文=三原勇希 / 編集=赤井大祐(FINDERS編集部)/ イラスト=若林 萌

ちょっとひどい、けど歌詞に共感。三原勇希が「伝える」ことの意味を考える〈斉藤和義/君の顔が好きだ〉

タレント・ラジオDJとして活躍する三原勇希さんが、とっておきのドライブソング4曲を紹介!
三原勇希

音楽好きの著名人たちが、月替わりで自動車やドライブにまつわる音楽との思い出とともに至高のドライブミュージックを紹介します。 今月の選曲を担当するのは、タレント・ラジオDJとして活躍し、カルチャー系Podcast番組として人気を集め、今年2月に惜しくも終了となった「POP LIFE:The Podcast」のホストも務めた三原勇希さんです。

4曲目
〈斉藤和義/君の顔が好きだ〉

ロングドライブの眠気覚ましに二人で大熱唱

最近の運転事情はというと、もっぱら夫の車を運転しています。お互いアウトドア派なので長距離運転も多いのですが、そういうときに運転サポート機能ってすごく便利ですね。セットした車間距離や速度を自動で一定にキープしてくれるもの。

登山やキャンプを楽しんで温泉なんて入った帰り道は、眠気対策が必須。私たちなりの対策は「本気カラオケ」。音楽をかけて、大声で真剣に熱唱します。その時ふたりで取り合いになる曲が、1994年リリースの斉藤和義「君の顔が好きだ」。マイナーコードのピアノイントロが洒落ていて、力の抜けた声も大好きなんですけど、問題は詞です。サビは「君の顔が好きだ/君の髪が好きだ/性格なんてものは僕の頭で勝手に作りあげりゃいい」。おまけに「君の胸が僕を子供に戻す」って。ひどい曲ですよ(笑)。しかもライブだともっとひどい下ネタに変えたりするんですよね。

と、愛をこめて「ひどい曲だ」という人もいるこの曲ですが、私は冒頭の詞にものすごく共感します。「僕が僕であることを人に説明する事の無意味さを/君の表情はいつでも教えてくれる」、「言葉はいつも遠回り空回り」という部分。
私はラジオDJやMCという仕事柄、言葉選びや伝え方の研鑽を諦めることは決してないんですが、同時に「言葉は相手が受け取りたいようにしか受け取らない」、「同じ言葉でも、受け取り方は人によってまったく違う」という覚悟も持っています。また「自分が何者かなんて説明しなくていい」とも思います。それよりも、自分が何を感じ、考えているかを言葉にするほうが重要だと思うから。それこそがその人を定義するものだと思うんです。

そんな「僕が僕であること」はどうでもいいこの主人公は、それでも「君が君であるために僕はいったい何をしてやれるだろう」と悩みます。ここに、すごく愛を感じるんですよね……!

まぁ、夫がそこまで共感してくれなくても、この曲が大好きで熱唱できるという共通項だけで、しばらくやっていけそうな気がしています。

三原勇希さんのプレイリスト

三原勇希

みはら・ゆうき 1990年、大阪府生まれ。10代の時に雑誌「ニコラ」のモデルとしてデビュー。映画や音楽、スポーツなどの多様な趣味を持ち、ラジオやテレビ、コラム執筆など、幅広い分野で活躍している。女性のためのランニングコミュニティー「GO GIRL」を主宰している。

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