のフォルムを持つシティターボII。手前のバイクはシティのトランク内に搭載可能なモトコンポ

当時トールボーイと呼ばれた背高のデザインで大ヒットとなったシティの発売翌年に追加されたシティターボ。さらにその翌年、クラス初のインタークーラーを採用した激辛モデルとして登場したのがシティターボII。

スペック上のパワーアップ幅は10馬力だが、4000回転以下の状態でスロットルを全開した際にはターボの過給圧を10秒間、10%引き上げるスクランブルブースト機能を搭載。そのフィーリングは当時の国産ターボ車の特徴だったドッカンターボ(一定の回転数を超えると一気にブーストが立ち上がる特性)そのもの。

ワイド化された前後フェンダーや大きく盛り上がったボンネットなど、スゴ味を増した外観から「ブルドッグ」の愛称で親しまれた。

シティターボIIとSuper-ONEのサイドステッカー比較

シティターボIIとSuper-ONEのサイドステッカー比較

シティターボIIのブルドッグという呼称はあくまでサブネーム扱いとされていたが、Super-ONEではターボIIの書体を再現したステッカーをはじめとする「ブルドッグアクセサリー」という名の、正式なオプション装備品が設定された

2代目モデルをベースに初代のエッセンスをプラス
ホンダ・NSXトリビュートby Italdesign

NSXトリビュートの全景

ホンダのタイプRモデルの人気純正色、チャンピオンシップホワイトに彩られたNSXトリビュート

今年の東京オートサロンや大阪オートメッセの会場にも展示されていた、イタリアのイタルデザインによる2代目NSXのカスタムメイドモデル。

近年、国産車をベースとした同社の作品は2020年に発表された日産GT-Rの50周年記念モデル「GT-R50 by Italdesign」が記憶に新しいところ。

今回NSXをベースとしたプロジェクトは1965年のF1初優勝、1990年のNSX発売開始、1995年のルマン24時間レースGT2クラス優勝という3つのメモリアルな出来事に対するオマージュとされている。点灯時にカバーがボンネット側へとスライド収納されるという奇抜な設計のヘッドライトは、リトラクタブル式だった初代NSX(2001年11月までのモデル)がモチーフとなっている。

NSXトリビュートのリア全景

ルーフ後部に備えられたエアインテークは、2005年にSUPER GT参戦のホモロゲーション取得用モデルとして5台のみが限定販売されたNSX-R GTのイメージを取り入れたもの

人気モデルの原点は、粗削りなオープンバギースタイルだった!
三菱パジェロI

パジェロ1のフロント全景

1973年の第20回東京モーターショーに試作車として出品されたパジェロⅠ。79年の同ショーには角形ヘッドライトのパジェロIIを発表。82年からパジェロの名称で市販モデルの発売が開始された

オートモビルカウンシルには2023年から出展を続けてきた三菱自動車。昨年はディアマンテやギャラン ラムダ他、デザイン性や新しい技術などで時代に名を刻んだ車両をそろえていたが、今回は乗用車感覚の4駆という市場を切り拓いたパジェロの歴史を紹介。

特に注目を集めていたのが、その原型となった試作車パジェロⅠ。現代の目線で見れば無骨そのものという印象だが、国内にSUVという言葉やカテゴリーは存在していなかった当時としては、これでも十分カジュアル志向だと捉えられていたようだ。

パジェロ1のリア全景、パーツ写真

パジェロ1のリア全景、パーツ写真

キャビンを守るための太いロールバーや、バギーのような軽快さを表現したリアフェンダー周りの造形が目を引く。ロールバーのサイド部分に貼られたかわいい山猫(パジェロの名称の由来)のイラスト入りステッカーも当時実際に使用されていたもの

歴代パジェロの展示風景

パジェロの初代、2代目モデル。写真右端の車両は1985年のダカール・ラリーで優勝した、プロトタイプ仕様のラリーカーの実物。総合優勝は日本車史上初めての快挙で、2位にもパジェロが入賞し、歴史的なワンツーフィニッシュを飾った

