村上佳菜子のドライブミュージック、アデル
聞き手・構成=張江浩司 / 編集=赤井大祐 / イラスト=本 秀康

オリンピック選手・村上佳菜子が車内の時間を大切にする理由〈アデル / Someone Like You〉

プロフィギュアスケーターの村上佳菜子が自動車と音楽にまつわる思い出を紹介!
村上佳菜子

今月選曲を担当するのは、プロフィギュアスケーターで、タレントとしても活躍する村上佳菜子さん。フィギュアスケート選手と音楽は切っても切れない関係。そんな村上さんが音楽と向き合う車内の時間と、選手として「あまりに滑りやすい」というアデルの楽曲を紹介していただきました。

音楽好きの著名人たちが、月替わりで自動車やドライブにまつわる音楽との思い出とともに至高のドライブミュージックを4曲紹介します。

目次

3. アデル / Someone Like You

移動の車内は音楽と向き合う大切な空間

今までいろいろな曲でスケートを滑ってきましたが、自分が一番滑りやすいのは歌手のアデルの楽曲です。伸びと重厚感のある歌声に、ドラマチックな曲の展開。私のスケートにぴったりなんです。あまりに滑りやすいので、毎回アデルの曲を選んでしまいそうになるから避けているくらい。2012年、2013年の大会では「Rolling in the Deep」と「Someone Like You」の2曲を使って演技をしました。

競技選手時代は自分のジャンプのリズムなどに合わせた選曲をすることも多かったです。やっぱり高得点につながりやすいんです。一方でアイスショーは得点で競わない分、見せ方の幅が大きく広がります。正確な滑りやジャンプよりも、お客さんを「魅せる」ことが醍醐味。振り付けや演出によっては、ディープな曲でも盛り上がってもらえるので、しっかりと魅せる、という覚悟を持てば難しい楽曲にも挑戦しやすい。

最近、アップテンポな洋楽に挑戦したんですが、やっぱり難しかった。しかもアイススケートの振付師の方ではなく、ダンサーさんに振り付けをしてもらったんです。スケート選手とは違った音の取り方や見せ方になるので、すごく面白いし、難しい。とてもいい経験になりました。

私が振り付けをするときは、曲のメロディーや声の強弱に合わせて動きを付けていくんですが、曲全体の流れはもちろん、ミュージックビデオ(MV)があればそのストーリーや世界観を自分なりに理解することも重要です。洋楽は楽曲とMVの世界観があまりマッチしていないこともあるので。そんな時は、歌詞のストーリーを振り付けで表現し、衣装はMVに寄せる、みたいな工夫をします。

フィギュアの競技では、クラシックの楽曲を使うことが多いので、ほとんどの場合歌詞はありませんし、当然MVもありません。作曲家や演奏しているみなさんの思いに、自分の表現をうまくつなげる必要があるので、クルマの中で何度もリピートして聴くんです。クルマの中で音楽を聴くのは、スケーターとしての自分にとって、すごく大切な時間なんです。

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村上佳菜子

むらかみ・かなこ 1994年愛知県生まれ。2014年ソチオリンピックに出場、同年の四大陸選手権で優勝。2017年に競技生活から引退。現在はプロフィギュアスケーターとして活動するほか、タレントとしてテレビやイベントでも活躍中。

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