南海トラフ地震に首都圏直下地震…運転中に大きな地震が起きたら、どうすればいいの!?
CASE5:運転中に大地震が発生クルマの運転中に遭遇するさまざまなトラブル。万が一そんなトラブルに遭遇した場合、「どう対処すればいいのか?」をわかりやすく解説。今回のテーマは「走行中に大きな地震が発生したら……」です。運転が困難になるほどの大きな揺れが起きてしまった際の対処法について、専門家に聞いてみました。
3択クイズ!
クルマを運転中に大きな地震が発生! こんなとき、アナタならどうしますか?
適切な対応は次の3つのうちどれ?
(1)慌てず安全に停車することが重要。急ブレーキを避け、徐々にブレーキ踏みながら停車
(2)大きな地震の場合はまずは止まることが大切。急いでブレーキを掛けて迅速に停車する
(3)強い揺れを感じても停車すると危険なため、速度を落としてゆっくり走行する
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答えは(1)
慌てず安全に停車することが重要です。急ブレーキを避け、徐々にブレーキ踏みながら停車してください。
また、ハザードランプを点灯させ周囲の車両に対して注意を促すことも忘れずに。
運転中に大きな地震が発生したら、以下の行動を!
1.急ハンドルや急ブレーキを避け、できるだけ安全な方法で道路の左側に停止させる。
2.余震に備えてサイドブレーキをかける。
3.停止後は、ラジオやスマートフォンで地震情報や交通情報を確認し、その情報や周囲の状況に応じて行動する。
4.運転を再開する場合は、道路の損壊、信号機の作動停止、道路上の障害物などに十分注意して走行。
5.クルマを置いて避難するときは、できるだけ通行の妨げにならない場所に置くこと。やむを得ず道路上に置いて避難するときは、道路の左側に寄せて駐車しエンジンを止め、エンジンキーは付けたままにするか、運転席など車内のわかりやすい場所に置いていく。その際、窓を閉めてドアはロックしないこと。
6.他の人が車両を移動する場合があるため、車内には氏名と連絡先を記したメモを残す。後日クルマの所有確認をスムーズに行えるよう、車検証を持って避難。
道路上にクルマを置いて避難するときは、道路の左側に寄せて駐車し、エンジンを止め、エンジンキーは付けたままにする
車内に氏名と連絡先のメモを残したり、車検証を持って避難すると、クルマを引き取る際の所有者確認がスムーズになる
地震にも「揺れ」の種類があることを知っておこう
クルマの運転中はおおむね震度4で揺れに気づき、震度5強で運転が困難になると言われている(国土交通省静岡国道事務所)。地震の揺れには、縦揺れ、横揺れ、長周期地震動などがある。それぞれの特徴に合わせて、適切な対応を取る必要がある。
【縦揺れ】
地面が上下に大きく揺れるため、車内も大きく揺れる。路面の隆起や陥没が発生することもある。
【横揺れ】
水平方向に振動することで、アスファルトに亀裂が入ったり、段差が生じることがある。
【長周期地震動】
高架道路や橋の支柱を損傷させたり、桁のずれなどが発生する危険性がある。
大きな地震が起きると道路に亀裂や陥没、隆起が発生することもあるので、揺れが収まっても可能な限り走行しないよう安全な場所にクルマを止めよう
大地震発生時には津波にも注意
現在、国が発表している東海地震、東南海・南海地震の予測によれば、静岡県の伊豆半島から鹿児島県の大隅半島にかけての太平洋岸で、波の高さ最大5~10mで襲ってくるとされている。しかも、地形によっては3~4倍の高さになるおそれがある。到着時間は地区によっては数分とも言われている。さらに、その後も数分から30分程度の周期で海面が上下動を繰り返し、数時間から数日間続くことがある。
一般的には、マグニチュード7以上の地震で被害を伴う津波が発生するとされ、そのスピードは水深2,000mなら時速約500km。海岸に近づくと遅くなる(陸地では時速約40km)とはいえ、とても人間が逃げきれる速さではない。もし、海岸沿いの道路で地震を感じたら、丘の上など海岸から離れた高い場所に避難すること。周囲の状況によっては、クルマを置いて素早く行動することが大切だ。
沿岸部を走行中に大きな地震が発生したら、速やかに高台などへ避難する。渋滞や通行止めが発生しているときは、クルマを置いて逃げることも考えよう。過去の津波では渋滞でクルマが動けず被害に遭った人たちも多い
緊急地震速報とは?
