聞き手・構成=張江浩司 / 編集=赤井大祐 / イラスト=本 秀康

夜のレインボーブリッジドライブに宇多丸が選ぶ一曲〈ザ・リーサルウェポンズ / シューティングスターレディオ〉

免許を持たないライムスター・宇多丸さんが語る音楽とクルマの深い関係
宇多丸(ライムスター)

今月選曲を担当するのは、ライムスターの宇多丸さん。第4回目は、宇多丸さん自身もラップで参加した一曲。想像力をかき立てる歌詞やサウンドを通して、クルマと音楽が持つ意外な共通点へと迫ります。

音楽好きの著名人たちが、月替わりで自動車やドライブにまつわる音楽との思い出とともに至高のドライブミュージックを4曲紹介します。

目次

4. ザ・リーサルウェポンズ / シューティングスターレディオ

音楽とクルマが持つ「景色を変える力」

RHYMESTER以外の、僕がフィーチャリングやプロデュースで関わった曲には、なぜかクルマに関係した曲が多いんです。

たとえば、HALCALIと一緒にやった「ドライバーズ・ライセンス」。免許を取ったばかりのHALCALIの2人が運転して、僕は助手席というコンセプト。トラックはRomancrewのALI-KICKに作ってもらってレイドバックした心地よい曲になりました。中塚武さんと作った「My Honey X」という曲もあって、アイドルファンが思い込みでブチギレちゃう内容なんですけど、まず曲自体のスピード感とドライブがすごく合う。そして最後にはクルマが出てきて不吉に終わります。作編曲家で名プロデューサーの松井寛さんとの「Universe of Love」は宇宙がモチーフなんですが、「無限に広がる大宇宙 今超高速でドライブ中」とラップしてて。作ったときから、夜の青山通りにめちゃくちゃ合うなと話してたり。

それの最新版が、ザ・リーサルウェポンズの「シューティングスターレディオ」です。彼らから「都心からレインボーブリッジに向けてラジオを聞きながら運転しているイメージで」とオーダーされて、そのラジオDJという体でラップしています。あんまり長いバースじゃないですけど、特に2番はドライブ中の視点をビジュアライズするように作ったつもりです。景色をプレステのレースゲームや映画『トロン』に例えたのは、免許を持っていない無責任さあってこそ、かもしれませんね(笑)。夜中のレインボーブリッジを走るには最高の一曲なんじゃないでしょうか。

クルマはプライベートな個室でありながら、パブリックとも接しているという、すごく不思議な空間ですよね。素の状態のまま社会とフルコンタクトしてるので、人間性がむき出しになっちゃう人もいるわけで。電車に乗ってそんなに人格が変わることはないですよね。そういう意味では、音楽も周囲を遮断するものでもあるんです。ウォークマンが出てきたときにはそういった批判もあったみたいで。自分だけの世界に入ってしまうという。同時に、自分が主人公になったような気持ちにもなれる、バーチャルリアリティー装置でもあったんだと思います。景色を変えちゃう力が音楽にもクルマにもあるんでしょうね。

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宇多丸さんのプレイリスト

宇多丸(ライムスター)

うたまる 1969年東京都生まれ。ヒップホップ・グループ「ライムスター」のラッパー、またTBSラジオ『アフター6ジャンクション 2』を担当するラジオパーソナリティー。1989年、大学在学中に「ライムスター」を結成。日本のヒップホップを最初期から開拓・牽引してきた立役者の一人。また2007年にTBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』がスタートすると、趣向を凝らした特集や、愛と本音で語りつくす映画評コーナーが話題を集めて、2009年に第46回ギャラクシー賞「DJパーソナリティ賞」を受賞。音楽、著書など作品多数。近作にライムスターアルバム『Open The Window』(2023)、同ツアーの映像作品『King of Stage at 日本武道館』(2024)ほか。

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