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管理栄養士おすすめ! 眠くならない、疲れにくい、運転にベストな食事のとり方

安全で楽しいドライブは食事で決まる!? 運転に必須の栄養を紹介!

渡部早紗
2023.06.04

文・解説イラスト=渡部早紗(管理栄養士)、イラスト=北極まぐ

2023.06.04

文・解説イラスト=渡部早紗(管理栄養士)、イラスト=北極まぐ

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ドライブ途中の食事は楽しみである一方、食後の運転ではついウトウトと眠くなってしまいがちです。また、長時間運転することで生じる疲れも気になりますよね。実はメニューの選び方や食べ方で、食後の眠気や疲労を防いだり、軽減できたりするのをご存じでしょうか?

眠気の原因となる血糖値の急上昇を抑えることがポイント!

今回は、運転中の眠気の原因となる血糖値の急上昇を抑える食事のとり方や、疲労解消に効果的なおすすめメニューなどを紹介します。職業ドライバーなど普段からよく運転する人、運転時間が長い人に向けたすぐに実践できる内容で、おすすめの栄養素についても解説するので、ぜひ参考にしてくださいね。

集中力の維持や疲労回復…運転に必要な栄養素とは?

運転中に特に必要な栄養素は糖質です。脳のエネルギー源となるのはブドウ糖であるため、不足すると集中力低下につながります。また、糖質をエネルギーに変換する際にビタミンB1、B2が必要です。ビタミンB1、B2は筋肉疲労の回復にも必要なビタミンです。さらに、精神的な疲労解消には、β-カロテン、ビタミンC、E、ポリフェノールが必要です。

運転に必要な栄養素

早朝ドライブの前夜におすすめの晩ごはん

翌朝早くから運転する場合は、前日にぐっすり眠れるようにしたいですね。そんな運転前日の晩ごはんは、消化が良いものを腹八分目にとりましょう。就寝時間と夕食の時間が近いと消化活動が睡眠を妨げるので、早めに夕食をとって胃腸の負担を避けるようにします。

快眠のためには、トリプトファンやビタミンB6などの栄養素を選んでみましょう。

  • トリプトファンを多く含む食品…大豆製品、乳製品、米、バナナ、ナッツ、卵など
  • ビタミンB6を多く含む食品…レバー、鮭、まぐろ、大豆製品、バナナ、卵など
  • トリプトファン…必須アミノ酸の一種、神経を安定させる働きがある。

食後に襲ってくる睡魔を防ぐため、運転中に避けたい食品

また、特に食後に生じやすい眠気の防止のためには、糖質中心の食事を避けましょう。糖質は運転時に必要な栄養素ですが、急激に血糖値が乱高下すると眠気の原因になると考えられています。おにぎりやパン、うどんなど糖質中心のものを単品で食べると血糖値が急上昇してしまいます。

眠くならない・疲れにくい食事のとり方

血糖値の急上昇を抑える食事のとり方をはじめ、眠気やだるさ対策に効果的なポイントを見ていきましょう。

  • 朝食を食べる
    昼食時の急激な血糖値上昇を避けるために、朝食を食べるようにしましょう。
  • 野菜を最初に食べる
    野菜に含まれる水溶性食物繊維には、血糖値の急上昇を防ぐ働きがあります。
  • 主食は血糖値を上げにくいものを選ぶ
    うどんやパン、白米よりも血糖値を上げにくいそば、押し麦、玄米などがおすすめです。
  • ご飯やパン・麺など糖質のとりすぎを控える
    食後のだるさは、血圧の低下が関連しており、原因は食事中の糖質だとわかっています。
  • 食べる順番を意識する
    血糖値の上昇が緩やかになるように、「野菜」→「肉や魚などのメイン」→「パンや米」の順に食べるようにしましょう。
  • 食事は腹八分目にする
    食べ過ぎを控え、腹八分目を心がけましょう。早食いも控えます。

ドライブ中、コンビニやドライブスルーでのおすすめメニューは?

