厳冬期、EVで毛布をかぶって暖を取る様子

冬のEVは本当に不安? 暖房の使い方ひとつで電力消費がここまで変わる!

大雪で立ち往生したら? JAFユーザーテストで検証

2020年12月に関越自動車道で発生した記録的な大雪による立ち往生は、事態の解消に丸2日間を要した。長時間の立ち往生で、ドライバーの不安を募らせた要因の一つが、極寒の中での燃料切れだという。だが、エンジンの排熱を利用し、暖房効率が良いとされるエンジン車であれば、長時間暖房を使いながらでも燃料が持つことを、肌感覚で理解している方も多いと思う。では、暖房に多く電気を消費すると言われるEVではどうだろう?

そこで、エアコンや暖房機器などを使用して、電力消費量や車内の過ごし方について検証。同一車種のEV4台をそれぞれモニターに乗ってもらい、各車に暖房使用条件(右ページ参照)を設けて、電力消費量を調べてみた。

目次
  • JAF Mate2021年12月号に掲載したユーザーテストを再構成しています。

立ち往生時の不安:エンジン車とEVで異なる「熱」の考え方

EVのテスト車4台を並べ、寒さ対策による電力消費量や快適さを調べる様子

EVのテスト車4台を並べ、寒さ対策による電力消費量や快適さを調べた

テスト方法

エアコンで暖を取るテスト車1

テスト車①は、車両の暖房だけで寒さをしのぐ

大雪のスキー場駐車場に、同一車種のEVを4台用意(省電力暖房システムを搭載)。 テスト開始前に、各車の電力残量を70%に統一した。 EVにはモニターが1人ずつ乗り、それぞれに設定された暖房使用条件で、各車の電力消費量を5時間にわたり比べてみた。 電力残量、航続可能距離は車載メーターで計測した。

テスト車の使用条件

テスト車①:エアコンオート 25℃設定

エアコンを内気循環にし、オートモードで温度を25℃に設定。テスト終了までこの設定を維持した。


テスト車②:電気毛布(電源ソケット使用)・エアコンOFF

パワーONでエアコンは使用せず、電源ソケットを使って市販の電気毛布で暖を取った。


テスト車③:純正シートヒーター(Hi)・電気フットヒーター(電源ソケット使用)・エアコンOFF

パワーONで純正シートヒーターを使用(Hi)、足下には電源ソケットで電気フットヒーターを併用。


テスト車④:毛布のみ。寒いと感じたときにエアコンON・寒くなくなったらエアコンOFF

エアコンの設定は温度32℃、風量最大。 毛布をかけたモニターが、任意でエアコンのON/OFFを操作した。

検証が示す現実。暖房機器の選択で電力消費に劇的な差

原則毛布のみで寒さをしのぐテスト車4

テスト車④のモニターの様子。原則毛布のみで、寒さを感じたときだけエアコンをOFFにする

結果は下表の通りで、オートエアコンを連続使用したテスト車1は電力残量36%と大きく減らしたが、電気毛布を用いたテスト車2は66%と最も多くの電力が残った。とはいえ、毛布でカバーしきれない部分の寒さをモニターが指摘していた。純正シートヒーターと電気フットヒーターを併用したテスト車3も60%と効率的だったが、モニターは寒さの限界に言及。
モニターが任意にエアコンを使用したテスト車4は予想以上に電力を残したが、モニターの感覚により電力消費量が左右されそうだ。

時刻 気温 (℃) テスト車① テスト車② テスト車③ テスト車④
電力残量(%) 航続可能距離(km) 電力残量(%) 航続可能距離(km) 電力残量(%) 航続可能距離(km) 電力残量(%) 航続可能距離(km)
19:00 -6 70 143 70 156 70 160 70 142
19:30 -6 63 130 70 156 69 159 69 140
20:00 -8 60 124 69 155 69 158 69 138
20:30 -8.2 58 118 69 154 66 147 66 134
21:00 -8.2 55 112 68 152 65 146 65 132
21:30 -8.5 52 107 68 151 65 144 65 132
22:00 -8.3 49 101 67 150 63 143 63 127
22:30 -8.3 46 95 67 149 63 141 63 126
23:00 -8.3 43 89 66 148 62 140 62 126
23:30 -8.5 40 83 66 147 61 139 61 123
0:00 -8.6 38 78 66 146 60 138 60 122
  • 計測時の車の状態(エアコン ON/OFFや走行状態等など)により、バッテリー残量が同じでも航続可能距離が異なります。
  • テスト車④は 20:05から5分間、20:30から12分間、21:45から15分間、23:25 からそれぞれ約10分間エアコンを使用。

オートエアコンを継続使用したテスト車1は、電力消費が最も多く電力残量38%。テスト車2〜4は残量60%以上で、純正のシートヒーター、電源ソケットを使用する電気毛布、フットヒーターは電力消費を抑えるのに効果的だった。2〜4ともモニターのコメントによると、体の部分的な冷えに耐えながら寒さを凌いだという。

モニターのコメント

テスト車①(エアコンオート)

22:00 室内はとても過ごしやすかった。
0:00 スタートからずっと快適に過ごせた。


テスト車②(電気毛布)

22:00 室内は大分冷え切っていて、足元と顔がかなり冷えた。
0:00 窓ガラスが凍りついて、首から上と足元がかなり寒かったが、毛布がかかっている部分はなんとか耐えられた。


テスト車③(シート・フットヒーター)

22:00 背中からしっかり温まった。足下のヒーターもとても温かい。
0:00 右側の爪先が冷え込んだ。あと2時間くらいが限界かなと思った。


テスト車④(毛布+適宜エアコン)

22:00 暖房を切ったあと30分くらいは暖かさを保てるが、指先から冷え込んできた。
0:00 約1時間前に暖房を10分入れたが、窓が凍りつき、首から上が冷えた。

【比較テスト:ガソリン車とPHEVとの比較】

テスト車①と同じ条件で、モニター1人ずつが乗車してガソリン車、PHEVでもテストを実施。 どちらもガソリンは満タンでスタート。

【比較テストの結果】
ガソリン車 残燃料●約75%
PHEV 残燃料●約80〜90%

残燃料はガソリン車約75%、PHEVは約80〜90%。EVに比べれば長時間の暖房が可能だが、燃料残量などに左右されるので毛布などの備えは必要だ。

ユーザーテストの動画はこちらから

まとめ:冬期のEVには、万が一に備えて毛布や電源ソケットで使える暖房器具や防寒具の用意を!

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