酒に酔って路上に寝るイメージ
監修=松居英二(弁護士)/イラスト=どいまき/文=原田磨由子

酒に酔って路上で居眠り。それが交通に支障を来したら、違反?

道路交通法や道路運送車両法など、覚えておきたい交通ルールをクイズでチェック!

酒に酔って路上で寝てしまい、自動車などの通行を妨げる……。クルマの運転をしたわけではありませんが、何かの違反になるのでしょうか?

道路を通行するにあたっては、守らなければならない交通ルールがあります。それはクルマや自転車を運転しない歩行者であっても同じ。しかし、多くの人が普段から交通ルールを気にしないで生活しているのではないでしょうか。どこが違反にあたる行為なのかをクイズで再確認しましょう。

友人たちとの飲み会で大いに盛り上がった帰り、酔いざましの飲み物を買うためにコンビニに立ち寄り、コンビニの前で少し休むことにしました。自分で思っていたよりも酔っていたようで、座り込んだ後は記憶がなく、そのまま前の道路に倒れこむように寝入ってしまい、しばらくして通りかかったクルマのドライバーに起こされました。コンビニ前の道路は交通量が少なく、道幅も広くはないので、通行するクルマの邪魔になっていたようです。
この行為は、以下の選択肢のうち、どれに該当するでしょうか?

答え:1. 道路上で寝て交通の妨害になったので、違反

テレビのニュースなどで、酒に酔って路上で眠りこける人の映像を見たことはありませんか? 繁華街では珍しくない光景で、忘年会、歓送迎会シーズンや開放的な夏に増える傾向があるようです。

過度な飲酒は、理性的な思考を司る前頭葉の働きを鈍くすると言われています。自動車などにひかれる危険だけでなく、犯罪に巻き込まれたり、真冬ならば低体温症で死に至ることもありうるのに、路上で寝るなどとは、しらふのときには考えられないこと。飲酒によって前頭葉の働きが低下した証拠です。

道路交通法では、道路上に交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しゃがみ、又は立ちどまる行為を禁止しており(第76条4項2号)、その違反は5万円以下の罰金になることもあります。

従って、正解は1の「路上で寝て交通の妨害になったので、違反」となります。

路上で寝てしまったときには酔いで正常の判断ができなくなっていたとしても、そうなるほど酔っ払わないようにしなければいけませんから、交通の妨害となるような寝そべりは道路交通法違反になるのです 。

なお、路上に寝そべらなくても、酒に酔って道路で、交通の妨害となるような程度にふらつく行為も、道交法で禁止されています(第76条4項1号)。

警察庁が公表する「令和6年における交通事故の発生状況について 」によると、65歳未満の歩行中事故の死者数のうち、路上横臥(おうが=寝そべること)は23.3%、そのうちの75%が夜間の「飲酒あり」だったとされています。

道路に横たわってしまうことは、クルマや他の歩行者の通行を妨害することはもちろん、不幸な事故に至る可能性が高くなります。

このような事故発生状況をみると、自分がドライバーとして運転する場合には、場所や季節、時間帯によっては道路上で寝ている人がいる危険性も意識して運転することがわかります。

「飲んだら乗るな」は定着しましたが、「飲んだら道で寝るな」ということも広まってほしいものです。


道路交通法
(禁止行為)
第76条
(中略)
4 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
一 道路において、酒に酔つて交通の妨害となるような程度にふらつくこと。
二 道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しやがみ、又は立ちどまつていること。
(以下略)

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松居英二

まつい・えいじ 弁護士。(公財)日弁連交通事故相談センターの委員・相談員として交通事故に関する法律相談、損害賠償額算定基準の作成などに参加。「JAF Mate」誌では2004年から2017年まで「クルマ生活Q&A」の法律相談を担当。

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