ときめきカーレンタルの旧車レンタカー、SA22C型サバンナRX‑7で楽しむ本格ワインディング試乗
文=下野康史/撮影=荒川正幸

マツダ・サバンナRX-7(初代・SA22C型)の旧車レンタカーに試乗。コスモスポーツ以来のロータリー専用スポーツカーの走りは? #35

自動車ライター・下野康史の旧車レンタカー試乗記
下野康史

マツダが1978年に発売した、初代サバンナRX-7の旧車レンタカーに試乗。コスモスポーツ(初代)以来のロータリー専用車として、世界で約40万台も販売された、名車の一台です。そんなサバンナRX-7のレンタカーに、自動車ライターの下野康史さんが試乗します。

目次

ロータリーエンジンがつくったスポーツカー

旧車レンタカー、SA22C型サバンナRX-7のクラシックなフロントデザインと低いノーズライン

東京都清瀬市のときめきカーレンタル でお借りしたサバンナRX-7の旧車レンタカーは1978年式で、車両重量は1005kgだった
●画像クリックでフォトギャラリーへ

SA22C型サバンナRX-7のリアスタイルを映した旧車レンタカー

クラシックスポーツらしいリアビューも魅力の、SA22CサバンナRX-7
●画像クリックでフォトギャラリーへ

ロータリーエンジンの名を知らしめたのは、3代続いたRX-7である。小さなリアシートは付いていたが、RX-7は事実上、ふたり乗りのスポーツカーだった。スポーツカーというキャラの立ったクルマだったからこそ、ロータリーエンジンが輝いた。というか、コンパクトで軽く、回せばレシプロエンジンとは別格の回転フィールや高回転性能を持つロータリーが、RX-7というスポーツカーを輝かせた。マツダのキャッチコピーだった“Designed by Rotary”、つまり「ロータリーエンジンがデザインした」クルマだったのだ。

RX-7の初代モデルは78年に登場した。もう50年近く前のことだが、初度登録78年10月の1台をレンタカーで用意しているのは、東京都清瀬市にある「ときめきカーレンタル」。法人向け長期レンタカーの本業に加えて、2025年春から旧車レンタカーを始め、この連載でもすでに何台か借りている。

同社代表の中川賢一さんは親子二代にわたるラリー好きで、お父さんの一(はじめ)さんは初代RX-7で79年のモンテカルロラリーに参加し、クラス優勝(総合73位)を果たしている。そんな経緯から、初代RX-7はなんとしてもラインナップに加えたいクルマだったという。

虎の子のレンタカーを借りる

SA22C型サバンナRX-7旧車レンタカーの室内コクピット、アナログメーターとMTシフトを装備

シンプルなダッシュボードまわり。コンパクトなロータリーエンジンを搭載するためエンジンフードが低いことから、全高は低いものの視界は広い
●画像クリックでフォトギャラリーへ

ときめきカーレンタルのSA22CサバンナRX-7旧車レンタカーに備わるクラシックなスポーツシート内装

タイトさと快適性を高度に両立した、フロントのバケットシート
●画像クリックでフォトギャラリーへ

コロナ前まで車検を切らさず、現役だった個体を大阪で見つけ、エンジン、キャブレター、ブレーキなどをオーバーホール。クラッチディスクやオルタネーターは交換。ラジエターはコア増しをして、クーラーシステムをすべて見直し、真夏の36℃でも効いて、なおかつオーバーヒートしないようにしてある。デジタルの水温計が後付けしてあるのは、その工程で必要だったからだという。

レンタカーというよりも、レストア成った中川代表の愛車を借りるような感じだ。貸し出しはわれわれが初めてだという。責任重大だ。

初代RX-7が登場した78年は、筆者が自動車専門誌の編集部に入った年である。マイナーチェンジの折には、鉛筆なめなめ、試乗記も書かせてもらった。思い出のクルマである。
乗り込むと、コンパクトなコクピットがなつかしい。ロータリーエンジンのおかげでボンネットは低いが、ダッシュボードも低い。ダッシュボードの奥行きも浅いので、外が近い。左右のフロントピラーは細くてまっすぐだ。視界はとてもいい。

クラッチペダルは軽い。すでに暖機の終わっていたエンジンは一発でかかった。アイドリングで揺れないのは、さすがロータリーだ。

ときめきカーレンタルの敷地から道路に出るとき、初めて直角に曲がると、ハンドルが重い。ボール・ナット式のステアリングはまだパワーアシストなしである。タイヤはオリジナルの13インチから14インチに大径化され、扁平率も70から60に変わっているから、なおさら重いのかもしれない。

