風邪予防特集のKV
イラスト=北極まぐ

風邪ひき運転は事故のもと! 風邪やインフルエンザを予防する食事と栄養

管理栄養士が解説する「風邪に負けない食習慣」で冬のドライブを安全に
渡部早紗

年末年始は、帰省やお出かけで長距離運転が増える季節です。楽しい予定が増える一方で、油断できないのが風邪やインフルエンザ。体調を崩したまま運転すると、集中力や判断力が低下し、思わぬ事故につながることもあります。そのため、風邪をひかない体づくりはドライバーにとって大切な備えのひとつです。

今回は管理栄養士・渡部早紗さんが、食事でできる冬の風邪・インフルエンザ対策を解説します。

目次

くしゃみ、鼻水、鼻づまり…なぜ風邪をひくの?

マスクをする風邪の男性

風邪は、主にウイルスの感染によって起こります。主にウイルスが人から人へと広がり、感染から2日ほどで発症します。風邪の症状は人によって異なりますが、くしゃみや鼻水、鼻づまり、喉の痛みや違和感、空咳(からせき)、筋肉痛や頭痛、だるさ、発熱などが見られます。

通常、私たちの鼻や喉の粘膜には、「線毛(せんもう)」と呼ばれる細かい毛が生えており、ウイルスや細菌を体外へ排出する働きをしています。しかし、寒さや乾燥、水分・栄養不足などによって線毛の動きが鈍くなると、この防御機能が弱まり、ウイルスが体内に侵入しやすくなります。侵入したウイルスが体の中で増殖することで、風邪の症状が現れるのです。

ウイルスが増加? 冬に風邪をひきやすい理由

冬は空気が乾燥し、空気中に漂うウイルスの量が増えやすくなります。風邪の原因となるウイルスや細菌は一年を通して存在していますが、寒さと乾燥が進む冬は、これらのウイルスの動きが活発化し、感染のリスクが高まるのです。

また、冷えた空気を吸い込むと、鼻や喉の血管が収縮して線毛の動きが鈍くなり、ウイルスが侵入しやすくなるのです。さらに、寒さによる体温低下は免疫力そのものを弱めるため、風邪をひきやすい状態になります。

集中力や判断力の低下で交通事故の原因にも! 風邪ひき運転が危険な理由

雪道を走るクルマ

風邪をひいた状態でクルマを運転することは、安全面において大きなリスクがあります。実際に、風邪やインフルエンザによる体調不良による交通事故も起こっています。風邪ひき運転が危険な理由として、おもに下記の理由が挙げられます。

• 発熱・頭痛・倦怠(けんたい)感による集中力低下
• 体力の消耗による認知力・判断力の低下
• 咳(せき)やくしゃみによる瞬間的なハンドル操作ミス
• 風邪薬(抗ヒスタミン薬など)の副作用による眠気や注意力低下


風邪をひいたまま運転することは、同乗者や周囲の安全に影響を及ぼす危険な行為です。そのため、風邪をひいたときは無理をせず体調を整えてからハンドルを握りましょう。

風邪・インフルエンザ予防につながる栄養素と食事メニュー

風邪・インフルエンザ予防につながる栄養素、たんぱく質を毎食とる。ビタミンA・C・Eを補う。抵抗力を高める豚レバー・きのこで免疫力アップ。体を温める。

風邪やインフルエンザを防ぐには、ウイルスを体に侵入させないことが第一です。そのためには、ウイルスの侵入を防ぐ粘膜の保護と、免疫力を高める栄養バランスの良い食事が欠かせません。

卵や魚、肉料理…免疫の材料となるたんぱく質を毎食とる

たんぱく質は免疫細胞や抗体の材料になる栄養素です。たんぱく質は一度に吸収できる量に限りがあるため、朝・昼・晩の3食で小まめに取り入れましょう。たとえば、朝は卵料理、昼は魚、夜は肉など、手のひらサイズ程度の量をとるようにします。

にんじんやほうれん草、みかん…色の濃い野菜と果物でビタミンA、C、Eを補う

ビタミンA、C、Eは、体の抵抗力を支える「抗酸化ビタミン」として知られています。ビタミンAはにんじんやほうれん草など、色の濃い緑黄色野菜に多く含まれており、喉や鼻の粘膜を健やかに保ち、ウイルスの侵入を防ぐ働きがあります。