ドライブ中に手作りお弁当やコンビニ、サービスエリア、ドライブスルーなどで食事をとる場合、眠気や疲れを感じにくくする、おすすめのメニューをご紹介します。

手作りお弁当

手作りお弁当の場合、おかずが多めになるように意識しましょう。おにぎり単品は避け、おかずも食べるようにします。また、ご飯やおにぎりなどの糖質は最後に食べると、血糖値を緩やかに上げることができます。

コンビニ

コンビニで食事を買う際は、おにぎりや菓子パンだけといった糖質単品にならないように、おかずを組み合わせましょう。おすすめは、「おにぎり+唐揚げ+野菜サラダ」、「サンドイッチ+野菜スープ」などの組み合わせです。パンを選ぶ際は、「低糖質」の記載があるものや、ブラン(ふすま)入りのものを選ぶのも良いでしょう。野菜が足りない場合、野菜ジュースがおすすめです。野菜ジュースには、食後の血糖値上昇の抑制効果が期待されています。

ドライブ中にコンビニでおすすめのメニュー

SA・PAのフードコート

SAやPAでは、出発を急いでつい麺類や丼ものなど単品で済ませがちですが、ご飯の量を抑えられる定食を選ぶといいですね。麺類を選ぶ場合は、ちゃんぽんやとろろそば、山菜そばなど野菜が多いものを選び、野菜から食べるようにしましょう。麺類を選ぶなら、うどんよりも血糖値の上昇が緩やかなそばがおすすめです。

うどんと親子丼、ラーメンとチャーハンといった、麺類と丼のセットは糖質が重なるのでなるべく避け、もし食べる場合は、眠気を誘う食後1時間頃に休息を入れるようにしましょう。

ドライブスルー

ドライブスルーで代表的なハンバーガーは、バンズに肉や野菜が挟まれているので、おにぎりやパンを単品で食べるよりバランスが良いと言えます。おすすめのメニューはハンバーガー、サラダ、無糖のドリンクです。サラダを選ぶのが難しい場合、野菜が多めのバーガーを選ぶと良いでしょう。コーラは糖質が多いため、飲み物はコーヒーや紅茶などの無糖ドリンクや野菜ジュースがおすすめです。

ファストフードのような片手で食べられるものでも、食べながらの運転は注意力散漫になってしまい危険です。目的地や休憩場所など安全な場所に駐車して食べましょう。

過剰摂取はNG! 正しいカフェインの取り方

覚醒作用があるものとして代表的な成分がカフェインです。カフェインを含む飲み物として、コーヒー、紅茶、玉露、煎茶、エナジードリンクなどが挙げられます。ココアやチョコレートなどにも含まれています。眠気対策として代表的なカフェインですが、過剰摂取によるデメリットもあります。飲むタイミングや量を意識して上手に付き合いましょう。

カフェイン入りドリンクの効果的な飲み方

カフェインの血中濃度は摂取後30分~2時間で最大になるので、逆算して運転前に飲むと効果的と言えます。個人差はありますが、2~8時間後に効果が半分になるため、約2時間おきに飲むと良いでしょう。

カフェインの注意点

覚醒作用のあるカフェインですが、利尿作用があるのでドライバーの方は注意が必要です。また、夜の睡眠に影響を与えないように夕方以降の摂取は控えると良いでしょう。過剰なカフェイン摂取は寝つきの悪さや睡眠効率を下げる原因になるほか、神経過敏やイライラ、不安感上昇と関連があるとわかっています。

カフェインの適正量

日本においては、明確なカフェインの適正量は示されていません。カナダ保健省の情報によると、カフェインの摂取量は1日あたり400㎎以内が適正とされているので、目安にすると良いでしょう。エナジードリンクなら1日2本程度、コーヒーならカップ3杯程度です。

