高速道路で突然走行不能になったら、どうする?|こんなときどうする?
文・構成=グランマガジン社/協力=NEXCO中日本

高速道路を走行中に突然のトラブルで走行不能になったら、どうする?

CASE9:高速道路で走行不能になった場合の対処法

クルマの運転中に遭遇するさまざまなトラブル。万が一そんなトラブルに遭遇した場合「どう対処すればいいのか?」をわかりやすく解説。今回は高速道路を走行中に突然クルマに不具合が発生し、動けなくなってしまった場合の対処法について、NEXCO中日本に聞いてみました。

目次

3択クイズ!

高速道路上で突然のトラブルにより走れなくなったとき、まずすべきことは?

適切な対応は次の3つのうちどれ?
(1) ハザードランプを点灯し発炎筒に着火、停止表示器材(三角表示板)を設置する
(2) エンジンを切らずに、ボンネットを開けて状況を確認する
(3) 危険を回避するため、路肩に止めて即座に通報する

正解は(1)

ハザードランプを点灯し発炎筒に着火、停止表示器材(三角表示板)を設置する

後続車が停止車両に気づかないケースが多く、合図が遅れると重大な事故を招きます。道路交通法ではハザードランプを点灯し、発炎筒を使用して視認性を高め、停止表示器材を設置することが義務付けられています(第75条の11第1項)。

死亡事故の約3割が停止車両への衝突によるもの!

NEXCO中日本が管理する高速道路では、2023年に34件の交通死亡事故が発生し、37名の尊い命が失われました。そのうち、高速道路上で停止している車両への衝突が10件(死亡12名)と、交通死亡事故全体の約3割を占めています。高速道路を走行する際は、停止している車両が存在する可能性を常に意識し、安全な速度で十分な車間距離を確保した運転を心がけることが大切です。

故障による車両の停止を未然に防ぐためには、日頃の点検や整備が欠かせません。万が一故障が発生した場合は、ハザードランプを点灯し、できるだけ路肩に停止して、発炎筒、停止表示器材で後続車に合図を行い、速やかにガードレールの外側や安全な場所へ避難することが重要です。

●図1/交通死亡事故発生状況推移(NEXCO中日本調べ)

交通死亡事故発生状況推移グラフ

●図2/事故形態別の交通死亡事故件数(NEXCO中日本調べ)

事故形態別の交通死亡事故件数グラフ

2023年の交通死亡事故件数は34件、死亡者数は37名で、2022年と比べ、件数は1件増加。死亡者数は1名減少(図1参照)。高速道路上で停止している車両に衝突する死亡事故は10件発生し、2022年と比べて4件減少しているが、死亡事故の割合としては依然として多いことがわかる(図2参照)

高速道路を走行中に突然クルマが走行不能になった場合の対処法

故障などでやむを得ず停止する場合は、ハザードランプをつけ、十分な幅がある路肩や路側帯に寄せて止めます。橋やトンネルなど、路肩が狭かったり、路肩がなかったりする場合は、走行が可能なら広い場所まで自走しましょう。

停止したクルマの乗員が、後方からきたクルマにはねられ死亡する事故が多いため、決して本線や路肩を歩き回らないようにしてください。

高速道路の路肩に停車している写真

高速道路を走行中にクルマが不調になった場合は、急ブレーキを避けて徐々に減速しハザードランプを点灯させながら路肩に停車する

後続車の運転者が停止車両に気づいているとは限らないため、発炎筒、停止表示器材を使用し、後続車に対して適切な安全措置を講じることが重要です。停止表示器材は、クルマの50m以上後方に、無理のない範囲で確実に設置します。

【この3点で後続車に合図!】
・ハザードランプを点灯
・発炎筒に着火
・停止表示器材を設置(道路交通法第75条の11第1項)

路肩に停車して停止表示器材を設置

後方から来る車両に停車していることを伝えるため、路肩に止めたらハザードを点灯し、停止表示器材をクルマの後方50m以上のところに設置する。停止表示器材を設置しないと違反点数と反則金が科せられるので注意

車内は安全ではないため、運転者も同乗者も全員、通行車両に注意しながら、ガードレールの外側など安全な場所へ避難することが重要です。橋や高架などで外側に避難できない場合は、追突された際の巻き添えを防ぐため、車両より後方で助けを待とう。

高速道路のガードレール

路肩にクルマを止め、停止表示器材を設置した後は、速やかにガードレールの外側へ避難するように

高速道路上で走行できなくなった場合、故障車を移動するため必要な措置をしなければなりません(道路交通法第75条の11第2項)。安全な場所に避難したら、「110番」、「非常電話」、「道路緊急ダイヤル(#9910)」のいずれかを使用して、トラブルの状況を通報します。

道路緊急ダイヤルは、携帯電話やLINEアプリから発信可能です。非常電話は、本線上(1kmごと)、トンネル内(200mごと)、インターチェンジ、SA、PA、バスストップ、非常駐車帯などに設置されています。

高速道路の非常電話の写真

非常電話は1kmごと(トンネル内は200mごと)に設置されている。受話器を取れば係員が対応してくれるので、故障の状況を的確に伝えよう

高速道路でJAFを利用する場合、どうすればいい?

