【後編】柏木由紀、31歳。全部さらけ出したアイドルに
柏木由紀 インタビュー 後編AKB48の3期生として2007年にデビューし、今年4月にアイドル生活15周年を迎えた柏木由紀さん(31)。「ゆきりん」の愛称で親しまれ、アイドル活動のほかにもバラエティ番組やドラマ、YouTube活動、アイドルグループのプロデュースなど、活躍の幅を広げています。
運転免許取得への奮闘やドライブの思い出について伺った前編に続き、インタビュー後編では、AKB48の最年長メンバーとしての思いや個人の活動、今後の目標についてお聞きしました。
AKB2周目で「後輩たちともう一回青春している感じ」
ーーここ数年で、一番強く印象に残っている出来事や出会いは何ですか?
柏木由紀(以下、柏木):2年ほど前の『ミュージックステーション』3時間スペシャル(2020年10月2日放送)で、松田聖子さんに初めてお会いしたことです。昔から本当に大好きで、私にとって神様のような存在なんです。スタジオでは私の目の前に座っていらしたんですけど、私がしゃべるたびに体ごとうしろを向いて、私の話をちゃんと聞いてくださって……。裏ですれ違ったときも、私しかいなかったのに、もうキラッキラの笑顔でニコッてほほえみかけてくださって、「これが本物のアイドルだ!!」って衝撃を受けました。
ーー直接お会いしてさらに感じたことはありましたか?
柏木:かわいらしいし、キラキラしてるけど、お話のされ方や振る舞い、立ち姿がものすごく上品なんです。アイドルとしても素晴らしいけど、一人の女性としても「こんなふうになりたい」って思いました。というか、「こんな人いるんだ」って感じです。本当に素敵でした。
ーーーAKB48の最年長メンバーということで、先輩メンバーがいた頃とはまた違ったやりがいや、大変さがあるのでは?
柏木:入った頃は先輩ばかりで、とにかくついて行くのに必死でしたが、今はもう後輩しかいませんからね。とは言っても、先輩として何か教えるというよりは、みんなと同じスタート地点で、同じ目線になってもう一回頑張るっていう感覚に近いかなと思います。例えば『NHK紅白歌合戦』への出演や東京ドーム公演って、私は先輩たちと一緒に経験してきたけど、今いるメンバーは経験できてない子ばかりなんです。
今はそういう後輩たちの夢を、一緒にもう一度目指すというやりがいがあります。AKB2周目というか(笑)。青春をもう一回している感じで、今は今でとても楽しいです。
ーー逆に大変なこともありますか?
柏木:そんなにないですけど、体力的には昔よりちょっとしんどいですね(笑)。一日にコンサートが2回あったり、一日中撮影だったりすると、しんどいな~と思うこともあるけど、他のみんなは全然ピンピンしているんですよね。だから、そういうしんどさを共有できる人がいないのは、ちょっとだけ寂しいかもしれません。
ーーしんどいときは、どうやって乗り切るんでしょうか?
柏木:「ちょっともう無理かもしれない」って言っちゃうこともあります。そうすると後輩たちが「がんばりましょう!」って言って、元気をくれるので。
ーー後輩メンバーの相談にのることも?
柏木:たまにありますね。楽屋で気軽に相談してくれる子もいるし、少し真剣な相談をしたいって子は電話やLINEをくれたり。昔はなかったことなので、とてもうれしいです。
ーーどんな相談をされるんですか?
柏木:たとえばバラエティー番組に初めて一人で出る子だったりすると、「こういう番組なんですけど、どういうふうに話したらいいですかね?」とか。トークのネタを一緒に考えたりすることもあります。私も本業ではないので「絶対こうしたほうがいい」とは言えないけど、経験上の話はしたりします。でも、みんなもともとすごく頼もしいので「私が言うことがすべてじゃないからね」とも伝えています。
AKB48現役を続けようと決めた“あるきっかけ”
ーーAKB48の現役メンバーとして15周年を迎えたわけですが、卒業についてはどのように考えていますか?
