高速道路でまさかのトラブル…。路肩に停車するとき、発炎筒を焚くだけでいい?
あなたの行動、ひょっとしたら違反かも運転歴が長くなると、違反行為かどうかを気にせずハンドルを握ることも多くなりがち。どこが違反にあたる運転行為なのかをクイズで再確認しましょう。今回は、高速道路上に車のトラブルで停止してしまった際のクイズです。
片側2車線の高速道路を走行中、釘を踏んでタイヤがパンクしてしまい、路肩に停車しました。三角形の停止表示板を車に載せていなかったので、発炎筒を焚(た)いて車の後ろに置き、
トラブルで停止していることを後続車にアピールしながら、車の外でJAFの救援を待ちました。
この行為は、以下の選択肢のうちどれに該当するでしょうか?
- 1.停止表示板を使用しなかったので違反。
- 2.トラブルでも路肩に停止したので違反。
- 3.発炎筒を使っているので、違反にはならない。
-
答え:1 停止表示板を使用しなかったので違反。
高速自動車国道及び自動車専用道路における故障等の場合の措置について、道路交通法第75条の11は「自動車の運転者は、故障その他の理由により(中略)当該自動車を運転することができなくなつたときは、政令で定めるところにより、当該自動車が故障その他の理由により停止しているものであることを表示しなければならない」とします。
故障などの理由で停止していることの表示方法については道路交通法施行規則 第9条の17と18が、いわゆる「停止表示板」と呼ばれている停止表示器材について、夜間、昼間それぞれに備えるべき仕様を定めています。
今回の事例では、発炎筒は使っているものの停止表示板を表示していませんから、高速道路上において故障等により停止していることの表示としては不十分なのです。
従って1の「停止表示板を使用しなかったので違反」が正解です。停止表示板を使う様子。一般道でも使用すれば周囲に故障車の存在をアピールしやすくなる。(写真はイメージです)
停止表示板が標準装備されている車は少ないため、自分の車に装備してあるかを一度確認しておくとよいでしょう。高速道路や自動車専用道路を利用する際には、故障等に備えて、必ず停止表示板などを携行するようにしましょう。
高速道路上では、停止表示板を車外に置くのは危険が伴います。車外に出る際はまず、発炎筒を使って周囲の車に存在をアピールしながら設置するようにしてください。
また、帰省などでトランクに多くの荷物を載せているようなとき、停止表示板の上に荷物を置いてしまったりすると取り出しにくくなることがあります。必ず取り出しやすい位置に置いておくことも大切です。
道路交通法
第75条の2の3 高速自動車国道及び自動車専用道路における自動車の交通方法等については、前各章に定めるもののほか、この章の定めるところによる。
(中略)
(故障等の場合の措置)
第75条の11 自動車の運転者は、故障その他の理由により本線車道若しくはこれに接する加速車線、減速車線若しくは登坂車線(以下「本線車道等」という。)又はこれらに接する路肩若しくは路側帯において当該自動車を運転することができなくなつたときは、政令で定めるところにより、当該自動車が故障その他の理由により停止しているものであることを表示しなければならない。
(夜間用停止表示器材)
道路交通法施行規則 第9条の17 令第27条の6第1号の内閣府令で定める基準は、次に掲げるとおりとする。
一 板状の停止表示器材(次条において「停止表示板」という。)にあつては、次に該当するものであること。
イ 別記様式第五の五に定める様式の中空の正立正三角形の反射部若しくは蛍光反射部を有するもの又は別記様式第五の六に定める様式の中空の正立正三角形の反射部を有するものであること。
ロ 夜間、二百メートルの距離から前照灯で照射した場合にその反射光を照射位置から容易に確認できるものであること。
ハ 反射光の色は、赤色であること。
ニ 路面上に垂直に設置できるものであること。
二 灯火式の停止表示器材(次条において「停止表示灯」という。)にあつては、次に該当するものであること。
イ 路面上に設置した状態において、長さ十七センチメートル、幅十七センチメートル、高さ十五センチメートルを超えないものであること。
ロ 点滅式のものであること。
ハ 夜間、路面上に設置した場合に二百メートルの距離から点灯を容易に確認できるものであること。
ニ 灯光の色は、紫色であること。
(昼間用停止表示器材)
道路交通法施行規則 第9条の18 令第27条の6第2号の内閣府令で定める基準は、次に掲げるとおりとする。
一 停止表示板にあつては、次に該当するものであること。
イ 別記様式第五の五に定める様式の中空の正立正三角形の蛍光反射部を有するもの又は別記様式第五の六に定める様式の中空の正立正三角形の蛍光部及び非蛍光部を有するものであること。
ロ 昼間、二百メートルの距離からその蛍光を容易に確認できるものであること。
ハ 蛍光の色にあつては赤色又は橙色であり、非蛍光部の色にあつては赤色であること。
ニ 路面上に垂直に設置できるものであること。
二 停止表示灯にあつては、次に該当するものであること。
イ 路面上に設置した状態において、長さ十七センチメートル、幅十七センチメートル、高さ十五センチメートルを超えないものであること。
ロ 点滅式のものであること。
ハ 昼間、路面上に設置した場合に二百メートルの距離から点灯を容易に確認できるものであること。
ニ 灯光の色は、紫色であること。
松居英二
まつい・えいじ 弁護士。(公財)日弁連交通事故相談センターの委員・相談員として交通事故に関する法律相談、損害賠償額算定基準の作成などに参加。「JAF Mate」誌では2004年から2017年まで「クルマ生活Q&A」の法律相談を担当。