自転車で走行中、速度を落とさずに歩道を通ったら、違反?
あなたの行動、ひょっとしたら違反かも自転車で歩道を走行するシーンをクイズにしました。自転車に乗る際、違反かどうかを気にしないまま通行してしまいがち。どこが違反にあたる運転行為なのかをクイズで再確認しましょう。
自転車で、車道の左端を時速20kmほどで走っていると、渋滞している車列が前方に見えました。片側1車線の道路は道幅が狭く、左端に自転車が通れるスペースはほとんどありません。急いでいたので、自転車と歩行者が描かれている青い標識がある歩道を走ることにしました。歩道にはほとんど人がいなかったので速度を落とさずに歩道を通行し、車道が空いてきたのを確認して、再び車道に戻りました。
この行為は、以下の選択肢のうち、どれに該当するでしょうか?
- 1.歩道を徐行して通行しなかったので違反
- 2.この歩道で、自転車を降りて押さなかったので違反
- 3.安全を確保できていれば、歩道での速度に規制はないので、違反ではない
-
答え:1. 歩道を徐行して通行しなかったので違反
イラストをよく見ると、駐車禁止の標識の横に、「歩行者優先」という補助標識が付いた青い標識があります。歩行者と自転車のマークが描いてある標識は「普通自転車歩道通行可」という意味で、その歩道を普通自転車(※)(いわゆる足踏み式自転車のこと。以下では特に断らない限り「自転車」とは普通自転車を指します)が通行できるという意味です。
道路交通法第17条は、「車両は、歩道又は路側帯(略)と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない」と、車両の通行区分について、「車道通行の原則」を規定しています。車両のうち自転車については、道交法第63条の4第1項が、自転車の歩道通行が許される場合を列記しており、その中に 「道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき」があります。
設問の道路は標識によって歩道通行が許されているので、自転車で歩道を通行することは直ちに違反となりません。ただし、自転車が歩道通行が許される場合のルールは、同条第2項で「当該歩道の中央から車道寄りの部分(略)を徐行しなければなら」ないとされています。
「徐行」とは、「直ちに停止することができるような速度で進行すること」(道交法第2条1項20号)ですから、車道を走行してきた時速20kmほどのまま、人がいる歩道を減速せず歩道を走行することは、徐行にあたらないでしょう。
従って、正解は1の「歩道を徐行して通行しなかったので違反」です。-
※普通自転車とは、一般に使用されている自転車で、車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準(下記)に適合する自転車で、他の車両をけん引していないものを指します。
・車体の大きさ
長さ190cm以内 幅60cm以内
・車体の構造
4輪以下であること
側車を付けていないこと(補助輪は除く)
運転者以外の乗車装置を備えていないこと(幼児用乗車装置を除く)
ブレーキが、走行中容易に操作できる位置にあること
歩行者に危害を及ぼすおそれがある鋭利な突出部がないこと
この標識がある場所では、自転車から降りずに歩道を通行できますが、歩行者が優先です。自転車は歩道の中央から車道寄りの部分を徐行しなければならず、歩行者の通行を妨げるときには一時停止をしなければなりません。
自転車は車道を走るのが原則で、歩道を通行するのはあくまで例外です。やむを得ず自転車で歩道を走る場合でも、歩道に面して住宅や店舗が並んでいることも多く、いつ人が出てくるかわかりません。たとえ歩行者がいない歩道でもすぐに止まれるよう、徐行する必要があるのです。
道路交通法
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(略)
20 徐行 車両等が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。
(後略)
(通行区分)
第17条 車両は、歩道又は路側帯(以下この条及び次条第1項において「歩道等」という。)と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。(以下略)
(普通自転車の歩道通行)
第63条の4 普通自転車は、次に掲げるときは、第17条第1項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでない。
1 道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき。
2 当該普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき。
3 前2号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき。
2 前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(道路標識等により普通自転車が通行すべき部分として指定された部分(以下この項において「普通自転車通行指定部分」という。)があるときは、当該普通自転車通行指定部分)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。ただし、普通自転車通行指定部分については、当該普通自転車通行指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる。(以下略) -
※普通自転車とは、一般に使用されている自転車で、車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準(下記)に適合する自転車で、他の車両をけん引していないものを指します。
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松居英二
まつい・えいじ 弁護士。(公財)日弁連交通事故相談センターの委員・相談員として交通事故に関する法律相談、損害賠償額算定基準の作成などに参加。「JAF Mate」誌では2004年から2017年まで「クルマ生活Q&A」の法律相談を担当。