カフェイン以外におすすめの眠気を覚ます食事や飲み物

カフェインの適正量を守るためには、眠気対策としてカフェイン以外の食事や飲み物を活用することも一案です。覚醒素材として代表的なものは、ミントやメントール入りのガムや飴、ミントなどのタブレット食品などがあります。

刺激の強い味が苦手な場合は、ガムやハードグミ、昆布、するめなどを選んでみましょう。咀嚼(そしゃく)による睡眠抑制が期待できます。カフェインが含まれない飲み物として、無糖の強炭酸水がおすすめです。飲用中に覚醒度が高まり、飲用後の集中度が高まる可能性が期待されています。

職業ドライバー必見! 毎日の運転におすすめの栄養素

夜間に走行するトラック

ここでは、視力や脳の活性化、筋力や集中力の維持など、日々の安全運転のために必要な能力をサポートしてくれる栄養素を紹介します。職業ドライバーなど毎日運転する人は、特に意識的に摂取してほしいです。

視力…ビタミンA・B1・B2

ビタミンAは夜間の視力維持に必要な栄養素です。不足すると夜間にものが見えにくい「夜盲症」を引き起こすため、意識してとりたいですね。にんじんなどの緑黄色野菜のイメージが強いビタミンAですが、レバーにも含まれています。

ビタミンB1・B2は視神経や筋肉の疲労解消のビタミンであり、豚肉などに多く含まれます。ほかにも、キウイフルーツやいちごに豊富なビタミンCは、眼球の水晶体の透明度を保つほか、目をリフレッシュする働きがあります。

脳の活性化…DHA

DHAは記憶力や判断力のために必要な栄養素です。集中力や動体視力の向上への影響も期待されています。さらにDHAは精神を安定させる働きもあるので、ドライバーにおすすめの栄養素と言えます。魚の中でも、イワシやサバなどの青魚にはDHAが豊富です。加熱調理によって魚の脂に含まれるDHAが損失するので、お刺身で食べると効率的にとれます。

筋力…タンパク質、ビタミンB6、ビタミンD

タンパク質は筋肉の構成要素となります。肉や魚、卵などアミノ酸がバランスよく含まれた食品を選ぶと、効率的に補給できます。タンパク質と併せてビタミンB6とビタミンDも必要です。ビタミンB6はカツオやマグロ、バナナなどに含まれています。ビタミンDは鮭などの魚類に豊富です。

集中力…糖質

糖質が不足するとエネルギー不足により疲労や集中力低下が起こります。糖質をエネルギーに変えるためには、豚肉などに多く含まれるビタミンB1も必要です。

知ってる? 運転と食事にまつわる豆知識

運転とラムネ菓子の相性は?

ラムネ菓子は、脳のエネルギー補給として効果的です。持続的注意力などの認知能力が高まることがわかっているので長時間運転に適していると言えるでしょう。さらに、ラムネ菓子は眠気の原因である低血糖対策にもなりますが、まずは眠気が出ないように血糖値の上昇を緩やかにするための食事が大切です。ついつい食べ過ぎてしまうので注意しましょう。

ドライブ中におすすめの間食

ドライブ中の間食としてナッツや煎り大豆もおすすめです。咀嚼によって覚醒を促すほか、精神の安定や集中力アップにつながるドーパミンやノルアドレナリンの合成に必要なアミノ酸「チロシン」が豊富です。もちろん、走行しながらの間食はNGです。

コーヒーは豆の種類で効果が違う!?

先述のカフェインで代表的なコーヒーですが、コーヒー豆の種類によって、脳への効果が異なることがわかっています。目的に合わせて使い分けると良いかもしれません。

渡部早紗

わたなべ・はやさ 管理栄養士。総合病院・学校給食の管理栄養士を経て、2021年に独立。現在はフリーランスとして食や栄養に関するコラム執筆・監修・健康商材の広告制作を中心に活動し、言葉による健康情報発信を行う。

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