【1967年8月18日】本格GTの走りが楽しい「トヨタ1600GT」発表!|Today's memoriesあの日の記憶
文=津島 孝

わずか2,222台! トヨタ2000GT譲りのDOHCを積んだ幻の名車「トヨタ1600GT」

コロナをベースに世界水準の走りを実現。日本のスポーツカー文化を変えた歴史的一台

2000GTで培われた技術を受け継ぐ1.6L DOHCの9R型エンジンを搭載し、110PS・最高速度175km/hという世界水準の性能を実現したトヨタ1600GT。実用中心だった国産車に“走りの楽しさ”という新たな価値をもたらした。

【1967年8月18日】
本格GTの走りが楽しい「トヨタ1600GT」発表!

トヨタ1600GTの運転席まわり

室内は、スポーツ走行を重視した機能的なレイアウトが特徴。視認性の高い丸型メーターを中心に、細身のステアリングや操作しやすいシフトレバーが配置され、ドライバーを走りへと誘うコックピットとなっている

トヨタ1600GTは、トヨタ2000GTの開発で培われた技術を受け継ぐDOHCエンジンを搭載した本格GTカーである。

ベースはコロナ・ハードトップ1600Sだが、エンジンはコロナ1600S用のOHVツインキャブ4R型をヤマハ発動機がDOHC化した9R型を搭載。ソレックス製ツインキャブ、アルミ合金ヘッド、半球型燃焼室など当時の先進技術が惜しみなく投入された。その結果、最高出力110PS、最高速度175km/h、0–400m加速17.3秒と、1600ccクラスとして世界水準の性能を実現。冷却フィン付きアルミオイルパンや大容量オイルポンプなど、耐久性を重視した設計も特徴だった。

1960年代半ばの日本ではモータースポーツ熱が高まり、ベレット1600GTやスカイライン2000GTなど、量産セダンをベースにした高性能モデルが相次いで登場した。トヨタはこの潮流に応えるべく、実用車中心だったコロナシリーズに“走り”の選択肢を加える形で1600GTを開発。スポーティーなスタイルと高性能を両立させた新たなバリエーションとして市場に送り出した。

走行性能面では、クロスレシオの4速ミッション(5速はオプション)、LSD、ロープロファイルタイヤを組み合わせ、俊敏な加速と高速安定性を確保。ブレーキには国産初のプレッシャーコントロールバルブを採用し、フロントディスクと組み合わせて制動性能を高めた。

後輪にはトルクロッドを備え、ステアリングは応答性を重視したリサーキュレイティング・ボール式とするなど、当時としては異例の“走りのための装備”が与えられている。

外観は砲弾型ミラー、大型フェンダー開口部、排熱ダクトなど、レースを意識したディテールが随所に盛り込まれた。実際に1600GTは国内レースでも活躍し、トヨタのスポーツイメージ確立に大きく貢献した。

トヨタ1600GTは、国産車が“実用”から“走りの楽しさ”へと踏み出す転換点となったモデルであり、日本のスポーツカー文化の礎を築いた存在である。

【RT55型 トヨタ・トヨタ1600GT】
●全長×全幅×全高:4125×1565×1375 mm ●ホイールベース:2420 mm ●車両重量:1030 kg ●搭載エンジン:9R型(1587cc 水冷直列4気筒DOHC)

スポーティーさを際立たせたトヨタ1600GTのリアビュー

横長のテールランプと大きな開口のトランクリッドがスポーティーさを際立たせたトヨタ1600GTのリアビュー。市販期間はわずか1年2か月程度と非常に短く、総生産台数は2,222台。そのため、現在では中古車市場でも希少な車種として扱われている

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