監修=松居英二(弁護士) /イラスト=どいまき

いちばん左の車線がバス専用レーンに…。その時、どう左折する?

あなたの運転、ひょっとしたら違反かも

運転歴が長くなると、違反行為かどうかを気にせずハンドルを握ることも多くなりがち。どこが違反にあたる運転行為なのかをクイズで再確認しましょう。今回は、左端にバス専用レーンがある道路の交差点でどのように左折するのかに関するクイズです。

●朝、3車線ある幹線道路の中央の車線を走行中、先の交差点で左折する必要がありました。最も左の車線は、この時間帯はバス専用レーンになっているので、そこには入らず交差点の手前でウインカーをつけ、バス専用レーンの交通に注意しながら、中央の車線から左折しました。
この行為は、以下の選択肢の中で、どれに該当するでしょうか?

答え:2

バス専用レーンは、車両通行帯(レーン・車線)の設けられた道路において、バスが通行する専用通行帯であり、他の車両は、原付や自転車など除外されたものを除き、それ以外の車両通行帯を通行しなければなりません(道路交通法第20条2項)。

しかし、専用通行帯として指定された道路であっても、交差点で左折するため、車両が「あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄る」(道路交通法第34条1項)ときは、道路の左側端に寄るために専用通行帯を走行することができますので(道路交通法第20条3項)、バス専用レーンを通行して左折しなければなりません。
従って、正解は2です。

なお、左折車が道路の左側端に寄るタイミングである「あらかじめその前」(道路交通法第34条1項)とは、ウインカーで左折の合図をするタイミングが「交差点の手前の側端から30メートル手前の地点に達したとき」としていることから(道交法施行令第21条)、おおむね交差点の30m手前の地点だとされています。そのため、左折車は、ウインカーを出すべきこの地点までには、一番左のレーンに進路を変更することが必要となります。

バス専用レーンは、公共交通機関であるバスが円滑に運行できるように指定されるものですから、左折のための通行は必要最小限にとどめることが必要です。左折車は、バスの走行を妨げないようにしながら、交差点の手前30mまでに、バス専用レーンへの進路変更を終えられるように走行しましょう。


道路交通法
第20条 (1項略)
2 車両は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているときは、当該通行の区分に従い、当該車両通行帯を通行しなければならない。
3 車両は、追越しをするとき、第二十五条第一項若しくは第二項、第三十四条第一項から第五項まで若しくは第三十五条の二の規定により道路の左側端、中央若しくは右側端に寄るとき、第三十五条第一項の規定に従い通行するとき、第二十六条の二第三項の規定によりその通行している車両通行帯をそのまま通行するとき、第四十条第二項の規定により一時進路を譲るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、前二項の規定によらないことができる。(以下略)

第34条 車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない。
(以下略)

道路交通法施行令
第21条 法第53条第1項に規定する合図を行う時期及び合図の方法は、次の表に掲げるとおりとする。
(表略)
左折するとき。 〈合図を行う時期〉 その行為をしようとする地点(交差点においてその行為をする場合にあつては、当該交差点の手前の側端)から三十メートル手前の地点に達したとき。

松居英二

まつい・えいじ 弁護士。(公財)日弁連交通事故相談センターの委員・相談員として交通事故に関する法律相談、損害賠償額算定基準の作成などに参加。「JAF Mate」誌では2004年から2017年まで「クルマ生活Q&A」の法律相談を担当。

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