愛車を運転する若き日の間寛平さんのイメージイラスト
聞き手・構成=張江浩司 / 編集=中野藍人 / イラスト=本 秀康

間寛平が「家もないのに車はあった」と振り返る若手時代〈三波春夫 / 元禄桜吹雪 決闘高田の馬場〉

間寛平さんが語る、クルマと音楽と芸人人生
間 寛平

今月選曲を担当するのは、お笑い芸人の間寛平さん。「アヘアヘアヘアヘ」「ア〜メマ!」「かい〜の」といったギャグで一世を風靡し、「アースマラソン」プロジェクトではマラソンランナーとしても大活躍。大のクルマ好きとしても有名なうえ、音楽活動にも1970年代から継続的に取り組んでおり、ジャンルも歌謡曲、ロック、パンク、レゲエと実に多彩です。第1回は芸人デビューのきっかけのエピソードと、若手時代から既に好きだったという愛車のお話を伺いました。

目次

1. 三波春夫 / 元禄桜吹雪 決闘高田の馬場

借金まみれ、家はなし、でもクルマだけは持っていた

免許を取ったのは18歳の誕生日を迎えてすぐでした。親から「免許を持ってたほうが何かといい」と言われましてね。周りの友達もみんなすぐ取ってましたから。

高校を出てからは「東京のキャバレーで働けば、ロス・プリモスみたいな人気バンドに弟子入りできるんちゃうか」と思ってすぐに上京して、ボーイをやってたんですわ。音楽が好きだったというよりも、歌手になったら人気者になれるんじゃないかと思って。スター東京(日暮里鶯谷)とか、いろんなキャバレーがありましたね。埼玉にはブルーバードというのもあったし。クルマでいろんなキャバレーに通ってました。当時は橋幸夫、舟木一夫、西郷輝彦が歌謡曲の御三家と言われた時代でしょ。男前じゃないと歌手にはなれないと思ってましたけど、男前全開って方向性とはまた違う、菅原洋一さんとかバーブ佐竹さんとか見てたら「これなら俺でもやれるん違うか?」って(笑)。結局は、縁がなかったですけどね。

そうこうしてるうちに、建設業をやってる高校時代の友達から「大阪万博で忙しいから運転手やってくれんか?」と電話があって。今の万博じゃなくて、1970年のほうですよ。大阪に戻ってダンプに乗ってました。当時は普通免許で最大積載量5トン未満まで運転できたんです。でも「このまま人に使われてたらあかん」と思ってたら、ある日事故に遭って入院することになりました。その時にラジオでお笑いが流れてて「自分もこういうことがやってみたい」と思うようになり、知り合いに紹介してもらって吉本に入ることになったんです。

吉本に入ってすぐの頃は、ダイハツのコンパーノスパイダーとか三菱のデボネアとかに乗ってました。24歳で新喜劇の一人座長になったときにはセリカのリフトバック、26歳にはフェアレディ240ZGを買いました。カセットステレオがついてたんで、浪曲ばっかり聴いてましたね。特に三波春夫さん。それが今めっちゃ役に立ってるんですよ。この「元禄桜吹雪 決闘高田の馬場」の途中の語りの部分(4分20秒〜)をもじってギャグにさせてもらってます。この間の公演でもやらせてもらいました(2025年6月上旬のなんばグランド花月座長公演)。

28歳で結婚するまで、僕は家がなかったんですよ。いろんなところを転々としてて。当時桂きん枝だった、今の文枝くんの家に泊まらせてもらったりね。それでもクルマはずっと持ってました。

先輩芸人の借金の連帯保証人を引き受けちゃって、自分まで借金がかさんで、劇場に借金取りが来ちゃったこともあったんですけど、いつも楽屋裏の風呂場の窓から逃げてました。(明石家)さんまちゃんは人気がありすぎて、外にファンが殺到して裏から出てたけど、僕は借金取りから逃げてただけ(笑)。そんなことになっても、クルマだけは手放さなかったですね。

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  • 応募締切:2025年9月4日(木)
  • オークションサイト、フリマアプリなどでの転売を禁止します。

間寛平さんがドライブ中に愛聴するアーティストの楽曲を紹介!

1曲目 間寛平が「家もないのに車はあった」と振り返る若手時代〈三波春夫 / 元禄桜吹雪 決闘高田の馬場〉


2曲目 8月12日(火)9:00公開予定!


3曲目 8月19日(火)9:00公開予定!


4曲目 8月26日(火)9:00公開予定!

間 寛平

はざま・かんぺい 1949年7月20日生まれ。高知県出身。本名・間重美(しげみ)。1970年、吉本新喜劇の研究生になり、1974年に座長に就任する。1978年に新喜劇の座員だった光代さんと結婚。89年に東京進出し島田洋七とのコンビ結成などでも話題になる。35歳頃からマラソンを本格的にはじめ、2008年12月から2011年1月にかけてヨットとランだけで地球一周する「アースマラソン」を完遂する。「ア~メマ!」「かい~の」などヒットギャグ多数。吉本興業からの強い要請を受け、吉本新喜劇のGMに就任した。

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