高速バスで推し活を楽しむはづさんのバス利用テクニック
漫画=蟹めんま / 文=藤谷千明

長野―新宿が300円!? 高速バス遠征を極める達人の節約術

荷物はリュック一つ! 年間数十回のライブ遠征を支える「最小・最安」の極意
漫画=蟹めんま

「推し」のライブのためなら全国どこへでも。そんな熱い遠征民にとって、最大の悩みは「移動費」と「荷物」ではないでしょうか 。連載第5回は、年間数十回も高速バスを利用するヘビーユーザーのはづさんにインタビュー 。長野―新宿間をわずか300円で移動する驚きの節約術や、車内で静かに過ごすための緻密なパッキング術など、明日からの遠征が劇的に快適になる「上級者の当たり前」をたっぷり伺いました 。

目次

蟹めんま「「本格的な冬ということで」 藤谷「ゲストをお呼びしました~。雪国から東京にライブ遠征してきたはづさんです!」 はづ「新潟よりの長野からきました~はづです!」 藤谷「ウィラー乗って来られたんですね」 はづ「はい! 遠征はほぼ毎回ウィラーです」 (注釈)ウィラー…全国各地で運行する大手バス会社 蟹めんま「雪国は天気の影響をもろに受けそうですが(雪がすごそう)、ヒヤヒヤすることはないですか?」 はづ「もう14年遠征しまくってますが~。遅延・運休したことほぼないですよ」 蟹めんま「えっ! ほんとに?」

はづ「雪国は雪が降る前提で備えてますから、除雪システムがしっかりしてるんです」 蟹めんま「右往左往するのは普段積もらない地域に積もったときだけか」 藤谷「慣れてないから大騒ぎしますもんね」 はづ「バスに乗るときの服装には気をつけるかもしれないです! モンベルとかワークマンとかアウトドアのブランドが好きです。しゃかしゃか音がしない素材のものを選びます。バスの中で音が響くとよくないので~!」 藤谷「さっき14年遠征しまくってるとおっしゃってましたが、何のライブを見に行くんですか?」 はづ「よくぞ聞いてくれました!」

はづ「JUN SKY WALKER(S)です! ちょうど1年間ツアーをやってたんですけど 今日はそのファイナル公演が 渋谷クラブクアトロっていうライブハウスであります!チケットはソールドアウトです! 好きになったのは母の影響です!! 母が中学・高校のときにハマってたんですが 私が幼稚園の頃にも車でよく流してくれていまして…」(注)※長くなるので続きはコラムで! 藤谷「どういうところが魅力なんですか?」 はづ「ただただかっこいいところです!」(注)※これも長くなるので続きはコラムで! はづ「メンバーが還暦なので、「伝説のロックバンド」と言われることが多いですよね!私はジュンスカがテレビにたくさん出てた時代の映像や音源は後追いでしか触れられてませんけど、今が1番かっこいいんじゃないかな?って思ってます!」(注)※ノーカット版をコラムで掲載しています!

はづ「今も新曲ガンガン出てますし、今年は50回以上ライブしてました!」 最新曲『レジスト』(配信リリース曲です) はづ「今日はツアーファイナルだけど また年末にも年越しライブとかあるので 来週以降もまた上京する予定です」 藤谷「エネルギッシュだなぁ。ちなみに行きも帰りもバスを選んでる理由は?」 はづ「わたし寺社仏閣が好きでして! 御朱印を集めているので朝早くに着くと そのまますぐお寺や神社に行けるんです(朝の神社やお寺はよいですよ~)。帰りもバスなのは ライブ後にサイン会があったりするんですよ~」 藤谷&蟹めんま「ワンマンライブ後にサイン会!?」 蟹めんま「メンバーさん、還暦なんですよね…?」 はづ「とっても元気なんですよ~。これメンバーさんにもらったサインです。トートバッグにしてもらいました」

藤谷「という事は、はづさんはライブ遠征すると…神様、仏様、ジュンスカイウォーカーズ、この3つからサインをもらってるんですね?」 はづ「アハハ そうです!! めっちゃご利益ありそう! サイン会に参加すると、『あ! はづちゃん今日も来てたの?』とだいたい誰かに会って、その後だいたいこう(サイゼリヤ会)なるので、やっぱり終演後に時間の余裕が欲しいと思って」 蟹めんま「ライブ後のくっちゃべり会ほど 楽しいものないですもんね~」 はづ「あと私ライブ後に銭湯に行くのも好きなんです。さっぱりするし、よく眠れます」 藤谷「遠征先によっては新幹線・飛行機やホテルを使うこともありますよね?」 はづ「あ~~……えーっと……使わない……かも……!? 最近使った覚えがなくて……」 藤谷&蟹めんま「ええぇ?!」 はづ「長野ってそこまでバスが多いわけではないですが、乗り継げばわりとどこでも泊まらず行けるんです。新宿に出さえすれば、あとは何とかなるんです!!」 蟹めんま「そ…それなら バスより飛行機の方が安く付きそうな気も……(格安のやつなら…)」 はづ「定価ならそうなんですけど、ウィラーってすっごくたくさんクーポンくれるんですよ! 溜まってたポイントも使って新宿→長野を300円で行ったこともあります」 藤谷&蟹めんま「さんびゃくえん!?」

