追越禁止の標識がある住宅街の道路で、原付バイクを追いこすイメージ
監修=松居英二(弁護士)/イラスト=どいまき/文=原田磨由子

追越禁止の補助標識がある住宅街の道路。前を走る一般原付を追い越すのは、違反?

道路交通法や道路運送車両法など、覚えておきたい交通ルールをクイズでチェック!

交通量の少ない住宅街の道。対向車はいない状況ですが、原付バイクを追い越すことは違反なのでしょうか?

道路を通行するにあたっては、守らなければならない交通ルールがあります。しかし、長く運転しているうちに違反かどうかを気にしなくなってしまうことも。どこが違反にあたる運転行為なのかをクイズで再確認しましょう。

閑静な住宅街の道路で、原付バイク(一般原付)が前を時速20㎞ほどで走っていました。道路にはセンターラインはなく、他に通行している車両もいません。十分に周囲の安全を確認したうえで、指定最高速度(30km/h)を超えないように気を付けながら原付バイクを追い越しました。
この運転行為は、以下の選択肢のうち、どれに該当するでしょうか?

答え:3. 追い越しをしたので、違反

イラストをよく見てください。前方に道路標識が立っていますが、速度標識の下に「追い越しのための右側部分はみ出し通行禁止」の標識と長方形の「追い越し禁止」と書かれた補助標識とがあります。このような追越禁止に関する標識と補助標識とがセットで設置された間の道路では、対向車がいない場合でも追い越し行為は認められません。「追い越しのための右側部分はみ出し通行禁止」を示す黄色いセンターラインの道路標示がなくても、これらの標識によって追い越し行為が禁止されています。

ちなみに、「追越禁止」の補助標識が付いていない場合は、「追い越しのための右側部分はみ出し通行禁止」となり、道路の右側部分にはみ出さないのなら、追い越し行為自体は禁止されません。

従って、正解は3の「 追い越しをしたので、違反」となります。

道路交通法第30条では、道路標識などによって追い越しが禁止されている道路では、他の車両を追い越すために進路を変更し、または前車の側方を通過してはならないことが定められています。違反した場合は、違反点数2点、反則金は9,000円となります。見通しが良くない道路などで規制されている場合が多く、対向車がいなくても、交通量が少なくても、追い越しは禁止されています。

道路交通法40条は、追い越しが禁止される「追い越される側の車両」について、「特定小型原動機付き自転車等」を除くとしています。この「等」は、軽車両(足踏み式の自転車など)、路面電車のことです。
最近街でよく見かける電動キックボードの多くは特定小型原動機付き自転車となり、免許不要で運転でき、最高速度は時速20km以下であるというのが特徴です。追い越し禁止区間であっても自転車と同様に特定小型原動機付き自転車は対象外のため、追い越しても違反とはなりませんが、除外されるのは「追い越される側」のときだけなので、特定小型原動機付き自転車等が自動車等を追い越すことは違反になります。

追い越し禁止の場所で違反しないようにするのはもちろんのことですが、追い越すことができる場合でも、相手とのや速度に十分注意し、相手が危険を感じないよう配慮するのも安全運転のマナーとなります。


道路交通法
(追越しを禁止する場所)
第30条 車両は、道路標識等により追越しが禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、他の車両(特定小型原動機付自転車等を除く。)を追い越すため、進路を変更し、又は前車の側方を通過してはならない。
(以下略)

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松居英二

まつい・えいじ 弁護士。(公財)日弁連交通事故相談センターの委員・相談員として交通事故に関する法律相談、損害賠償額算定基準の作成などに参加。「JAF Mate」誌では2004年から2017年まで「クルマ生活Q&A」の法律相談を担当。

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