車の運転席から見たカーナビ画面と、助手席に座るキャラクター。前方には紅葉した並木道と近代的な建物が見えるイラスト
監修=松居英二(弁護士)/イラスト=どいまき/文=原田磨由子

視界を遮るようにスマートフォンをダッシュボードに設置して運転したら、違反?

道路交通法や道路運送車両法など、覚えておきたい交通ルールをクイズでチェック!

ダッシュボードの上にスマホを設置してカーナビとして使用。クルマの直前は見にくくなったものの、手で触れることもないこの行為は、違反になるのでしょうか?

道路を通行するにあたっては、守らなければならない交通ルールがあります。それはクルマや歩行者、自転車であっても同じ。普段から違反かどうかを気にしないで通行しているのではないでしょうか。どこが違反にあたる運転行為なのかをクイズで再確認しましょう。

クルマを運転中、スマートフォンのアプリをカーナビとして使用しています。ナビとしての精度にも問題なく、クルマに装備されているナビの出番がなくなるほどです。見やすいようにクルマのダッシュボードに専用のマウントで固定しているので、視線をあまり動かすことなくナビ画面を確認できる点も便利だと思います。常に前方の視界の一部を覆うようにスマホがあり、クルマの直前に確認しにくいところもありますが、スマホのカーナビ画面を見るのに視線移動をが少なくて済むので問題はないと考えています。
この運転行為は、以下の選択肢のうち、どれに該当するでしょうか?

答え:1. 前方の視界を遮るようにスマートフォンを設置したので、違反となることがある

歩行中に、スマートフォンの地図機能をナビとして利用する人は多いのではないでしょうか。知らない土地や道に迷ったときには本当に便利ですね。移動速度が上がっても精度は変わらないので、クルマに搭載して使用する人も多いことでしょう。しかし、クルマのダッシュボードに固定して使用する場合には、運転席から十分な視界を確保しなければ違反となります。

道路交通法は、整備不良車を運転することを禁止しています(同法第62条)。整備不良車とは、道路運送車両法とこれに基づき国土交通省が定める道路運送車両の保安基準に適合しないため、交通の危険を生じさせたり、他人に迷惑を及ぼすおそれがある車両等のことをいいます。

道路運送車両の保安基準は運転者席からの前方視界について、「自動車の運転者席は、運転に必要な視野を有し、かつ、乗車人員、積載物品等により運転操作を妨げられないものとして、運転者の視野、物品積載装置等との隔壁の構造等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない」(道路運送車両の保安基準第21条)と定めていますので、視界を妨げるものを車内に設置することは違反となるのです。

従って、正解は1の「前方の視界を遮るようにスマートフォンを設置したので、違反となることがある」となります。

「運転に必要な視野」の基準は告示で定められており、「自動車の前方2mにある高さ1m、直径 0.3mの円柱(6歳児を模したもの)の少なくとも一部を、鏡等を用いず直接確認できること」とされています(道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第105条)。

イラストのような設置では、スマートフォンとマウントによって必要な視野が遮られていますので、違反となる恐れがあります。なお、このような違反では、普通車で違反点数2点、反則金9,000円となります。

スマートフォンをナビとして使用するのは便利ですが、使用時に視界が狭くなってしまっては安全にクルマを運転できなくなります。また、スマホに限らず、ダッシュボード上に物を置くと、衝突時にエアバッグが展開した際、その物が飛んでくることがあります。

スマホをカーナビ代わりに使用する場合は、視界を遮らない場所に置くだけでなく、たとえエアバッグが展開しても影響のない場所に、しっかりと設置することも大切です。


道路運送車両の保安基準
(座席)
第21条 自動車の運転者席は、運転に必要な視野を有し、かつ、乗車人員、積載物品等により運転操作を妨げられないものとして、運転者の視野、物品積載装置等との隔壁の構造等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。

前方視界に影響しないよう、三角窓にスマホをホルダーで三角窓に固定してもいいのか? 答えはイラストをクリック!

前方視界に影響しないよう、三角窓にスマホをホルダーで三角窓に固定してもいいのか?
答えはイラストをクリック!


運転中、耳に当てなければ手に持ってスピーカー通話してもいいのか? 答えはイラストをクリック!

車の運転席に座る猫のキャラクターが、運転中にスマートフォンで電話を受けている様子を描いたイラスト。車内にはカーナビが設置されており、背景には道路や歩道、ガードレールが見える。ハンドルを片手で持ちながら、もう一方の手でスマートフォンを持ち、画面には通話中のアイコンが表示されている

スピーカーをONにしたスマートフォン。耳に当てることなく、手に持って通話しながら運転したら違反になるのか?
答えはイラストをクリック!

JAF会員限定! 特別プレゼント

書籍の表紙

JAF会員の皆様を対象に、単行本『JAFこうつうあんぜんシールえほん』を抽選で3名にプレゼントします。同書は、交差点や踏切、横断歩道など、街で見かける交通場面に、交通標識や自動車のシールを貼って子供が交通ルールを楽しみながら学べる絵本です。

・プレゼント内容:『JAFこうつうあんぜんシールえほん』
・当選者数:3名(発表は発送をもって代えさせていただきます)
・応募方法:下記応募フォームをクリックしてログインIDとパスワードを入力。
※応募にあたってはJAFマイページと同じID・パスワードでのログインが必要です。
・応募締切:2025年11月9日

書籍のページ紹介

シールは貼っても剥がすことが可能です

書籍のページ紹介

シールを貼れるまちは3種類

書籍のページ紹介

書籍のページ紹介

応募は下のボタンをクリック!

PR

「JAFトレ」ことJAF交通安全トレーニングでは、交通安全教育の教材をeラーニング形式で提供します。
従業員の皆様の学習結果を蓄積・管理することで、企業・団体の安全運転管理をお手伝いいたします。

松居英二

まつい・えいじ 弁護士。(公財)日弁連交通事故相談センターの委員・相談員として交通事故に関する法律相談、損害賠償額算定基準の作成などに参加。「JAF Mate」誌では2004年から2017年まで「クルマ生活Q&A」の法律相談を担当。

この記事はいかがでしたか?
この記事のキーワード
あなたのSNSでこの記事をシェア!