車庫証明に印鑑証明、自動車税に自賠責保険…!? 新車購入時に必要な手続きと費用とは?
知って得するクルマの手続き&費用AtoZ【新車購入編】クルマを購入・所有するためには、多くの書類や手続きが必要になります。必要書類に不備があって手続きができず、契約できない……なんてことも。また、購入金額や維持費も高額なので、なるべく出費を抑えたいところですが、自分で行えば節約できる費用もあります。ここでは、そんなクルマの購入時に必要な書類や費用をわかりやすく解説します!
新車を購入する際には、どんな書類が必要?
クルマを購入する際に、新車と中古車で必要な書類が異なります。新車の場合必要な書類は、印鑑登録証明書と実印(軽自動車の場合は住民票)、自動車保管場所証明申請書(車庫証明書)、委任状。そしてローンを利用して購入する場合は、口座届出印が必要となります。中古車の場合は新車購入時に必要な書類に加え、自動車検査証(車検証)、自賠責保険証明書が必要となりますが、いずれも販売店が用意してくれるのでユーザーが用意する必要はありません。
●新車購入時に必要な書類など
(1) 実印と印鑑登録証明書(1通/200〜500円) ※軽自動車の場合は不要
(2) 自動車保管場所証明申請書(1通/2,100〜2,800円) ※軽自動車の場合は不要
(3) 保管場所標章交付申請書(手数料/500円) ※2025年4月1日より不要
(4) 保管場所使用承諾証明書(1通/無料)もしくは自認書(1通/無料)
(5) 所在図及び配置図(1通/無料)
(6) 委任状(1通/無料)
※軽自動車の場合は上記(3)~(6)のほか、下記の書類が必要
住民票(1通/150〜500円)
自動車保管場所届出書(1通/500円程度) ※地域によっては不要
(1) 実印と印鑑登録証明書(1通/200〜500円)
※軽自動車の場合は不要
印鑑登録証明書を取得するためには、事前に印鑑登録を済ませておかないといけません。また取得する際には請求者の本人確認書類が必要になります。印鑑登録証明書は住んでいる市役所や役場で取得します。また、マイナンバーカードを利用してコンビニエンスストアなどのマルチコピー機から取得すると窓口での交付手数料料より100円割引で交付できます。
印鑑登録をすると、印鑑登録証というカードをもらえます。これを持っていれば、印鑑登録証明書を簡単に取得することができます。登録料は数百円ということが多いです。購入契約時には印鑑登録をした実印も必要になります。またローンで購入する際には口座届出印も用意しておきましょう。
(2) 自動車保管場所証明申請書(1通/2,100〜2,800円)
※軽自動車の場合は不要
車両を保管する場所を管轄する警察署に、購入するクルマの保管場所を申請する書類が自動車保管場所証明申請書(車庫証明書)です。提出と受け取りで平日に2回警察署に行く必要があるため、自動車販売店に代行してもらうケースが多いですが、自分で申請することも可能です。
(3)保管場所標章交付申請書と(4)の保管場所使用承諾証明書もしくは自認書、(5)所在図及び配置図は、この申請を行う際に必要になる書類になります。軽自動車を購入する場合は必要ありませんが、地域によっては自動車保管場所届出書が必要になることもあるので、販売店などに確認しておきましょう。
(3) 保管場所標章交付申請書(手数料/500円)
※2025年4月1日より不要
自動車保管場所証明申請書と一緒に警察に提出する書類が、保管場所標章交付申請書です。購入するクルマのメーカーやサイズ、車体番号などを記入します。2025(令和7)年4月1日から「自動車の保管場所の確保などに関する法律」の改正が施行されます。施行後は、車庫証明申請などで交付していた保管場所標章(標章シール)が廃止されます。
(4) 保管場所使用承諾証明書(1通/無料)もしくは自認書(1通/無料)
駐車場を借りている場合に大家や管理会社に捺印してもらうのが保管場所使用承諾証明書です。自認書は、駐車場所が自分の所有地の場合に必要な書類です。どちらも車庫証明の申請に必要な書類になります。
書式は自動車販売店から無料でもらえたり、警視庁や県警察の公式ウェブサイトから書式をダウンロードし印刷して使ったりすることもできます。保管場所使用承諾証明書には、使用期間の欄に駐車場の契約期間を記載しなければならないので注意してください。
(5) 所在図及び配置図(1通/無料)
車庫証明書を申請する際に、必要な書類の一つが所在図及び配置図です。自宅からの距離や駐車場の位置などを記入します。この書式も自動車販売店から無料でもらえたり、警視庁や県警察の公式ウェブサイトから書式をダウンロードし印刷して使ったりすることもできます。
(6) 委任状(1通/無料)
委任状はクルマを購入した本人に代わり、自動車販売店のスタッフなどが登録手続きを行う際に必要な書類です。通常は販売店で用意していますが、国土交通省のウェブサイトからダウンロードして使うことも可能です。委任者の部分に名前と住所を記入し、実印を押します。
新車購入時に必要な諸費用は、どのくらい?
