スリップサインが現れたタイヤ。そのタイヤを履いたままクルマを運転したら、違反?
道路交通法や道路運送車両法など、覚えておきたい交通ルールをクイズでチェック!タイヤにスリップサイン(ウェア・インジケーター)が現れた状態のクルマを運転したら、違反になるのでしょうか?
道路を通行するにあたっては、道路交通法をはじめ道路運送車両法など、守らなければならない交通ルールがあります。自動車教習所で習っていても、長く運転しているうちに違反かどうかがあいまいになってしまいがち。どこが違反にあたる運転行為なのかをクイズで再確認しましょう。
クルマを購入して数年たち、そろそろタイヤの替え時であることは認識していました。洗車するときなど、タイヤの溝のチェックもしていたつもりですが、先日ガソリンスタンドでタイヤの空気圧を見てもらったときに、「もうスリップサインが出ているから、すぐにでもタイヤを替えたほうがいい」と言われました。タイヤ交換は出費が大きいためその場では決断できず、いったん帰宅して交換時期について検討しました。
この行為は、以下の選択肢のうち、どれに該当するでしょうか?
- 1 . スリップサインが現れているタイヤを履いたクルマを運転したので、違反
- 2 . タイヤの溝の深さが5㎜を切っているので、違反
- 3 . タイヤはすり減っているものの、溝がまだ残っているので、違反ではない
-
答え:1.スリップサインが現れているタイヤを履いたクルマを運転したので、違反
スリップサインとは、タイヤの溝にしるされた摩耗限度表示という印。このサインが現れたときが摩耗によるタイヤの使用限度で、これ以上このタイヤで走るのは危険だという知らせです。
車検制度などを定める道路運送車両法は、車両が備えるべき性能や状態について保安基準を定めており、自動車のタイヤの溝の深さは1.6mm以上なければならないとされています(道路運送車両の保安基準第9条2項、道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第89条4項二号)。スリップサインは、その違反となるタイヤの溝が1.6mm未満になったことを知らせるものです。
従って答えは1の「スリップサインが現れているタイヤを履いたクルマを運転したので、違反」となります。スリップサインは、タイヤ側面部分の△のマークが目印。このマークの先はタイヤの溝が浅くなっており、タイヤがすり減ってこの部分が接地面と同じ高さになると、残り溝の深さが1.6mmとなる
スリップサインの現れる場所は、タイヤのトレッド(接地面)に数か所あります。タイヤの溝の底に盛り上がった部分があり、溝の深さが1.6mmまですり減ると、その部分がトレッド面と同じ高さになるとスリップサインが現れます。
このようなタイヤで公道を走行すると、整備不良の車両を運転したことになり道路交通法違反になります(道路交通法第62条)。
すり減ったタイヤは雨天時の制動距離が大幅に延びる危険性があります。また、いきなりバーストするおそれもあり、大変危険です。いくら安全運転を意識しても、すり減ったタイヤでは意味がありません。
スリップサインはタイヤ側面にある△マークの延長線上の溝に現れます。常日頃から、空気圧とスリップサイン、くぎが刺さっていないかなど、タイヤチェックを習慣にしてください。
道路交通法
(整備不良車両の運転の禁止)
第62条 車両等の使用者その他車両等の装置の整備について責任を有する者又は運転者は、その装置が道路運送車両法第3章若しくはこれに基づく命令の規定(同法の規定が適用されない自衛隊の使用する自動車については、自衛隊法(昭和29年法律第165号)第114条第2項の規定による防衛大臣の定め。以下同じ。)又は軌道法第14条若しくはこれに基づく命令の規定に定めるところに適合しないため交通の危険を生じさせ、又は他人に迷惑を及ぼすおそれがある車両等(次条第1項及び第71条の4の2第2項第1号において「整備不良車両」という。)を運転させ、又は運転してはならない。
道路運送車両の保安基準
(走行装置等)
第9条 自動車の走行装置(空気入ゴムタイヤを除く。)は、堅ろうで、安全な運行を確保できるものとして、強度等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。
2 自動車の空気入ゴムタイヤは、堅ろうで、安全な運行を確保できるものとして、強度、滑り止めに係る性能等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示
(走行装置)
第89条 自動車の走行装置の強度等に関し、保安基準第9条第1項の告示で定める基準は、次項及び第5項に掲げる基準とする。
(中略)
4 自動車の空気入ゴムタイヤの強度、滑り止めに係る性能等に関し、保安基準第9条第2項の告示で定める基準は、次の各号及び次項に掲げる基準とする。
(中略)
二 接地部は、滑り止めを施したものであり、滑り止めの溝(最高速度40km/h未満の自動車、最高速度40km/h未満の自動車に牽引される被牽引自動車、大型特殊自動車及び大型特殊自動車に牽引される被牽引自動車に備えるものを除く。)は、空気入ゴムタイヤの接地部の全幅(ラグ型タイヤにあっては、空気入ゴムタイヤの接地部の中心線にそれぞれ全幅の4分の1)にわたり滑り止めのために施されている凹部(サイピング、プラットフォーム及びウエア・インジケータの部分を除く。)のいずれの部分においても1.6mm(二輪自動車及び側車付二輪自動車に備えるものにあっては、0.8mm)以上の深さを有すること。この場合において、滑り止めの溝の深さについての判定は、ウエア・インジケータにより判定しても差し支えない。
(以下略)
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松居英二
まつい・えいじ 弁護士。(公財)日弁連交通事故相談センターの委員・相談員として交通事故に関する法律相談、損害賠償額算定基準の作成などに参加。「JAF Mate」誌では2004年から2017年まで「クルマ生活Q&A」の法律相談を担当。
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