こんなとき、アナタはどうする? CASE3:高速道路の落下物
構成=グランマガジン社/解説=NEXCO東日本

仮設トイレやソーラーパネルにマネキンまで…! 高速道路を走行中に落下物に遭遇したときは、どうする!?

CASE3:高速道路の落下物

クルマの運転中に遭遇するさまざまなトラブル。万が一トラブルに遭遇した場合、「どう対処すればいいのか?」を専門家が解説。今回のテーマは「高速道路を走行中に落下物や動物に遭遇したら……」です。走行中に落下物に衝突したり、誤って自分が落としてしまった場合の対処法についてNEXCO東日本に聞きました。また動物と衝突してしまった際の対応などについても解説してもらいます。

目次

3択クイズ!

高速道路で落下物を発見した!
こんなとき、アナタならどうしますか?

適切な対応は次の3つのうちどれ?
(1)非常電話や道路緊急ダイヤル(♯9910)で通報、または料金所やSA・PAの係員に伝える
(2)路肩にクルマを止め、自分で動かせそうなら後続車に気を付けて落下物を路肩に移動する
(3)落下物の手前でクルマを止め、ハザードランプを点灯し後続車に落下物があることを知らせる

答えは(1)
非常電話や道路緊急ダイヤル(♯9910)で通報、
または料金所やSA・PAの係員に伝える

高速道路で落下物を発見した際は、以下の方法で通報しましょう。通報が入ると、「落下物あり」など後続車に注意を促す表示が情報板に掲示されます。表示を確認したら、速度を落とし、注意して走行することで事故を未然に防ぐことができます。

また、万が一落下物に衝突してしまった場合は、路肩や非常駐車帯などにクルマを止め、ハザードランプ・発炎筒・三角表示板などで後続車へ合図をしてから、ガードレールの外側など安全な場所に避難し110番するか、本線上に設置された非常電話で通報をしましょう。非常電話は本線上では1kmおき、トンネル内は200mおきに設置されています。

PAに設置されている非常電話

【非常電話から連絡】
故障や事故などやむを得ない場合を除き、高速道路上では駐停車禁止です。落下物を発見した際はサービスエリア(SA)、パーキングエリア(PA)などにクルマを止め、施設内に設置されている非常電話から通報してください。

高速道路の料金所

【料金所やSA・PAの係員に伝える】
料金所を通過する際、料金所の収受員に伝えるか、最寄りのSA・PAの係員に伝えてください。料金所の収受員へ通報する際は、一般レーンにて収受員へおおよそのキロポストを伝えてください。なおその際は、ETCカードを収受員に直接手渡し、走行料金をお支払いください。

携帯電話で道路緊急ダイヤル#9910に連絡している様子

【道路緊急ダイヤル(#9910)から連絡】
道路緊急ダイヤル(#9910)は、落下物のほか道路の穴・路肩崩壊などの道路損傷、路面の汚れなどの道路の異状の通報を24時間受け付けています(通話料無料)。同乗者が通報するか、SA・PAなどにクルマを止めてから連絡してください。LINEアプリによる通報も受け付けています。詳しくは国土交通省のホームページ をご覧ください。

高速道路にはどんな荷物が落ちているの?

●NEXCO東日本が調べた落下物上位3位
1位:プラスチック・ビニール・布類(毛布・シートなど)
2位:自動車部品類(タイヤや自動車付属品など)
3位:木材類(角材やベニヤ板など)

NEXCO東日本が管理する道路における落下物処理件数は、令和4年度は7万4200件でした(ロードキル※処理件数を除く)。落下物の上位3位は、「プラスチック・ビニール・布類」、「自動車部品類」、「木材類」となっています。この他には金属片や紙類、ダンボールなども多い。また、大型の落下物としては仮設トイレや、ソーラーパネル、マネキン、動物の檻(おり)なども回収されたことがあります。冬季にはスノーボードなど、冬ならではの落下物もあります。

  • ロードキル=道路上で車両に衝突した動物が死亡する事例のこと

【各高速道路会社の落下物処理件数(2022年度)】

各高速道路において交通管理隊が処理した落下物の件数グラフ

各高速道路の交通管理隊が処理した落下物の種類としては、走行による風圧で飛びやすいプラスチック・ビニール・布類がもっとも多い(資料:国土交通省)

落下物の実例写真

交通管理隊が処理した実際の落下物。布類や木材、タイヤ、看板など高速道路上にはさまざまな物が落ちている

落下物はどうして危険なの?