オーバーホールしたばかりのエンジンは、やはりそのためか、まだ回転感覚が重かった。低回転ではちょっとガサガサする。5000rpmちょっとまで回してみたが、「キターッ!」と言いたくなるようなロータリー特有のシャープさは希薄だった。今後に期待したい。

SA22C型サバンナRX-7のエンジンルーム、初代RX-7のロータリーエンジンを搭載した旧車レンタカー

搭載される12A型ロータリーエンジンは非常にコンパクトだった
●画像クリックでフォトギャラリーへ

半世紀前のクルマには見えない

ときめきカーレンタルのSA22CサバンナRX-7旧車レンタカーが公道試乗で走行するリアビュー

コンパクトながらサイズ以上に存在感があるサバンナRX-7。地面を這うようなスタイリングは今なお新鮮だ

初代RX-7のエンジンは573cc×2ローターの12A型。すでにカペラやサバンナに使われていたパワーユニットだが、RX-7用は当時、世界で最も厳しいと言われた昭和53年排出ガス規制をロータリーとして初めてクリアした。エンジニアが“やりたいこと”よりも“やらねばならないこと”に汲々としていたあのころ、だれが見てもスポーツカーに見えるRX-7の出現は明るいニュースだったのだ。

アメリカではディーラーオプションだったラップラウンドタイプのリアスポイラーはノンオリジナルだが、スタイリングはエイジレスで、とても半世紀前のクルマには見えない。

リアハッチはグラスキャノピーのようなつくりで、フェアレディZのようにリアエンドまで覆うテールゲートではない。そのため、真後ろから見ると、華奢で繊細な印象を与えた。RX-7はアメリカ市場を強く意識していたが、カタチはアメリカ車に埋もれるのではなく、あくまで異邦人的に見えることを狙った。デザイナーがそう語っていたが、なるほど日本的に端正なグッドデザインだと思う。

ヘッドライトはトヨタ2000GT以来のポップアップ式。デビュー直後、試乗車で郊外の狭い道を走っていたら、向こうから下校する小学生の一団がやって来た。そのうちのひとりがこっちに向かって手をグーパーグーパーした。「ライト上げて!」のリクエストである。初代RX-7はスーパーカー世代の子どもたちにも人気だった。

・サバンナRX-7(GT)のスペック
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4285×1675×1260mm
ホイールベース:2420mm
エンジン:12A型 直列2ローター 573cc×2
エンジン最高出力:95.6kW(130PS)/ 7000rpm
エンジン最大トルク:161.8 Nm(16.5kgm)/ 4000rpm
トランスミッション:5速MT
サスペンション形式(前/後):ストラット/4リンクリジッド
タイヤ:185/70SR13

歴代ロータリー車の旧車レンタカー試乗記は、こちらもチェック!

FD3S・マツダRX-7がコーナーを抜ける様子

FD3S・RX-7の試乗記は、上の画像をチェック!

マツダが1991 年に発売した、FD3S・RX-7のレンタカーに試乗。デビューからおよそ10年間にわたって改良を続け、一線級のパフォーマンスを保ち続けたスポーツカーの、走りをレポートします。


赤いマツダ・RX-8が走行する様子

RX-8の試乗記は、上の画像をチェック!

マツダ・RX-8の旧車レンタカーに試乗。全長4.4m超のコンパクトなボディーながら4人が快適に移動できる、中身の詰まった4ドアスポーツカーです。
そんなRX-8の走りを、自動車ライターの下野康史さんがレポートします。

サバンナRX-7のフォトギャラリーは、こちらをクリック!

道路を走るSA22C型RX 7と、フロントシート内装および5速マニュアルシフト

画像クリックで、サバンナRX-7のフォトギャラリーへ


#34 トヨタ・メガクルーザーの試乗記はこちらから

下野康史

かばた・やすし 1955年、東京都生まれ。『カーグラフィック』など自動車専門誌の編集記者を経て、88年からフリーの自動車ライター。自動運転よりスポーツ自転車を好む。近著に『峠狩り 第二巻』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリより、ロードバイクが好き』(講談社文庫)など。

この記事はいかがでしたか?
この記事のキーワード
あなたのSNSでこの記事をシェア!