緊急地震速報は地震の発生直後に、震源に近い地震計でとらえた初期微動を解析して震源や地震の規模(マグニチュード)、想定される揺れの強さを直ちに計算し、強い揺れ(主要動)が始まる数秒~数十秒前に知らせるもの。2007年10月から気象庁による一般向け緊急地震速報がラジオ・テレビなどを通じて提供されている。クルマ運転時に受信したら落ち着いて速やかに行動しよう。
高速道路を走行中に地震が起きたらどうすればいい?
1.走行中に大きな揺れを感じたら…
高速道路を走行中に地震による大きな揺れを感じたら、一般道と同様にまずは慌ててブレーキをかけずにゆっくりと減速し、左側路肩に停車してエンジンを止める。停車する際は、長大法面(のりめん:大きく山を削った斜面など)の下やトンネルの出入り口付近は崩落の危険があるので、なるべく避けよう。
高速道路では、計測震度4.5(震度5弱に相当)以上で通行止めになり、道路の点検が行われる(路線によっては、計測震度5.0以上で通行止めとなる箇所もある)。大地震の場合、本線車道は緊急車両が通行することになるため基本的に走行できなくなる。PAやSAで強い地震が発生した場合は、係員の避難誘導に従って行動しよう。
大きな地震の場合、トンネル内やトンネルの出入り口付近は崩落の危険もあるため、そこに停車するのは避けよう
2.路肩など安全な場所に停車したら…
安全な場所に停車しエンジンを止めたら、追突事故が起きないようハザードランプを点灯。後方から来るクルマから見えやすい位置に停止表示板を置く。また、前後の車両との間隔をとるなど、余震に対しての予防措置もとるようにしよう。
避難する場合は、警察や高速道路会社の指示、ラジオ(携帯ラジオやスマートフォンのラジオ聴取用アプリなど)やカーナビによる公共機関の情報を確認して慎重に行動する。特に沿岸部では津波が来る可能性があるため、津波の高さや到達時間などの情報を収集しよう。
3.クルマを離れ避難するときは…
エンジンを停止したら窓ガラスをしっかり閉め、ドアはロックせずキーはつけたままにしておく。可能であれば車内に連絡先を記したメモを残しておくとよい。また、貴重品などは車内に残さないように。避難する際は、非常駐車帯やガードレールの外などを歩き安全な場所に避難する。
※協力=NEXCO中日本
首都直下地震が発生したらどうなる?
「首都直下地震」は、政府の地震調査委員会が今後30年以内に70%の確率で起きると予測している、マグニチュード7程度の大地震。大震災(震度6弱以上)が発生した場合、警視庁により環状7号線内側への一般車両の流入禁止、環状8号線内側への一般車両の流入抑制、緊急自動車専用路となる高速道路や主要な国道等(7路線)における一般車両の通行禁止規制等が実施される(道路交通法)。 その後、緊急自動車専用路を優先的に緊急交通路に指定し、必要に応じて路線が追加される(災害対策基本法)。
高速道路を含む7路線(高速道路、国道4号、国道17号、国道20号、国道246号、目白通り・新目白通り、外堀通り)は、大震災発生後、人命救助および消火活動に従事する消防・警察・自衛隊等の緊急自動車専用の路線となるため、緊急自動車等以外の一般車両は通行できなくなる
地震でも自動車保険や車両保険は使えるの?
自動車保険や車両保険では、台風や洪水、高潮などの自然災害による損害は補償されるが、地震・噴火またはこれらによる津波により被った損害に対しては補償されない。なお、クルマは火災保険で補償される家財の範囲には含まれず、地震保険でも補償対象にならない。
しかし、一部の保険会社では地震でマイカーに損害が生じたときにも補償を受けることができる地震特約を用意しているところもあるので、気になる人はご自分が加入されている保険会社に確認してみよう。