柏木:卒業とか将来のことは、感覚的にはわりと近くにはあるんですが、まだ本気で「いつ卒業しよう」と考えるところまでは行っていないかな……。卒業しないとできないような夢が見つかったときにするのかなと思っているのですが、今はグループの活動がとっても楽しくて。一人の活動もグループに在籍しながらやらせていただけているので、今のところは卒業の理由が見つからないですね。自分でも「どうするんだろう?」と思いながら活動しています。本当にどの活動も楽しいので、これからもそう思える日々が続いていったらいいなと思っています。
ーーグループの活動で一番楽しいことは何ですか?
柏木:やっぱり、お客さんの前でステージに立って、歌ったり踊ったりすることが一番楽しいですね。それを一番できるのが、AKB48なので。
ーー30歳を越えたとき、まだ現役でい続けようと思ったきっかけはあったのでしょうか。
柏木:現役で30歳を迎えたメンバーがそれまでいなかったこともあって、29歳のときに音楽番組で「30歳まで卒業しません」って宣言をしたんです。そのときは「30歳になったら、またどうするか決めよう」と考えていたのですが、実際に30歳を迎えた去年、脊髄空洞症という病気になってしまい、1か月休業することになって。忙しいときは「次はいつが休みなんだろう」と思うこともあったのですが、初めて長期間休んだときに「とにかく早く復帰したい!」って強く思ったんですよね。自分にとってアイドルの仕事ってすごく大切な存在なんだなって気づいて、「楽しいと思ううちは続けよう」と決めました。
すっぴんからのメイク動画「さらけ出したうえで共感してほしい」
ーーご自身のYouTubeチャンネル「ゆきりんワールド」がチャンネル登録者数56万人超と、とても好評ですね。
柏木:唯一、一人だけでやっている活動なので、私が思ったことやみんなに伝えたいことをそのまま発信できる大切な場所になっています。テレビとか、共演者の方がいるお仕事だとやっぱり気を使ったり緊張してしまって「うまく言えなかったな」と思うことがあるのですが、今は「YouTubeで言えばいいか」って思えるので、気持ち的にとてもラクになりました。
ーー特にすっぴんからメイクをしていく動画は再生回数560万回超と、ものすごい人気です。
柏木:ずっとすっぴんはNGにしていたので、以前だったら絶対考えられない企画ですね(笑)。アイドルという仕事柄、メイクは自分ですることが多いので、もしかしたら同じ悩みを持つ方の参考にならないかなと思ったんです。
でも、やっぱりすっぴんからやらないと、どれだけメイクで変われるか全然伝わらないなって。すっぴんを見せたくない気持ちと、伝えたい気持ちを天秤(てんびん)にかけて、やっぱり伝えたい気持ちのほうが強かったので、思い切って出すことにしました。
ーー「すごく参考になった」「私も肌荒れに悩んでいるから気持ちがラクになった」など、好意的なコメントがたくさん寄せられていましたね。
柏木:YouTubeでいろんな方のメイク動画を見てきましたが、すっぴんのお肌がとてもきれいだったり、もともとお顔ができあがっている方のメイク動画がたくさん出てきて、「まずはもとの良さを用意しなきゃな……」って落ち込むことが多くて。だから、まずはそこに持っていくための研究をたくさんしてきました。それで「こうすればちょっとはマシかな」「ちょっと自信が持てるかな」っていうテクニックみたいなものがたまってきたので、これはぜひみなさんに伝えたいなって思ったんです。
ーー柏木さんが幼い頃から憧れていた“アイドル像”とは、また違った存在にご自身がなっているのでは?
柏木:そうですね。自分のいいところだけ見せようとするのって、やっぱりしんどいですよ。若い頃はそれでも楽しかったんですが、最近は、いいところもダメなところも全部さらけ出したうえで共感してもらえたときのほうがうれしいなって思うようになりました。だから最近は発言や発信する内容が少し変わってきたなと自分でも思います。
アンチコメントを「まあ、いっか」と思えるワケ
ーー動画のコメント欄は視聴者が書き込めるように開放されていますが、やはりさまざまなコメントが寄せられるかと思います。好意的なコメントが多い一方で、“アンチコメント”も来たりしますよね……?
