マツダ・サバンナRX-7(初代・SA22C型)の旧車レンタカーに試乗。コスモスポーツ以来のロータリー専用スポーツカーの走りは? #35
自動車ライター・下野康史の旧車レンタカー試乗記
マツダが1978年に発売した、初代サバンナRX-7の旧車レンタカーに試乗。コスモスポーツ(初代)以来のロータリー専用車として、世界で約40万台も販売された、名車の一台です。そんなサバンナRX-7のレンタカーに、自動車ライターの下野康史さんが試乗します。
ロータリーエンジンがつくったスポーツカー
東京都清瀬市のときめきカーレンタル
でお借りしたサバンナRX-7の旧車レンタカーは1978年式で、車両重量は1005kgだった
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ロータリーエンジンの名を知らしめたのは、3代続いたRX-7である。小さなリアシートは付いていたが、RX-7は事実上、ふたり乗りのスポーツカーだった。スポーツカーというキャラの立ったクルマだったからこそ、ロータリーエンジンが輝いた。というか、コンパクトで軽く、回せばレシプロエンジンとは別格の回転フィールや高回転性能を持つロータリーが、RX-7というスポーツカーを輝かせた。マツダのキャッチコピーだった“Designed by Rotary”、つまり「ロータリーエンジンがデザインした」クルマだったのだ。
RX-7の初代モデルは78年に登場した。もう50年近く前のことだが、初度登録78年10月の1台をレンタカーで用意しているのは、東京都清瀬市にある「ときめきカーレンタル」。法人向け長期レンタカーの本業に加えて、2025年春から旧車レンタカーを始め、この連載でもすでに何台か借りている。
同社代表の中川賢一さんは親子二代にわたるラリー好きで、お父さんの一(はじめ)さんは初代RX-7で79年のモンテカルロラリーに参加し、クラス優勝(総合73位)を果たしている。そんな経緯から、初代RX-7はなんとしてもラインナップに加えたいクルマだったという。
虎の子のレンタカーを借りる
コロナ前まで車検を切らさず、現役だった個体を大阪で見つけ、エンジン、キャブレター、ブレーキなどをオーバーホール。クラッチディスクやオルタネーターは交換。ラジエターはコア増しをして、クーラーシステムをすべて見直し、真夏の36℃でも効いて、なおかつオーバーヒートしないようにしてある。デジタルの水温計が後付けしてあるのは、その工程で必要だったからだという。
レンタカーというよりも、レストア成った中川代表の愛車を借りるような感じだ。貸し出しはわれわれが初めてだという。責任重大だ。
初代RX-7が登場した78年は、筆者が自動車専門誌の編集部に入った年である。マイナーチェンジの折には、鉛筆なめなめ、試乗記も書かせてもらった。思い出のクルマである。
乗り込むと、コンパクトなコクピットがなつかしい。ロータリーエンジンのおかげでボンネットは低いが、ダッシュボードも低い。ダッシュボードの奥行きも浅いので、外が近い。左右のフロントピラーは細くてまっすぐだ。視界はとてもいい。
クラッチペダルは軽い。すでに暖機の終わっていたエンジンは一発でかかった。アイドリングで揺れないのは、さすがロータリーだ。
ときめきカーレンタルの敷地から道路に出るとき、初めて直角に曲がると、ハンドルが重い。ボール・ナット式のステアリングはまだパワーアシストなしである。タイヤはオリジナルの13インチから14インチに大径化され、扁平率も70から60に変わっているから、なおさら重いのかもしれない。
オーバーホールしたばかりのエンジンは、やはりそのためか、まだ回転感覚が重かった。低回転ではちょっとガサガサする。5000rpmちょっとまで回してみたが、「キターッ!」と言いたくなるようなロータリー特有のシャープさは希薄だった。今後に期待したい。
半世紀前のクルマには見えない
コンパクトながらサイズ以上に存在感があるサバンナRX-7。地面を這うようなスタイリングは今なお新鮮だ
初代RX-7のエンジンは573cc×2ローターの12A型。すでにカペラやサバンナに使われていたパワーユニットだが、RX-7用は当時、世界で最も厳しいと言われた昭和53年排出ガス規制をロータリーとして初めてクリアした。エンジニアが“やりたいこと”よりも“やらねばならないこと”に汲々としていたあのころ、だれが見てもスポーツカーに見えるRX-7の出現は明るいニュースだったのだ。
アメリカではディーラーオプションだったラップラウンドタイプのリアスポイラーはノンオリジナルだが、スタイリングはエイジレスで、とても半世紀前のクルマには見えない。
リアハッチはグラスキャノピーのようなつくりで、フェアレディZのようにリアエンドまで覆うテールゲートではない。そのため、真後ろから見ると、華奢で繊細な印象を与えた。RX-7はアメリカ市場を強く意識していたが、カタチはアメリカ車に埋もれるのではなく、あくまで異邦人的に見えることを狙った。デザイナーがそう語っていたが、なるほど日本的に端正なグッドデザインだと思う。
ヘッドライトはトヨタ2000GT以来のポップアップ式。デビュー直後、試乗車で郊外の狭い道を走っていたら、向こうから下校する小学生の一団がやって来た。そのうちのひとりがこっちに向かって手をグーパーグーパーした。「ライト上げて!」のリクエストである。初代RX-7はスーパーカー世代の子どもたちにも人気だった。
・サバンナRX-7(GT)のスペック
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4285×1675×1260mm
ホイールベース:2420mm
エンジン:12A型 直列2ローター 573cc×2
エンジン最高出力:95.6kW(130PS)/ 7000rpm
エンジン最大トルク:161.8 Nm(16.5kgm)/ 4000rpm
トランスミッション:5速MT
サスペンション形式(前/後):ストラット/4リンクリジッド
タイヤ:185/70SR13
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下野康史
かばた・やすし 1955年、東京都生まれ。『カーグラフィック』など自動車専門誌の編集記者を経て、88年からフリーの自動車ライター。自動運転よりスポーツ自転車を好む。近著に『峠狩り 第二巻』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリより、ロードバイクが好き』(講談社文庫)など。
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