免許を取ったのは数年前。都心の運転に一気に慣れた曽我部恵一とバンドのクルマ事情〈はちみつぱい / 月夜のドライブ〉
バンド、サニーデイ・サービスの曽我部恵一が語るクルマと音楽の関係
今月選曲を担当するのは、ミュージシャンの曽我部恵一さん。バンド、サニーデイ・サービスでフロントマンを務める他、ソロプロジェクトでも活躍しています。意外にも免許を取ったのは6年前と話す曽我部さん。年齢を重ねてからの都心の交通事情への順応の仕方や、「バンドマン」と「自動車」の関係を“日本語ロックの先駆け”の一曲とともに軽やかに語ります。
音楽好きの著名人たちが、月替わりで自動車やドライブにまつわる音楽との思い出とともに至高のドライブミュージックを4曲紹介します。
1. はちみつぱい / 月夜のドライブ
「どこにでも行ける」という感覚が曲作りにも反映
僕は夜の東京をドライブするのが大好きで、特に羽田とか晴海とか水辺のほうに行くのがいいんですよね。この曲を歌っていらっしゃる鈴木慶一さんは羽田の出身で、歌詞にもその辺りの風景が出てくるんですよ。都心をだんだん離れて海のほうに向かうときの東京が遠くなっていく感覚というか、情緒があって切ない気分にぴったり合う、とてもメロウで美しい音楽なんです。真夜中のドライブにこれ以上ハマる曲はないんじゃないかな。まさにタイトル通りですね。
僕が免許を取ったのは6年くらい前。マネージャーが免許を失効しちゃって、どこに行くにもタクシーだと不便だから、この機会に取ろうと。10~20代に混じって、教習所に毎日通いました。間が空いたら絶対に運転できなくなると思ったから、免許センターまでスタッフに車で送ってもらい、無事免許を受け取ってそのまま自分で運転して帰りました。その後も毎日都心を運転したから、東京での運転もすぐに慣れました。
免許を取るのが遅かったからこそ、「いつでも物理的に移動できる」ということが最高だなと実感したんです。昔から運転できた人はこの感覚がないらしいんですけど、僕はけっこういい年になってからだから、今でも車を運転できるのがうれしくてたまらないです。曲作りにもどこか影響してる気がしますね。生活の感覚が一つ変わったから。自分一人でどこにでも行けるし、ずっとここにとどまらなくてもいいという。
ライブするときも、自分たちで運転して大阪や九州に行ってます。そのついでに四国の実家に寄ったりもするし。サニーデイ・サービスのベースの田中 貴くんも車が好きで、旧車専門なんですよ。彼も運転が好きだから、うちのバンドは移動に困らないんです。運転が嫌いなメンバーばっかりだったら、ドライバーさんを雇わなくちゃいけないですけど。バンドを続けるには経費削減が重要なテーマになってくるので、自分たちだけでストレスなく運転できるのはすごくいいんですよね。
90年代にメジャーデビューした頃は、ツアーやるにしてもメンバーは新幹線移動だったんですよ。機材はスタッフさんが車で運んでくれて。でも、みんなで一台のワゴンに乗っていろんな街を巡るのに憧れてたんですよね。アメリカのバンドのドキュメンタリーとか観ると車内が2段ベッドみたいになってたりして、かっこいいなって。
ソロになって、自分たちのハイエース一台でツアーを回るようになったのはうれしかったですね。どこかの街でライブをやって、それをファンの人たちが観に来てくれて、終わったら荷物をまとめて次の街へと。旅芸人やサーカスみたいな生活ですよね。乗ってるだけでも楽しかったし、運転するようになった今はさらに楽しいです。
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※2025年2月6日に応募を締め切りました
- ※オークションサイト、フリマアプリなどでの転売を禁止します。

曽我部恵一
そかべ・けいいち 1971年8月26日生まれ。乙女座、AB型。香川県出身。90年代初頭よりサニーデイ・サービスのヴォーカリスト、ギタリストとして活動を始める。1995年に1stアルバム『若者たち』を発表。'70年代の日本のフォーク、ロックを'90年代のスタイルで解釈・再構築したまったく新しいサウンドは、聴く者に強烈な印象をあたえた。2001年のクリスマスに、NY同時多発テロに触発され制作されたシングル「ギター」でソロデビュー。2004年、自主レーベルROSE RECORDSを設立し、インディペンデント、DIYを基軸とした活動を開始する。以後、サニーデイ・サービス、ソロと並行し、プロデュース・楽曲提供・映画音楽・CM音楽・執筆・俳優など、形態にとらわれない表現を続ける。
http://www.sokabekeiichi.com
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