ビタミンCはみかんや柿、ブロッコリーなどの果物や野菜から摂取でき、抗酸化作用によって抵抗力を高めます。また、ビタミンEは白血球やリンパ球の働きを活性化して免疫細胞の働きを助ける栄養素であり、かぼちゃやアーモンドなどから摂取できます。

感染症への抵抗力を高める「豚レバー」を選ぶ

豚レバーには免疫力を高め、皮膚や粘膜の健康を保つ効果があるビタミンAのほか、免疫細胞の生成を助ける亜鉛、身体の抵抗力に関わるビオチンなどが豊富に含まれています。

豚レバーは少量でも効率よくビタミンAを補える優れた食品ですが、ビタミンAは過剰摂取すると頭痛や吐き気を催すことがあるので注意が必要です。週に1〜2回、少量を目安に取り入れるとよいでしょう。

免疫を高める「きのこ」を取り入れる

きのこに含まれる食物繊維「βグルカン」は、腸の免疫細胞に直接作用し、体の内側から免疫機能を整える働きがあります。また、きのこ類には免疫機能の働きに関わるビタミンDも豊富に含まれています。まいたけ・エリンギ・ぶなしめじなどから積極的に取り入れるとよいでしょう。

鍋料理や温かいスープで免疫力を強化! 体を温める料理を選ぶ

体を温めることで血流が良くなり、免疫力を高めることができます。鍋料理や味噌汁、スープなど、温かい汁物を取り入れましょう。根菜やしょうが、ねぎなどの体を温める食材を使うとより効果的です。

また、発酵食品によって腸内の善玉菌を増やすことで、腸内環境が整い、免疫力の向上にもつながります。キムチ鍋や味噌汁、塩こうじ入りのスープなど、体を温めながら発酵食品を取り入れるのもおすすめです。

風邪・インフルエンザに負けない食事メニュー例

風邪予防におすすめのメニュー。主食…ご飯、雑穀ご飯、うどんなど 主菜…レバニラ炒め、豚レバーの唐揚げ、銀だらの煮付けなど 副菜…かぼちゃサラダ、ほうれん草のごま和え、ブロッコリーのおひたしなど 汁物…きのこの味噌汁、野菜スープなど デザート…みかん、キウイフルーツ、柿など

主食: ご飯、雑穀ご飯、うどんなど
主菜: レバニラ炒め、豚レバーの唐揚げ、銀だらの煮付けなど
副菜: かぼちゃサラダ、ほうれん草のごま和え、ブロッコリーのおひたしなど
汁物: きのこの味噌汁、野菜スープなど
デザート: みかん、キウイフルーツ、柿など


主菜には、免疫細胞の材料となるたんぱく質とビタミンAが豊富な食材を選びましょう。豚レバーは、ビタミンAや免疫に関わる亜鉛を豊富に含みます。豚レバーが苦手な場合は、冬に旬を迎える魚・銀だらにもビタミンAが多いため活用するといいでしょう。しょうがやにんにくなど体を温める食材と組み合わせることで、血行促進効果も期待できます。

副菜には、抗酸化作用に優れたβカロテンやビタミンEを多く含むかぼちゃやほうれん草、ブロッコリーなどの緑黄色野菜を取り入れましょう。さらに、味噌汁やスープなどの温かい汁物を添えることで、体を内側から温めながら水分とミネラルを補給できます。

秋冬に旬を迎えるみかん、キウイフルーツ、柿などはビタミンCが豊富で、免疫力の維持に役立ちます。

風邪・インフルエンザ予防に水分補給が必要な理由

白湯の写真

小まめに水を飲むことで、喉の粘膜に付着したウイルスを洗い流し、胃へと送り込むことができます。胃の中は強い酸性で、抗菌・抗ウイルスの働きがあります。さらに、十分な水分補給によって喉の線毛が潤い、喉から入ったウイルスが気管や肺に入るのを防ぐことができます。反対に、体内の水分が不足すると、喉や鼻の粘膜が乾燥してウイルスが侵入しやすくなります。

冬は汗をかかないため、喉が渇く実感が少ないですが、呼吸や皮膚からは水分が蒸発し続けています。また、暖房の効いた車内や室内は想像以上に空気が乾燥しています。そのため、30分に1回を目安に少しずつ水分を取りましょう。水分補給には、体を冷やしにくい白湯や温かいお茶が適しています。

渡部早紗

わたなべ・はやさ 管理栄養士。総合病院・学校給食の管理栄養士を経て、2021年に独立。現在はフリーランスとして食や栄養に関するコラム執筆・監修。健康商材の広告制作を中心に活動し、言葉による健康情報発信を行う。

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