高速道路上に落下物があると、衝突する危険性だけではなく、それを避けようと急な車線変更をしたり急ブレーキをかける原因にもなるため大変危険です。過去にはトラックから落下した鉄製ボックスに後続車両が次々に衝突し、計10台が関係する多重事故が発生した例もあります。

落下物に衝突しないために、走行中は「十分な車間距離を保つこと」、「情報板に注意すること」、「夜間はヘッドライトの切り替えを行う(ハイビームを利用する)」ことを心掛けてください。

【重大事故につながるおそれがある非常に危険な落下物の実例】

高速道路上に落ちていたコンテナ

このサイズになると、衝突したら重大な事故になるのは必至。避けるだけでも難しそうだ

高速道路上に落ちていた鉄パイプ

工事現場などで使われる金属パイプ類も多い。自分が積んでいる場合はSA・PAで必ず積み荷の点検を

横風の強い日は軽い物が落下しやすいので注意!

横風が強い日はプラスチックやビニール、布類などの軽い物がより飛ばされやすくなります。高速道路上では車両が高速で移動しているため、風の影響がさらに強まり、軽い物が車両から飛び出す可能性が通常よりも高まります。横風が強い日は木材の落下率が高いのも特徴です。

道路上に落ちている角材

平常日と横風日を比べると落下件数が増える傾向にある。NEXCO中日本・富士保全サービスセンターの調査では特に木材類は平常日の約2倍に増加している

積載物を落とさないためにはどうしたらいいのか

出発前には積み荷の片寄りがないよう均等な荷造りをすること、積み荷をシートで覆うこと、さらにロープでしっかり固定する等、確実な落下防止対策をしたうえで出発前に十分に点検を行ってください。また、途中SA・PAに立ち寄った際は、ロープに緩みがないか等、積み荷の状況を再点検してください。

落下防止のための積荷チェックリスト

高速道路での落下物は、後続車両に重大な事故を引き起こすおそれがあるため、NEXCO東日本ではマナーアップキャラクターのマナーティを使って積載時の注意点を案内している

落下物は落とした人の責任になるので要注意!

落下物は落とし主の責任になります(道路交通法第75条の10)。落下物や飛び石等による車両損害については、それらを落とした人や飛ばした人に賠償責任が生じる場合があります。罰則は、3か月以下の懲役もしくは5万円以下の罰金、過失による場合は10万円以下の罰金が科せられます

高速道路での落下物の除去作業風景

落下物によって渋滞や事故を引き起こす危険があることを忘れずに。落下物を回収する交通管理隊も常に危険と隣り合わせで作業を行っている

高速道路等で野生動物に遭遇したらどうする?

NEXCO東日本が管理する道路におけるロードキル処理件数は、令和4年度は2万600件。特に山間部での発生件数が多く、シカ・イノシシなどの大型動物のほか、タヌキ・キツネ・鳥類などによる発生があります。
高速道路を走行中に動物に遭遇した場合は、慌てずに走行し、落下物発見時と同じように同乗者が道路緊急ダイヤル(#9910)に通報するか、SA・PAに設置された非常電話で通報しよう。

道路上を歩くタヌキ

ロードキル処理件数が多いタヌキは夜行性のため、ドライバーが目視しにくい夜間に道路上へ出てくることも多い(写真はイメージ)。また、シカは群れで行動するので、1頭を見かけたら続けて飛び出してくる可能性もある。さらに、シカは道路上では蹄(ひづめ)が滑り機敏に逃げることができないため、距離が離れていても注意が必要

【各高速道路会社のロードキル処理件数(2022年度)】

ロードキルの 発生件数のグラフ

2022年度のNEXCO3社と本四高速、首都高速、阪神高速(内訳分類なし)によるロードキルの処理件数は合計で約5万1000件(資料:国土交通省)
※首都高速のみ全件数を表記(他の高速道路は10の位を四捨五入)

「タヌキ」「シカ」「サル」の動物注意標識

標識付近は動物が飛び出してくる可能性があるので走行には十分注意したい。標識の種類はよく見かけるタヌキやシカ、サルや、ウサギなどのほか、地域ならではのさまざまな動物の標識が設置されている

野生動物と衝突してしまったらどうする?

野生動物との衝突は「交通事故」と同様の対処になります。
路肩、非常駐車帯などにクルマを停止し、ハザードランプ・発炎筒・三角表示板などで後続車への合図を行い、ガードレールの外など安全な場所に退避してから110番や非常電話などで通報してください。
衝突した野生動物が生きている場合には、危害を加えられてしまう危険もあるため、通報先の指示に従い行動してください。

三角表示板を設置して停車

万が一動物と衝突してしまった場合は、路肩や非常駐車帯にクルマを止めたあと三角表示板や発炎筒で後続車に合図を行う

落下物に関する情報はこちらもチェック!

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