青色の自転車レーンを避け、左側端に寄せず左折…これって違反?
道路交通法や道路運送車両法など、覚えておきたい交通ルールをクイズでチェック!近年増えている「自転車専用通行帯」(自転車レーン)。このレーンがある道路で、クルマはどう左折すべきか知っていますか? 道路を通行するにあたっては、道路交通法をはじめ道路運送車両法など、守らなければならない交通ルールがありますが、長く運転しているうちに違反かどうかを気にしないまま運転してしまいがち。どこが違反にあたる運転行為なのかをクイズで再確認しましょう。
走行中の車線の左端は、青色で区切られた自転車専用通行帯(自転車レーン)になっています。自転車のための専用レーンなので、そこに進入しないよう気を付けて運転していました。前方の路地で左折するとき、自転車レーンに入らないよう、自転車レーンとの境界まではクルマを寄せたものの、道路の左端には寄らずに左に曲がりました。交差点の30m手前からは左ウインカーで左折の合図をし、自転車やバイクの巻き込みがないことも確認しました。
この運転行為は、以下の選択肢のうち、どれに該当するでしょうか?
- 1.自転車専用通行帯は自転車しか入ってはならないので、違反ではない
- 2.自転車専用通行帯に入って道路の左側端に寄らずに左折したので、違反
- 3.自転車専用通行帯があるところは左折できないので、違反
-
答え:2. 自転車専用通行帯に入って道路の左側端に寄らずに左折したので、違反
車両の左折方法について、道路交通法は「車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない」と定めています(道路交通法第34条第1項)。
道路に自転車レーンが指定されている場合でも、道路標示などによって左折する車両の進入が禁止されているのでなければ、左側端とはその道路における左側端となりますので、自転車レーンに入って左端に寄らなければならないのです。
なお、道路に縁石や柵等によって「自転車道」(道交法2条1項3号の3)がある場合には、自動車は、道路外の施設などに出入りするためやむを得ないとき以外はそこを通行できませんから(道交法第17条3項)、自転車道との境が左側端となります。
最近では車道と歩道の間に、自転車レーンが設けられている道路が増えてきました。自転車のための専用レーンなので、自動車で入ってはいけないと感じる人もいるかと思いますが、自転車レーンが設定されていても、バス専用レーンが設定されている道路と同様に、左折する場合は原則通り、できる限り左側端に寄ってから曲がらなければならないのです。
従って答えは2の「自転車専用通行帯に入って道路の左側端に寄らずに左折したので、違反」となります。
道路の左側端に寄るために自転車レーンに入る際には、側方や後方を走行する自転車やオートバイがいないか、十分に安全確認をし、それらの車両に急減速などをさせるおそれのないことを確認してから、進路変更しなければなりません(道路交通法第26条の2第2項)。
また、自転車で専用レーンを通行する場合には、左折する自動車などがレーンに入ってくる可能性があることを意識しておきましょう。
左折時の巻き込み事故を防ぐため、自動車と自転車の双方で安全確認を徹底することが重要です。
道路交通法
(左折又は右折)
第34条 車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない。
(進路の変更の禁止)
第26条の2
(中略)
2 車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。
(以下略)
(定義)
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(中略)
三の三 自転車道 自転車の通行の用に供するため縁石線又は柵その他これに類する工作物によつて区画された車道の部分をいう。
(以下略)
(通行区分)
第17条
(中略)
3 特定小型原動機付自転車(原動機付自転車のうち第二条第一項第十号ロに該当するものをいう。以下同じ。)、二輪又は三輪の自転車その他車体の大きさ及び構造が自転車道における他の車両の通行を妨げるおそれのないものとして内閣府令で定める基準に該当する車両(これらの車両で側車付きのもの及び他の車両を牽けん引しているものを除く。)以外の車両は、自転車道を通行してはならない。ただし、道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ないときは、自転車道を横断することができる。
(以下略)
自転車レーン、自転車道や自転車ナビラインとの違いとは?
自転車縁石などで区切られた自転車道は丸い標識が目印。自転車道がある場合、自転車は原則この場所を通行しなければならない。自動車はこの場所に進入することは禁止
自転車レーンは、四角い標識が目印となる。自転車は、車道ではこの場所を通行することになり、自動車は左折や停止などを除いてこの部分に入ることはできない
道路の端にある白い矢印と自転車のマークはナビマーク、青い矢印はナビラインなどと呼ばれる。自転車に左端を通行するよう促すためのものだ。この部分を自動車が通行しても問題ない
自転車の走る場所として、自転車レーンや自転車ナビライン、自転車道などがあり、それぞれに意味合いが異なる。自転車はもちろん、自動車に乗る場合もあらかじめ意味合いを確認しておくことが大切だ。
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松居英二
まつい・えいじ 弁護士。(公財)日弁連交通事故相談センターの委員・相談員として交通事故に関する法律相談、損害賠償額算定基準の作成などに参加。「JAF Mate」誌では2004年から2017年まで「クルマ生活Q&A」の法律相談を担当。
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