三菱ジープのフロント全景

大径タイヤを履いたオフロードタイプのクルマを表す際、「ジープのような」という言葉を耳にすることがあるが、国内メーカーで正式な車名としてジープを名乗ることができるのは、米国ウィリス・オーバーランド社との提携を交わした三菱のみ。こちらは1956年にJ3型として国産化が行われる前にノックダウン生産された、1953年型J11デリバリ・ワゴン。ハンドル位置は左のままとなっている

見事なレストア技術で蘇ったオシャレな軽スポーツ
スズキ・フロンテクーペ

フロンテクーペのフロント全景

ジウジアーロが原案を手掛けた美しいクーペフォルムを持つフロンテクーペ。駆動方式はRR(リアエンジン、リアドライブ)

広島県で自動車、鉄道、建設機械の開発車両の試作や小ロット部品の生産の他、高精度の板金加工などを専門とする株式会社オーエイプロトによるフルレストアが行われたフロンテクーペ。

入手が困難とされる内外装や機関部分のパーツは自社で金型を作って再生。新車と同等と言っても過言ではない仕上がりを見せていた。

見た目はクラシカル、中身は最新スペック
自動車ファンの夢を具現化した「レストモッド」とは?

スバル・インプレッサのフロント全景

かつてスバルのWRC用車両の開発とチーム運営を担当し、数多くの栄冠にも輝いたプロドライブが製作したプロドライブP25。ベースとなったのはWRC3連覇を記念して400台が限定販売されたスバル・インプレッサ22B-STi Version。オリジナルの面影を残したカーボンファイバー製ボディーに、450馬力のEJ25ターボエンジンを搭載する

往年の名車をオリジナル車に忠実な形で復元させるレストアとは異なり、見た目は昔ながらのスタイルを保ちつつ、最新モデルと同等以上のスペックを持つエンジンやメカニズムが投入されたスペシャルカスタム仕様車として年々人気の高まりを見せているのがレストモッド。呼称の由来はレストア(restore)とモディファイ(modify)という2つの言葉を組み合わせた造語とされている。今年のオートモビルカウンシル会場内にも主催者テーマ展示の一つとしてスペースが設けられ、注目を集めていた。

レストモッドの展示コーナー

レストモッドの分野では特に有名なシンガー(アメリカ)のポルシェ911やアウトモビリ・アモス(イタリア)のランチア・デルタとともに展示されていたプロドライブP25。これらのクルマの仕様はオーナーの好みに応じたオーダーメイドが基本。もちろん、価格も異次元級!

今年もたくさんの見どころが設けられていたオートモビルカウンシルの国産車展示エリア。

社内の選抜チームでレストアされたトヨタ・スポーツ800をはじめ往年のスポーツモデルを揃えたトヨタ、新型パジェロの登場を予感させるブースの装飾デザインが目を引いた三菱自動車、最新EVのSuper-ONEとシティターボIIを並べてキャラクターの関連性をアピールしていたホンダなど、ヘリテージという言葉や視点の定着とともに旧(ふる)き良きものに秘められた魅力を見直す機運がますます高まりつつあることは、一人のクルマ好きとしてうれしい限り。

これからも一社でも多くのメーカーがこの場に参加して下さることを期待したいと思います。

高橋陽介

たかはし・ようすけ 幼少期からのクルマ好きが高じ、九州ローカルの自動車雑誌出版社の編集を経てフリーランスに。雑誌やウェブを中心に、4輪・2輪関連の記事を執筆中。クルマにまつわる映画にも目がない。自身の愛車遍歴はもっぱらマニュアルのスポーツカーだが、後輪駆動とアナログメーターが必須条件のため、購入候補車が年々減っていくのが悩みとなっている様子。

この記事はいかがでしたか?
この記事のキーワード
あなたのSNSでこの記事をシェア!
  • トップ
  • 自動車
  • 特集
  • パブリカスポーツ、シティターボII、パジェロI…幕張メッセで国産名車を愛でる