購入時には4種類の税金のほか、手続きを行うために販売店に支払う手数料などが必要です
新車、中古車問わずクルマを購入する際には車両本体価格に加えて、税金や諸費用が発生します。税金は、自動車税種別割(軽自動車税種別割)、自動車税環境性能割(軽自動車税環境性能割)、自動車重量税、消費税の4種類。諸費用は、検査登録手続き代行費用、車庫証明取得代行費用、納車費用、自動車リサイクル料金のほか、自賠責保険料が必要です。さらに、任意保険とも言われる自動車保険に加入する費用も必要になります。
自動車税種別割(軽自動車税種別割)、自動車税環境性能割(軽自動車税環境性能割)、自動車重量税は環境性能の高い次世代車を購入すると免除や軽減されます。また、下に記した諸費用(6)~(8)は人件費が大きく占めていて、自動車販売店によって異なります。
●新車購入時に必要な諸費用
(1)
自動車税種別割(軽自動車税種別割)
(2)
自動車税環境性能割(軽自動車税環境性能割)
(3)
自動車重量税
(4)
自動車リサイクル料金
(5)
自賠責保険料
(6)
検査登録手続き代行費用
(7)
車庫証明取得代行費用
(8)
納車費用
※オプション装備を含めた車両本体価格と消費税、任意保険料は除いています。
(1) 自動車税種別割(軽自動車税種別割)
搭載しているエンジンの排気量によって税額が決まるのが、自動車税種別割という税金です。電気自動車や燃料電池車といったエンジンを搭載していないクルマは、1L以下の税金を納めることになります。軽自動車は「乗用」と「貨物(バン)」で区分され、それぞれ年額で納めます。また、新車登録から13年が経過したクルマは自動車税が高くなります。
●自動車税の詳細はこちら(東京都主税局)
(2) 自動車税環境性能割(軽自動車税環境性能割)
2019年10月から導入された取得時にかかる税金で、燃費性能が高いクルマほど税率が低くなります。取得価格に税率を掛けた金額を納めます。環境性能の高い次世代車は非課税です。
●自動車税環境性能割の詳細はこちら(東京都主税局)
(3) 自動車重量税
車両の重量によって納める金額が異なる税金です。自動車重量税は1年ごとにかかる税金ですが、新規登録時や車検時にまとめて支払います。エコカー減税により、環境性能の高い次世代車などの対象車は、免税・軽減される一方で、新規登録から13年が経過すると税額が上がり、18年経過でさらに上がります。
●自動車重量税の詳細はこちら(国土交通省)
2024年1月1日から2025年4月30日までに乗用車の新車新規登録等を行う場合の重量税額
2025年5月1日から2026年4月30日までに乗用車の新車新規登録等を行う場合の重量税額
(4) 自動車リサイクル料金
リサイクル料金は、実際には最終的に廃車処分をするときに必要な経費ですが、新車登録時にあらかじめ支払わなければなりません。車種によって金額が異なり、支払ったことの証明としてリサイクル券が発行されます。これはクルマを売るときや廃車のときに必要となり、券を紛失しても再発行ができないため、きちんと保管しておきましょう。また、一度リサイクル料金を支払ったら所有者が変わっても有効です。
●自動車リサイクル料金の詳細はこちら(公益財団法人自動車リサイクル促進センター)
(5) 自賠責保険料
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は車検の法定費用に含まれ、クルマを所有する際には必ず入らなければならない保険です。加入していないと公道を走行できません。基本的には次の車検までの期間に応じた加入月数になり、それに応じた保険料を支払います。新車の場合、自家用乗用車は24,190円、軽自動車は24,010円(ともに37か月分)です。
●自賠責保険に関する詳細はこちら(一般社団法人日本損害保険協会)
(6) 検査登録手続き代行費用
クルマを使用する際には、最寄りの運輸支局で車両の登録を行い、ナンバーの交付を受ける必要があります。その登録手続きを販売店に代行してもらう際にかかる費用が検査登録手続き代行費用です。販売店によって金額は異なりますが、1万円〜3万円程度かかります。自動車販売店によっては、車庫証明取得代行費用と納車費用も含めた手数料としている場合もあるので確認しておきましょう。
(7) 車庫証明取得代行費用
普通車の場合、クルマの保管場所を確保している証拠として、車庫証明書を警察署から交付してもらう必要があります。車庫証明代行費用とは、この手続きを販売店に代行してもらうための費用です。自動車販売店によって差はありますが、1万円〜3万円程度の費用がかかります。
(8) 納車費用
クルマを販売店から購入者の自宅へ納車するための費用です。販売店と自宅の距離によって金額が変わりますが、クルマで30分以内の距離であれば5,000円〜1万円、2時間以内の場合は1万円〜3万円が目安になります。自分でクルマを引き取りに行く場合、割引になることもあります。
新車購入時に節約できる費用ってあるの?