キロポストの写真

JAFに救援を要請する際は、車種名やナンバー、ボディーカラーだけでなく、高速道路名や進行方向、キロポスト表示を伝えることで対応がスムーズになる

高速道路上は大変危険。ガードレールの外側など安全な場所に避難してから救援要請を行ってください。非常電話で連絡した場合もJAFへ救援要請をしてもらうことができます。スムーズに受け付けをするためには、以下の点を確認しておきましょう。

【電話でJAFからお尋ねすること】
●どんなクルマですか?:車名、ナンバー、ボディーカラーを伝える
●クルマはどこにありますか?:高速道路名、進行方向およびキロポスト表示を伝える
●どんなトラブルですか?:トラブル状況、対応してほしい内容を説明
●会員証はお持ちですか?:会員は会員番号を伝える。JAF会員でなくても救援要請を行うことは可能です

高速道路を走行中に停止車両を見かけたらどうする?

携帯で#9910へ連絡している写真

運転中の携帯操作は違反行為となるので、同乗者に連絡をしてもらおう。運転者が通報をする場合は、SAやPAなどに停車してから行うように

事故や故障などで停車している場合、付近に人がいる可能性があります。急に人が出てくることを予想し、もしもの時に備えた運転をしましょう。運転者が通報を行う場合は、SAやPAなどの安全な場所から連絡してください。

ハイウェイラジオの標識写真

道路情報板やハイウェイラジオで故障車の情報を確認したら、まず速度を落とし、周囲の状況に応じて安全な走行を心掛けよう。必要に応じて車線変更が求められる場合もあるため、慎重に対応することが重要

故障車の通報があった場合、情報板やハイウェイラジオなどで情報提供が行われます。情報を入手したら、速度を落とすなど、注意して走行しましょう。

高速道路でのガス欠は違反!? 停止表示器材がないと反則金!?

【ガス欠(燃料切れ)の場合】
高速道路でのガス欠やバッテリー上がりは、「高速自動車国道等運転者遵守事項違反」となり、反則金が科せられます。道路交通法第75条の10第1項(自動車の運転者の遵守事項)には、高速道路や自動車専用道路を走行するときは、あらかじめ燃料、冷却水、エンジンオイルの量などを点検しておき、途中でガス欠などによって走行できなくなることがないよう必要な措置を講じる義務が規定されています。違反すると、状況に応じて「高速自動車国道等運転者遵守事項違反」となり、違反点数2点が加点されるほか普通車で9,000円の反則金が科せられます。さらに罰則(刑罰)として、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金(第119条第1項第19号)や、10万円以下の罰金(第119条第3項)が科せられる場合もあります。


【停止表示器材を設置しなかった場合】
走行不能になった際に、停止表示器材(三角表示板)を設置しなかった場合は、「故障車両表示義務違反」となり、違反点数1点、反則金6,000円(普通車)が科せられます。

ガソリンを入れている写真

高速道路で止まってしまう原因の第4位となるガス欠。高速でガス欠になると違反点数と反則金の対象となるので、高速に乗る前にはしっかりと確認しておこう

高速道路上での故障原因の約4割がタイヤの破損!?

高速道路での故障原因の第1位はタイヤ(ホイール)破損で、タイヤの破片などが道路上に散乱し後続車を巻き込み、思わぬ事故を引き起こす危険性があります(2023年NEXCO調べ)。また、摩耗したタイヤはスリップ事故の原因にもつながるため、ドライブ前にはタイヤの空気圧と溝が充分に残っているかを必ず確認することが重要です。故障の大半は基本的な点検で防げるものが多く、特に燃料やタイヤ、バッテリー、オイル、冷却水の点検は怠らないよう心がけましょう。

高速道路での故障原因内訳

高速道路での故障原因は、タイヤ(ホイール)の破損が全体の約4割を占めている。くぎを踏んでしまうなどの不測の事態を除けば、日頃のメンテナンスで多くは防ぐことができるので、事前にしっかり確認しておこう

タイヤのトラブルによる故障

空気圧の確認や溝の深さ、亀裂などをチェックするだけで、タイヤによる不具合の多くを防ぐことができる。ホイールのナットも緩んでいないか定期的に確認をしておこう

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