自動車交通トピックス

本格的な梅雨シーズン到来! タイヤの残り溝をチェックしないとどうなる?

摩耗したタイヤの制動距離は約1.7倍にも!

2023.06.02

文/津島 孝

2023.06.02

文/津島 孝

1年点検を受けると、だれにでもチャンス

1年で降水量が多いのは6月と9月。地域によって差はあるが、おおむね梅雨と秋雨前線が活発化する時期に降水量が集中する。気象庁によると2023年の梅雨入りは例年より6~8日ほど早く、6月上旬には本格的な梅雨シーズンとなる見込み。雨の日は交通事故のリスクが高まることでも知られている。事故を防ぐには、慎重な運転を心がけることはもちろんだが、タイヤの残り溝などを点検しておくことも重要だ。

首都高速では雨天時は7倍も事故が増加する!

雨で濡れた路面は滑りやすく、しかも視界も悪化するためスリップによる接触事故も多くなる。首都高速道路株式会社がまとめた2022年度のデータによると、雨天時は晴天時(雨天時以外)の約7倍の割合で道路施設への接触事故が発生している。また、雨天時の施設接触事故は、時速60㎞以上での走行中に発生しやすい傾向があるとのこと。雨天時はスピードの出し過ぎにも注意が必要だ。

首都高における雨天時の施設接触事故割合

天候別の施設接触事故件数の比較(左:棒グラフ)と雨天時の施設接触事故の速度別割合(右:円グラフ)

雨天時の施設接触事故件数は雨天時以外の約7倍。また、雨天時の施設接触事故は時速60㎞以上で発生しやすい(出典:首都高速道路株式会社)

スリップ事故防止にはタイヤの残り溝を要チェック

スリップ事故を防ぐには、タイヤのコンディションチェックも重要だ。特に雨が多い季節は、グリップ性能につながる「残り溝」を要確認。タイヤの接地面にある溝は、タイヤと路面の間に入った雨水を排出する役割があり、溝が浅い(タイヤが極度に摩耗している)と排水がうまくいかず、スリップの原因になる。
通常の夏用タイヤは、残り溝の深さが1.6㎜まで摩耗すると、タイヤの使用限界を示すスリップサインが現れる。スリップサインが出たタイヤは使用してはいけないと法律で決められているため即交換となるが、たとえスリップサインが出ていなくても、残り溝の状態でブレーキ性能(制動距離)に差が出てくるので注意が必要だ。

タイヤの残り溝は100円硬貨を使って確認できる

タイヤの残り溝は、100円硬貨を使って簡易的に測定することができる。その方法は、100円硬貨の「1」の数字とタイヤの接地面が並行になるように、タイヤの溝へ差し込むだけ。「1」の数字が見えない場合は残り溝が5㎜以上あり、数字が見えていれば5㎜以下(残り溝が半分以下)と判別できる。「1」の数字が完全に見えている場合は、早めにタイヤを交換しておこう。

雨天時の走行と100円硬貨を使用したタイヤの残り溝点検方法

タイヤ表面の溝はタイヤと路面の間の雨水を排出する役割があり、残り溝が浅いとスリップする危険性が高くなる。残り溝の深さは身近な100円硬貨を使用して簡易的に確認することも可能。100円硬貨の「1」の数字が完全に見えるようなら、早めに交換しておこう。

残り溝の差による制動距離は濡れた路面で約1.7倍に!

では、溝の深さで制動距離はどのくらい変わるのだろうか? JAFが行ったテストでは、タイヤの溝が浅いと濡れた路面で思うように止まることができないという結果となった。テストに使用したのは、同じサイズの夏用タイヤで、新品の10分山タイヤ(溝の深さ平均7.6㎜)、5分山タイヤ(同4.7㎜)、2分山タイヤ(同3.1㎜)の3種類。それぞれドライ路面とウェット路面で、停止するまでの距離を比較した。

時速100㎞で直進し、ブレーキをかけて制動距離を検証する直線ブレーキテストで、ドライ路面では10分山、5分山、2分山ともに、ほぼ同じ距離で停止できた。ウェット路面では、10分山の制動距離はドライ路面とほとんど変わらない。ところが2分山は、ドライ路面の42.6mだったのに対し、ウェット路面では70.5mに延びた。これは約1.7倍の制動距離だ。

●直線ブレーキテスト(ドライ路面)

タイヤの溝 時速60km 時速100km
夏用 タイヤ(10分山) 17.0m(平均) 47.5m(平均)
夏用 タイヤ(5分山) 16.3m(平均) 44.1m(平均)
夏用 タイヤ(2分山) 15.8m(平均) 42.6m(平均)

●直線ブレーキテスト(ウェット路面)

タイヤの溝 時速60km 時速100km
夏用 タイヤ(10分山) 16.7m(平均) 47.6m(平均)
夏用 タイヤ(5分山) 16.7m(平均) 50.8m(平均)
夏用 タイヤ(2分山) 18.0m(平均) 70.5m(平均)

タイヤの点検をはじめ、雨天時はより慎重な運転を!

雨天時は、車間距離を十分にあけ、余裕を持ったブレーキ操作が安全運転に直結する。速度が上がるにつれて、スリップの危険性が高まるほか制動距離が延びるため、スピードを出し過ぎないことも重要だ。エルニーニョ現象によって、2023年の夏は各地で降水量が増えると予想されている。梅雨本番に向け、タイヤの空気圧や残り溝の状態を点検し、残り溝が少ない場合は早めの交換を心がけよう。

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