はづ「あと私ライブ後に銭湯に行くのも好きなんです。さっぱりするし、よく眠れます」 藤谷「遠征先によっては新幹線・飛行機やホテルを使うこともありますよね?」 はづ「あ~~……えーっと……使わない……かも……!? 最近使った覚えがなくて……」 藤谷&蟹めんま「ええぇ?!」 はづ「長野ってそこまでバスが多いわけではないですが、乗り継げばわりとどこでも泊まらず行けるんです。新宿に出さえすれば、あとは何とかなるんです!!」 蟹めんま「そ…それなら バスより飛行機の方が安く付きそうな気も……(格安のやつなら…)」 はづ「定価ならそうなんですけど、ウィラーってすっごくたくさんクーポンくれるんですよ! 溜まってたポイントも使って新宿→長野を300円で行ったこともあります」 藤谷&蟹めんま「さんびゃくえん!?」

蟹めんま「ちなみにバス内では寝られるタイプですか?」 はづ「はい!慣れました! ウィラーって枕もついてるし 顔がすっぽり入るフードもあるので寝やすいんですよ~(※ウィラー名物顔かくしフード カノピー)。寝るためのグッズはもともとバスについてるので荷物も少なくて済むし、私たまに眠りが深すぎることがあって(眠りに全集中)、この前長野から広島を新宿乗り継ぎで往復したんですが……」 蟹めんま「ハードすぎるやろ…」 はづ「新宿→長野の約5時間、1度も起きなかったんです!! サービスエリアの休憩でもまったく目が覚めなくて!!」

はづ「乗車とほぼ同時で寝落ちて、気づいたら長野!! 瞬間移動したような気持ちになりました。これもバス派な理由ですね。 ずっと寝てても降り損ねないから! これがもし新幹線とかだったら私、金沢とか福井まで行っちゃってたと思います!!」 バスを使いこなしまくるはづさんでした!!! (※眠っている乗客を起こすサービスは通常ありませんが乗客リストがあるため、気づけば親切で声をかけてもらえるかもしれません!)

母親の影響で全国各地のライブに参加

今回お話を伺ったのは、長野県飯山市からJUN SKY WALKER(S)のツアーファイナル公演のために、いわゆる「昼バス」を利用して東京にいらしたという、はづさんです。

JUN SKY WALKER(S)は、80年代末のバンドブームを牽引し、1997年に一度は解散したけれど、2007年に復活。現在も精力的に活動しているロックバンドです。現在29歳のはづさんは、お母様の影響で小さい頃からJUN SKY WALKER(S)やUNICORN、LUNA SEAなどを聴いて育ったといいます。初めてJUN SKY WALKER(S)のライブを観たのは、2022年とわりと最近。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、ライブにも声出しや人数の制限などさまざまな制約があった時期です。

「この先どうなるかわからないって空気の中で、JUN SKY WALKER(S)は不安を払拭してくれるような力強いライブをしてくれたんです。久々に“ライブって楽しい!”って思って、それでそのまま今に至るという」(はづさん)

いい話だ……。JUN SKY WALKER(S)の魅力を尋ねると、「とにかくかっこいい」と断言する、はづさん。

「とにかく“かっこいい”んです! 今はメディアなどで“伝説のロックバンド”みたいに紹介されることも多いじゃないですか。でも、昔じゃなくて最新の彼らが一番かっこいいと思っていて。私は彼らを昔から知っている世代じゃないけれど、今が一番かっこいいと思える、そのくらいライブが熱いんです!」(はづさん)

いい話だ……(2回目)。2025年は結成45周年記念イヤーということで、48本のライブを行うワンマンツアー、さらには並行してさまざまなバンドと共演する対バンツアーも敢行。「精力的」という文字通り、いや文字以上に活発なスケジュールで、これはファンの方も嬉しい&大変なのでは。はづさんのお母さんは、もともとライブに行くのが大好きな人で、はづさん自身の初バス遠征もお母さんと一緒でした。

「高校生の頃から高速バスで遠征していました。当時住んでいたのが静岡県の浜松なんですけど、横浜のライブでも(終演時間によっては)帰りの新幹線がなくなっちゃうんですよね。それで、母から“もう夜行バスに乗るしかない”と言われ、YCAT(※1)に連れて行かれたのが、初のバス遠征です」(はづさん)

(※1:横浜シティ・エア・ターミナル。横浜駅の近くにある空港連絡バスや高速バスが発着するバスターミナル)

