歩行者専用道路の標識に「軽車両を除く」という補助標識がある道路。歩行者専用道路に指定された時間帯に進入する軽自動車
監修=松居英二(弁護士)/イラスト=どいまき/文=原田磨由子

「軽車両を除く」という補助標識がある道路。歩行者専用道路の時間に軽自動車で通行したら、違反?

道路交通法や道路運送車両法など、覚えておきたい交通ルールをクイズでチェック!

歩行者専用道路になる時間帯に、「軽車両を除く」という補助標識がある道路へ軽自動車で進入することは違反ではないのでしょうか?
道路を通行するにあたっては、守らなければならない交通ルールがあります。それはクルマや自転車、歩行者であっても同じ。普段から違反かどうかを気にしないで通行しているのではないでしょうか。どこが違反にあたる運転行為なのかをクイズで再確認しましょう。

軽自動車を運転しています。青地に白い歩行者のマークが描かれた、歩行者専用道路の規制標識が立っていて、標識の下には歩行者専用になる時間・曜日と、「軽車両は除く」と記載された補助標識が付いている道路にさしかかりました。歩行者専用道路の時間帯ではあるものの、軽車両は除外されているので、軽自動車は通行してもよいと考えました。規制時間ではありましたが、通行中の人や自転車に注意しながら進入しました。
この運転行為は、以下の選択肢のうち、どれに該当するでしょうか?

答え:2. 軽車両は軽自動車が含まれないので、進入するのは違反

軽車両と軽自動車とを混同している人は、少なからずいるのではないでしょうか。

軽車両は、自転車やリヤカー、馬車など、原則として原動機を持たない車両の総称です。道路交通法では「自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつレールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含み、【以下略】)」と定義されています(道路交通法第2条1項11号イ)。なお、2023年の道路交通法の改正により新設された特定小型原動機付自転車(電動キックボードなど)も、一定の条件を満たす場合には軽車両に含まれることとなりました(同号ロ)。

これに対して軽自動車は、道路運送車両法上の分類で、国土の狭い日本独自の規格で定められた、特定のサイズと排気量の条件を満たす三輪、および四輪自動車を指します。現在の規格では、全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下、エンジンの排気量660cc以下。乗車定員は4名以下、貨物積載量は350kg以下と定められています。

軽自動車は、道路交通法では自動車(道交法第2条1項9号)に分類される車両であり、軽車両ではありません。

従って、正解は2の「軽車両は軽自動車が含まれないので、進入するのは違反」となります。


道路交通法
(定義)
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(略)
九 自動車 原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車又は特定自動運行を行う車であつて、原動機付自転車、軽車両、移動用小型車、身体障害者用の車及び遠隔操作型小型車並びに歩行補助車、乳母車その他の歩きながら用いる小型の車で政令で定めるもの(以下「歩行補助車等」という。)以外のものをいう。
(略)
十一 軽車両 次に掲げるものであつて、移動用小型車、身体障害者用の車及び歩行補助車等以外のもの(遠隔操作【車から離れた場所から当該車に電気通信技術を用いて指令を与えることにより当該車の操作をすること(当該操作をする車に備えられた衝突を防止するために自動的に当該車の通行を制御する装置を使用する場合を含む。】をいう。以下同じ。)により通行させることができるものを除く。)をいう。
ロ 原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、車体の大きさ及び構造を勘案してイに準ずるものとして内閣府令で定めるもの
(以下略)

冬休みや夏休みに、スクールゾーンに進入するのは違反? 答えは下のイラストから

オレンジ色の車の運転席から見た都市部の道路風景。前方には緑色の路側帯があり、複数の猫のキャラクターが自転車や徒歩で通行している。道路中央には白い文字で『スクールゾーン 7:30〜8:30』と書かれている。左側の歩道には標識が並び、上から順に『歩行者専用』『最高速度30km/h』『軽車両除く通行止め(7:30〜8:30)』『駐車禁止』『重量3t以上通行止め』が表示されている。左側には歩行者と犬、右側には街路樹とビルが並ぶ。運転席には猫のキャラクターがハンドルを握り、カーナビ画面が見える

冬休みや夏休み、春休みといった学校が長期の休みとなるとき、児童が少ないからといって平日朝のスクールゾーンへクルマ進入してもいいのでしょうか。
答えは上のイラストをクリック!

追越禁止の補助標識がある道路で、前を走る一般原付を追い越すのは違反? 答えは下のイラストから

住宅街の狭い道路を走行する青いワンボックスカーと、その後方を走るオレンジ色のヘルメットを着用したバイクのライダー。道路の左側には植え込みと歩道があり、右側には白い塀と緑の植木が並ぶ。左側の歩道には3枚の標識が立っており、上から順に『最高速度30km/h』『区間内』『車両進入禁止(自転車を除く)』『駐車禁止』と表示されている。道路中央には赤い矢印が描かれ、進行方向を示している。背景には青空と白い雲、遠くに住宅の屋根が見える

交通量の少ない住宅街の道。対向車はいない状況ですが、「追越禁止」の補助標識がある道路で、原付バイクを追い越すことは違反なのでしょうか?
答えは上のイラストをクリック!

実は「通ってはいけない」道路かも!? 補助標識の見落としが招く交通違反と事故の危険

黄色い車を運転する人物が驚いた表情でハンドルを握っているイラスト。背景には都市のビル群があり、周囲に複数の道路標識が散りばめられている。標識には『進入禁止』『右折禁止』『左折・直進のみ』『歩行者専用』『大型貨物』『積載3t』『速度制限50』『ここから』『ここまで』『8-20』『日曜・休日を除く』などが含まれる。左上には『JMO特命調査団』のロゴ、右下には『JMO SPECIAL MISSIONS』の文字が配置されている

道路標識の下に付いている「補助標識」。それを正しく見ていないドライバーが、実は驚くほど多い。その実態を明らかにするべく調査しました。補助標識を見落としたことのあるドライバーの割合は?
詳しくは上のイラストをクリック!

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松居英二

まつい・えいじ 弁護士。(公財)日弁連交通事故相談センターの委員・相談員として交通事故に関する法律相談、損害賠償額算定基準の作成などに参加。「JAF Mate」誌では2004年から2017年まで「クルマ生活Q&A」の法律相談を担当。

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