リトラと190PSターボに憧れた時代! S12型シルビア&ガゼールが放った“2つの個性”
同型ながら異なる個性。リトラとFJ20ターボを備えた80年代の人気モデルとは?S12型シルビア/ガゼールは、直線基調のスタイルとリトラクタブルヘッドランプを採用した新世代スペシャルティカー。高性能エンジンや先進電子装備を採用し、加熱する80年代前半の自動車市場に2つの個性で挑んだ意欲作である。
【1983年8月23日】
新世代のS12型「シルビア/ガゼール」発売
シルビア・ターボRS-X(クーペ)のインパネ。オレンジ照明のアナログメーターが並ぶ、1980年代らしい直線的なデザインが印象的だ。「DOHC TURBO」の文字を刻んだステアリングが、ドライバーの高揚感を静かに刺激する。コックピットのデザインはガゼールとほぼ共通
1983年8月23日に登場した4代目シルビア/2代目ガゼール(S12型)は、直線基調のシャープなスタイリングとリトラクタブルヘッドランプ(リトラ)を採用した、新世代の小型スペシャルティカーである。
5ナンバーFRレイアウトを継承しつつ、空力を意識したウェッジシェイプ、クーペとハッチバックの2ボディー構成により、躍動感と上質さを両立させた。
シルビアは若々しいスポーティー志向を明確に打ち出したモデルで、直線的なキャラクターラインと薄いフロントマスクが特徴。スーパーカーブームの余韻を感じさせる造形は、当時の若いユーザーの感性に強く訴えかけた。
一方のガゼールは、フロントグリルやテールランプのデザインを変更し、落ち着いた雰囲気を強調した“アダルト向け小型スペシャルティ”として仕立てられた。さらに世界初のパワーウーファー、日本初のチルトアップ機構付き電動ガラスサンルーフ、キーレスエントリーなど豪華装備を備え、より上質なグランドツーリング性を追求した点が大きな特徴だ。
エンジンは1.8L直列4気筒のNAエンジンとターボに加え、上級には2L DOHCのFJ20E型(シルビアのみ)が設定された。さらにターボチャージャーを装着して190PSを発揮し、当時の2Lクラスでトップレベルの性能を誇るFJ20E-T型も用意。スカイラインRSターボと共通の高性能ユニットを搭載したことで、小型スペシャルティカーでありながら本格的な走りを求めるユーザーにも応えている。
また、世界初のリトラ用ワイパー、デジタルメーター、ドライブガイド(簡易ナビ)など、電子化を象徴する先進装備も積極的に採用。1986年のマイナーチェンジでガゼールはシルビアに統合されるが、S12型は“2つの個性”でスペシャルティカー戦争に挑んだ、日産の意欲作として記憶されている。
【US12型 日産シルビア ハッチバック ターボRS-X】
●全長×全幅×全高:
4430
×1660×1330mm ●ホイールベース:2425mm ●車両重量:1170kg ●搭載エンジン:FJ20E-T型 (1990cc 水冷直列4気筒DOHCターボ)
シルビアのスポーティー志向を明確に打ち出したスタイルに対し、ガゼールは落ち着いた雰囲気のアダルト向けスペシャルティとしてリリース。キャラクターが分けられ、幅広いニーズの取り込みに挑んだ。写真はガゼールの上級グレードとなるターボRS-X