「警笛鳴らせ」の標識があるのにクラクションを鳴らさないのは、違反?
道路交通法や道路運送車両法など、覚えておきたい交通ルールをクイズでチェック!普段見かけることが少ない「警笛鳴らせ」の標識がある道を走行する際、周囲にクルマや歩行者がいなければ警笛を鳴らしてはいけないのでしょうか? 道路を通行するにあたっては、道路交通法をはじめ道路運送車両法など、守らなければならない交通ルールがありますが、長く運転しているうちに違反かどうかを気にしないまま運転したり、通行してしまいがち。どこが違反にあたる運転行為なのかをクイズで再確認しましょう。
郊外にドライブにでかけました。道路は左にカーブしており、正面は公園のため進入禁止のようです。カーブ手前に「警笛鳴らせ」の標識が立っていましたが、遊歩道には歩行者がおり、対向車線には自転車がいたので、驚かせてはいけないと思いクラクションは鳴らしませんでした。
カーブは先の見通しが悪かったので、周辺の交通に注意しながら速度の標識のとおり時速20km以下で通行しました。
この運転行為は、以下の選択肢のうち、どれに該当するでしょうか?
- 1 . 対向する自動車がいなかったので、鳴らさなくても違反ではない
- 2 . 「警笛鳴らせ」の標識があるのに、クラクションを鳴らさなかったので違反
- 3 . 自転車や歩行者が驚くので、「警笛鳴らせ」の標識がある場合もクラクションを鳴らさなくても違反ではない
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答え:2. 「警笛鳴らせ」の標識があるのに、クラクションを鳴らさなかったので違反
車両等の運転者は、法令の規定で鳴らすことを義務付けられている場合以外には、危険を防止するためやむを得ないときを除いてクラクションを鳴らすことは許されていません(道交法第54条2項)から、むやみにクラクションを鳴らさないという心がけは間違っていません。
しかし、「警笛鳴らせ」と道路標識で指定された場所で鳴らさないと違反になります。
設問の道路には、カーブの手前に「警笛鳴らせ」の標識がありますから、たとえ近くに歩行者や自転車がいたとしても、カーブの手前でクラクションを鳴らす義務があります(道交法第54条1項1号)。
従って正解は 2の「『警笛鳴らせ』の標識があるのに、クラクションを鳴らさなかったので違反」です。
クラクション(警音器)を鳴らせと指示する標識には、「左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所」(道交法54条1項1号)に設置される「警笛鳴らせ」の標識と、「山地部の道路その他曲折が多い道路」の一定の区間において「左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上」ごと(同項2号)に警笛を鳴らすように指示する標識(「警笛鳴らせ」の標識と「警笛区間」を示す赤い矢印の補助標識とを組み合わせられたもの)があります。
これらの標識が設置されているのは、山間地や曲がりくねった狭い道路、見通しが悪く危険な道などに限られているため、普段は目にする機会が少ないかもしれません。山間地でも整備されて道幅が広くなっている道路で見ることはありませんし、都市部では見かけることはほとんどないでしょう。
しかし、標識で鳴らさなければならないと定められている場所では、不注意やうっかりでも鳴らさないと違反となり罰則の対象になります。
警音器吹鳴義務違反(鳴らすべき場所で警笛を鳴らさない違反)は、交通反則通告制度の対象になっているので、違反に対して交通反則告知書(青切符)が発行されます(普通車の場合反則金6,000円)。また、行政処分として違反点数1点が科されます。
普段、クラクションは危険回避のためにやむを得ず鳴らすという場合がほとんどだと思われますが、標識があるときに使用しないことは違反となってしまいます。いつもは市街地しか運転しない人でも、春休みや夏休みに山間部をドライブする機会もあるでしょう。警笛鳴らせの標識は危険防止のためのものなので、意味を正しく理解して、安全のために正しい行動を取るようにしましょう。
道路交通法
(警音器の使用等)
第54条 車両等(自転車以外の軽車両を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、次の各号に掲げる場合においては、警音器を鳴らさなければならない。
一 左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき。
二 山地部の道路その他曲折が多い道路について道路標識等により指定された区間における左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上を通行しようとするとき。
2 車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。
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松居英二
まつい・えいじ 弁護士。(公財)日弁連交通事故相談センターの委員・相談員として交通事故に関する法律相談、損害賠償額算定基準の作成などに参加。「JAF Mate」誌では2004年から2017年まで「クルマ生活Q&A」の法律相談を担当。
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