納車費用は自分で取りに行けば安くなる場合もあるので、販売店に相談してみましょう
新車購入時に節約できる費用は、車庫証明取得代行費用や納車費用が挙げられます。車庫証明取得代行費用は、購入したクルマを保管する場所を管轄する警察署に申請する代行費用のこと。また納車費用はナンバーを装着し、公道を走行できる準備の整ったクルマをユーザーの自宅などに届けるための費用です。この2つは販売店のスタッフに対する人件費などが含まれ、自分で行えば費用を抑えることができることもありますので、販売店と相談してみるといいでしょう。
車庫証明を自分で申請する方法と費用は?
自動車保管場所証明申請書(車庫証明書)を取得するには、保管場所使用承諾証明書(もしくは自認書)、保管場所の所在図・配置図といった書類を揃えて管轄警察署の車庫証明受付窓口に提出します。
申請手数料は都道府県によって異なりますが、東京都の場合は2,100円です(2025年4月1日以降は2,400円)。交付までの期間も都道府県により異なりますが、だいたい平日中2日で交付されます。車庫証明交付手数料として500円かかり、合計2,600円かかります。また軽自動車の標章交付手数料は東京都の場合500円で、保管場所届出書の提出から交付までの時間は即日か翌日となります。この標章は2025年4月1日以降廃止されます。
取得した車庫証明書の陸運支局への提出の有効期間は1か月。有効期間を過ぎると効力がなくなり、取り直しとなるので注意してください。
車庫証明は管轄の警察署に申請する。申請と受け取りで2回行く必要があるため手間がかかる
希望ナンバーにするには、どうすればいい?
希望ナンバー制度は、クルマのナンバープレートにユーザーの好きな番号を指定できる制度です。クルマを購入する際に販売店に依頼するのが一般的ですが、運輸支局などに隣接されている「希望番号予約センター」もしくは、全国自動車標板協議会のウェブサイトから申し込みも可能です。
希望ナンバーの取得費用は、小型・普通自動車でペイント式は3,900円~4,450円程度、字光式で5,300~5,700円程度。軽自動車では4,500円程度です。希望ナンバー制度を利用する場合、ナンバープレートの交付手数料は通常より高くなります。
また、希望ナンバーには、「抽選対象希望番号」と「一般希望番号」の2種類があります。「・・・1」や「7777」といった14種類の番号は、全国のどの地域でも「抽選対象希望番号」に指定されています。さらに地域によって抽選対象に追加されている番号もあります。
14種類の抽選対象希望番号を指定して抽選に当たらなかった場合は、納車が遅れる可能性もあるので、早めの申請をおすすめします。
●希望ナンバープレートの詳細はこちら(国土交通省)
この14種類の番号は全国すべての地域で抽選対象希望番号に指定されている。また地域によって抽選対象となる番号もあるので、事前に調べておきましょう
節約アドバイザー:丸山晴美
まるやま・はるみ ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー。22歳の時に節約に目覚め、一人暮らしをしながらも1年で200万円を貯め、26歳で住宅を購入した経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年に節約アドバイザーとして独立。食費や通信費など身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを執筆、監修している。書著に『シングルママの「お金に困らない」本』『50代から知っておきたい!年金生活の不安、解消します(共著)』など多数。
環境性能の高いクルマを選ぶのも一案です!
消費生活アドバイザーの丸山さんによれば、新車を選ぶ際には従来のガソリン車(ICEV)と比較すると走行時のCO2排出量が少ない、電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)といった環境性能が高いクルマを選ぶことも一案とのこと。
CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金
)と自治体独自に実施している補助金等を併用することで、高額になりがちな車両購入費用を抑えることができます。ただし補助金制度は予算の上限があるため、受け付けが終了している場合もあるので、注意が必要です。
また、エコカー減税は段階的に燃費基準や減税率等が変更になるため、新車新規登録期間と車両の燃費基準等も検討する必要があります。エコカー減税は2026年4月30日(車両の新規登録日)で終了予定ですので参考にしてください。