はづさんのお母様はJUN SKY WALKER(S)のギタリスト・森純太さんの大ファンで、以前から彼の地元である大分県別府市でのライブにも足を運んでいたそうです。かねてより「一緒に行こう」と誘われていたこともあり、今年のツアーでついに母子揃っての別府遠征が実現しました。

「とにかく安く、軽装で」を突き詰めたバス利用法

遠方の場合、移動手段にバスではなく飛行機を選ぶ人も多い中、はづさんは九州や北海道でも「どうにかバスで行けないか」と一旦調べるほどバス移動を優先しています。その理由を尋ねてみたところ、意外な答えが返ってきました。

「バンドも好きなんですけど、実は神社仏閣巡りも趣味で、御朱印を集めているんです。高速バスで早朝に目的地に着いたら、そのまま参拝に行けるのがいいですよね。神社は朝早くから開いているので、時間を有効に使えるんです」(はづさん)

なるほど……。午前中に楽しめる趣味があると、メリットの多い選択肢になりますね。しかし体力がすごい。そして、やはり価格の安さも大きくて、昨今は宿泊費の高騰もあるため、できるだけ泊まらずに夜行バスを利用しているのだそうです。

「時間はかかるけれど、体力には自信があるので大丈夫。あとは利用するとポイントがたまるバス会社も結構あるので、なるべく同じ会社を使うようにすると、よりお得になりますね。私はWILLER EXPRESSをよく使っていて今日も乗ってきたんですが、セールとクーポン、さらにためていたポイントを併用して、300円で新宿ー長野間を移動したこともありますよ」(はづさん)

この日のはづさんの荷物はリュックのみ。日帰りだからかと思いきや、遠方の場合でも荷物はリュック一つに収まるサイズにまとめているのだそうです。

「着替えとタオルも圧縮袋に入れて、基本はリュック一つです。バスの中では寝るだけですから、体を締め付けないラクな服装かつ、休憩中にそのまま外に出られるユニクロのジャージのようなものを定番にしています。冬は長野県に入るとかなり冷え込むので、モンベルの温かいウェアも欠かせません。ただ、車内で動くときに(衣類がこすれて)シャカシャカと音が出るような素材は控えています」(はづさん)
静かな車内ではビニール袋のカサカサ音も意外と響くので、荷物はすべてジップロックにまとめているそうです。中身もメイク落としとオールインワンジェルなど、必要最低限のものを厳選。また、耳栓や充電器などの定番アイテムのほかに、絶対に欠かせないのが変換コネクタとのこと。

「最近の高速バスって、座席にUSBの差し込み口がついてることが増えましたよね。ただ、私のスマホはUSB Type-Cなので、変換コネクタを忘れると充電できなくなってしまいます。そうなると遠征先で買い足す羽目になってしまうので、本気で絶望します」(はづさん)

せっかくチケット代を数百円単位で節約しても、うっかりミスで1,000円近い出費になってしまうと、金額以上に悲しくなっちゃいますよね。
取材を終えたあとに、「私の話なんて、普通すぎて申し訳ないかも……」とおっしゃっていたはづさん。どのジャンルでも往々にして経験を重ねた上級者ほど、自分がしていることを「特別なことではない」、「ごく当たり前のこと」と捉えがちです。バス遠征においても、そうした感覚は共通しているのだと感じました。

はづさんはこの取材の翌週も電大(※2)のライブのために神奈川県へ行くそうで、移動はもちろん高速バスとのことです。

(※2:UNICORNの川西幸一さん、手島いさむさん、EBIさんによるスリーピースバンド。バンド名の由来は3人が広島電機大学出身だから)

蟹めんまさんと藤谷千明さんのプロフィール

蟹めんま自画像

蟹めんま
かに・めんま 漫画家・イラストレーター。大阪芸術大学卒。奈良県出身・在住。小学生の頃ヴィジュアル系バンドに目覚め、バンギャル歴は約28年。著書に『バンギャルちゃんの日常(全4巻)』(KADOKAWA)、『今日もライブに行けません!~アラフォーバンギャル、魂のV系語り~』(ぶんか社)、共著に『バンギャルちゃんの老後 オタクのための(こわくない!)老後計画を考えてみた』(ホーム社)などがある。
X:@kanimen

藤谷千明自画像

藤谷千明
ふじたに・ちあき 1981年生。フリーライター 。ヴィジュアル系やオタク・サブカルチャーについての記事を執筆。単著に、アラフォーオタク4人で都内の一軒家を借りて暮らす実体験をつづったエッセイ『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』(幻冬舎文庫)がある。同タイトルでコミカライズ全2刊も刊行(作画:泥川恵/幻冬舎コミックス)。そのほかの著書に、対談集『推し問答!』(東京ニュース通信社)、共著に『バンギャルちゃんの老後』(ホーム社)、『すべての道はV系へ通ず。』(シンコーミュージック)など。TBS『マツコの知らない世界』V系回出演。
X:@fjtn_c

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