冬タイヤを履いても“丸腰”? アンケートで判明した“都会の備え”の盲点と、トランクに備えるべき冬の装備
JAF会員の本音。豪雪エリアと大都市圏でこれほど違う「冬道の危機感」12月に入り、各地で積雪による交通障害が発生しています。首都高速でも冬用タイヤの装着が呼びかけられるなど、本格的な冬シーズンの到来です。 JAF Mate Onlineが実施したJAF会員1.4万人へのアンケートでは、地域によって驚くほど大きな「冬の運転意識の差」が浮き彫りになりました。
都会のドライバーが「冬タイヤさえあれば大丈夫」と考える一方で、豪雪エリアのドライバーが最も恐れ、備えているものとは何なのか。
本記事では、アンケート結果から見えた実態と、都会の人が見落としがちな「立ち往生への備え」を徹底調査。雪国のドライバーがトランクに入れている「実体験に基づく装備」を、モータージャーナリスト菰田氏のアドバイスとともに紹介します。
都会と雪国の「温度差」。雪予報が出たとき、あなたはハンドルを握りますか?
アンケートの結果、雪や路面凍結の予報が出た際の行動は、住んでいる地域によって鮮明な差が出ました。
雪予報が出たとき、運転する? しない?
- 【豪雪エリア】(北海道・東北など) 約9割が運転
約9割の人が「予定通り」または「近所のみ」運転すると回答。生活の一部として雪が組み込まれており、運転を前提とした対応が日常化しています。
- 【大都市圏】(東京・大阪など) 6割以上が中止
約64.8%が「中止」と回答。雪道への不慣れさや、ノーマルタイヤでの走行の危険性を認識している人が多い結果となりました。
しかし、注目すべきは「運転しない」と答えた人のコメントです。雪国の人々は、外出を控える場合でも「万が一の立ち往生」を想定し、簡易トイレや非常食を車内に常備するなど、事前にしっかりと準備していることが分かりました。雪国の人は「雪道の運転がうまい」からではなく、「最悪の事態を想定した備え」が万全だからこそ動けるのです。
都会の盲点。タイヤだけでは防げない「冬のトラブル」の正体
冬のドライブにおける不安要素についても、地域ごとに明確な違いが見られました。
地域で違う「冬ドライブの不安」
不安の第1位は「タイヤ・空気圧準備不測」。半数近くのユーザーがこれを挙げており、冬用タイヤの装着率の低さがそのまま不安に直結しています。
冬用タイヤの装着は「当然の前提」であり、不安の矛先は「非常時キット(毛布・食料・けん引ロープ等)」や「視界確保装置(スノーワイパー等)の準備」へと移ります。
たとえ非降雪地域の都市部のドライバーであっても、冬のレジャーや帰省で降雪地へ向かう際は、この「雪国基準の備え」が必要不可欠になります。
プロとユーザーが推奨! アンケートで分かった「冬の安心アイテム」8選
アンケート回答者が実際に車内に備えているアイテムの中で、特に多かったものをまとめました。これらは突然の立ち往生やスタックから身を守るための「命を守る装備」です。
立往生から命を守る「車載必須アイテム8選」
- 1 . 懐中電灯:夜間の作業やトラブル発生時の合図に
- 2 . 手袋(防寒・作業用):チェーン脱着や除雪時の凍傷防止
- 3 . スノーブラシ:車体に積もった雪を払い、視界を確保
- 4 . スコップ:スタックした際の除雪や、マフラー周囲の除雪に
- 5 . 古い毛布:防寒対策のほか、タイヤの下に敷いて脱出用にも
- 6 . 携帯用トイレ:長時間の渋滞や通行止めへの備え
- 7 . 水と軽食:立ち往生時のエネルギー補給
- 8 . スマホの充電器:外部との連絡手段を絶やさないために
その他、窓の凍結を防ぐ「解氷剤」や、雪の日にワイパーを立てておくといった「知識の備え」も重要です。
【読者のコメント】
●北海道では冬場は国道でもひどい渋滞になることは避けられないので、出発地から目的地までの間でトイレを利用できるスタンド、コンビニ、スーパーなどの場所を必ず確認してから出かけることにしています。また簡易トイレも積んではいます。(北海道)
●長靴・スコップ・ハーフブランケットは常備します。地吹雪も頻発しますので、大きめの懐中電灯や使い捨てカイロも積んでいます。(青森)
●渋滞やスタックに備え、携帯電源(ラジオ、テレビ内蔵)、長靴、毛布、手袋、非常食、飲料水、携帯トイレ、傘、スノーワイパー等を車内に常備しています。(富山)
●霜が付かないよう、フロントガラスにカバーを掛ける。ミラーの折りたたみをオフにする。レーダー、カメラに解氷剤を塗る。(北海道)
●仕事で真冬の夜間にクルマで峠越え中に、急に雪が降りだし急きょタイヤにチェーンを装着しようとしましたが、周りは真っ暗闇で懐中電灯も所持しておらず、大変な目にあったことがあります。(東京)
●雪道での渋滞時、トイレに困りました。携帯トイレの準備は、忘れません。(大阪)
●常に万が一を想定して装備を準備しているので困ったことがない。スタッドレスにチェーンとスタックしたとき用のスコップと脱出マットを積んでいます。(大阪)
●通勤にはクルマが必須なので今年から布製のチェーンを携帯するようにしました。(東京)
モータージャーナリスト菰田 潔氏から。雪の日運転のポイント
豪雪エリアでは秋が終われば冬用タイヤを履いているので、雪や路面凍結の予報でも予定どおり出かける人が多いのはわかります。降雪や凍結が日常だからです。それでも暴風雪でホワイトアウトになりそうなら外出は控えるのは当然です。
その一方で、大都市圏では雪や凍結の予報では6割以上が運転しないと答えています。この回答にちょっと驚きました。つまり約4割の人は運転するということですよね。この4割のクルマが冬用タイヤを履いているというわけではないと思います。大都市圏で全体の5割が冬用タイヤを履いていると仮定して、2割は夏タイヤのまま出かけると想定すると怖いことが起こります。滑って事故、あるいは雪や凍結でスタックし大渋滞を巻き起こすことになります。
ちなみにドイツでは冬季は冬用タイヤを履くことが義務づけられています。もしスタックして渋滞を引き起こしたら罰金を取られます。
冬のドライブは常に「想定外」を予想して準備を怠らない
冬の道路は、どれだけ準備をしていても「想定外」が起こります。ふだん雪が少ない地域に住んでいる人でも、まずは自分のクルマのタイヤの状態を確認し、上記のアイテムをラゲッジルームに備えることから始めましょう。自分と家族の安全を守るために、今すぐ「冬の準備に対する知識」をアップデートしてください。
雪の日のドライブ、準備についての記事はこちら
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