写真1 雄大に流れる熊野川。かつて熊野詣での人々が移動に川船を利用したことから、川ではあるが世界遺産「熊野古道」に含まれている(撮影エリアは地図1を参照)

国道168号熊野川(和歌山県)。神々が宿る熊野の山と歴史ロマンあふれる熊野川を訪ねる

絶景写真の専門家が、厳選したドライブコースをお届け
須藤英一

神々が宿る熊野の山と歴史ロマンあふれる国道168号熊野川をドライブします。四季折々で輝く絶景に出会えるドライブコースを、日本の隅々まで走り尽くした写真家の須藤英一さんが紹介。

目次

日本の観光のはじまり、熊野詣(くまのもう)でへの道

和歌山県の熊野には、世界遺産である熊野三山がある。熊野三山とは、熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)、熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)、熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)の3社と那智山青岸渡寺(なちさんせいがんとじ)および補陀洛山寺(ふだらくさんじ)の2寺からなり、ここへの参詣が熊野詣でと呼ばれ、日本の観光のはじまりといわれている。熊野に行くと熊野権現(くまのごんげん)と書かれたのぼり旗がたくさん立っている。この熊野権現が熊野三山に祀られている神だ。今回のルートはこの中の熊野速玉大社から熊野本宮大社へ向かう、熊野川に沿った国道168号となっている。

写真2 和歌山県、三重県、奈良県の三県にまたがる紀伊半島最大の一級河川・熊野川(撮影エリアは地図2を参照)

写真2 和歌山県、三重県、奈良県の三県にまたがる紀伊半島最大の一級河川・熊野川(撮影エリアは地図2を参照)

国道42号の新宮市から分岐する形でスタートする国道168号だが、熊野本宮大社までの熊野川とその流域も世界遺産に登録されている。世界遺産の中を走る道は川に沿っていて大きなアップダウンがなく、とても走りやすい。広い川幅でゆったりと流れる熊野川を横目に、のんびりとしたドライブを楽しめる。

写真3 道の途中には、荒々しくそびえ立つ渓谷の風景が間近に見られるところもある(撮影エリアは地図3を参照)

写真3 道の途中には、荒々しくそびえ立つ渓谷の風景が間近に見られるところもある(撮影エリアは地図3を参照)

変化に富んだ川辺の風景

熊野本宮大社が近づくと断崖絶壁が迫る場所も見られる。それを過ぎるとまた広い川幅に戻り、日本の原風景的な川辺の風景をたっぷりと楽しむことができる。途中の分岐を右折して国道311号を行くと、瀞峡(どろきょう=熊野川水系北山川上流にある峡谷)方面へ向かう。また熊野本宮大社の手前を左折して国道311号を進むと、日本最古の湯として知られる湯の峰温泉や昔の面影を残す熊野古道中辺路(なかへち)への道となる。


国道168号熊野川(和歌山県)データ

「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部として世界遺産に登録された一級河川・熊野川に沿う形で走る、片側1車線の道路。雄大な川と山に挟まれた緩やかなカーブが続く道は、走りやすく眺望も素晴らしい。途中には「道の駅 瀞峡街道熊野川」があり、めはり寿司をはじめとした熊野の郷土料理の数々が味わえる。熊野尾鷲(くまのおわせ)道路・熊野大泊(くまのおおどまり)ICからは、国道42号経由で約25km。

本内容は、須藤氏が撮影したときの情報を基に編集しています。詳細については、お出かけ前に最新の情報をご確認ください。

須藤英一

1956年東京生まれ。アバコ撮影スタジオを経て1981年フリーカメラマンに。1985年から雑誌『アウトライダー』でツーリング写真の撮影を開始。以来、日本の道や風景をテーマにした写真を撮り続けている。『秋冬色の風景ドライブ―絶景の道を求めて』(2009年/JAF出版社)、『新・日本百名道』(2014年/大泉書店)など著書多数。 日本の絶景・Japan Beautiful Landscape

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