柏木:“コメントパトロール”っていって、アンチコメントに言い返していく企画をしたりしています。だいぶ昔から、自分への悪口の書き込みを見たら心の中で言い返すっていうのをやっていたんです。それをYouTubeの企画としてやってみたら、すごく反響があって。そこで私も発散できているので、あまりツラくなったりはしないですね。むしろ、なんかネタになるコメントないかな~って探しているくらい(笑)。
ーー強いですね……!
柏木:AKB48に入る前からネットはよく見ていて、私からしたら悪いところが一つもないようなアイドルさんですら悪口を書かれているのを見て「こんなに可愛くて素晴らしい人でも言われるってことは、世の中には一定数そういう人がいるんだな」と思うようになりました。それに、握手会とかで直接ネガティブな言葉をかけてくる人って、ほとんどいないんです。面と向かって言われるとグサッとくるんですけど、顔も名前もわからない人に言われても「まあ、いっか。一生会うことないし」って。
ーーSNSによってそれぞれコメントのタイプが違ったりするんでしょうか?
柏木:全然違いますね。TikTokは若いユーザーさんが多いからか、超ストレートな短い悪口が多いです。「ブス!」「おばさん!」とか(笑)。これはもう全然気にならないです。逆にTwitterやYouTubeは長文で、「これがこうだから嫌い」と書かれていることがあるので、「え~、どんな人なんだろう」とその人のページにいくと、いろんな人の悪口ばかり書いていたりするんです。だから言われたことを真に受けずに、「それが趣味なんだな」と心の距離を取るようにしています。
「今が一番輝いている」と思える30代に
ーー休みの日はどのように過ごしていますか?
柏木:じつは、休みの日は夕方まで寝ちゃったりするんですよ。でもやっぱりちょっと後悔するので、起きたらとりあえず外に出てみるようにしています。それでひたすら散歩して、カフェに入ってみたり、一人でランチだけして帰ってくるとかもよくしています。「今日はいっぱい歩いたな~」ってだけでも、自己肯定感が少し上がる気がします。あとは美容が好きなので、ヘッドスパやマッサージの予約を入れたり、自分を癒やすような予定を詰めたりします。
ーーお酒を飲んでリフレッシュすることはありますか?
柏木:一人でお酒を飲んだりは全然しないですね。私、お酒を飲むのがもったいないって思っちゃうくらい食べることが大好きなんです(笑)。焼肉やしゃぶしゃぶの食べ放題にも行っちゃいます。どちらかというと、“質より量”かも。チェーン店も大好きです。
ーーチェーン店はどんなところに行くんですか?
柏木:鳥貴族、しゃぶしゃぶ温野菜、ジョナサンとか……。鳥貴族は一人でめっちゃ行きます。焼き鳥も食べますが、「ふんわり山芋の鉄板焼き」が本当に好きです。
ーーそれはなんだか意外です! 「趣味がない」とYouTubeで発言されていましたが、今後チャレンジしてみたいことを挙げるとしたら?
柏木:ゴルフがやりたいです。番組で1年間ぐらい、ちゃんとコーチもついてやっていたんですけど、プライベートでは1回も行っていないんです。クラブとかも一式持っているので、もったいないなって。その番組を見た父が私とやりたいって思ってくれたのか、ゴルフを始めたんですね。だから練習して、いつか一緒にコースを回りたいです。
ーー今年31歳を迎えたわけですが、どのような30代にしていきたいですか?
柏木:アイドルということもあって「もう30過ぎだから……」と、思わず30という数字をネガティブな意味で使ってしまうことが多いのですが、それをポジティブに変換できたら、めちゃくちゃ楽しそうだなって思っています。10代、20代のときも良かったけど「今が一番輝いてる」って自分でも思えて、周りからもそう見えるような年の重ね方をしたいですね。
<JAF会員から3つの質問>
Q.旅行や泊まりのお仕事で必ず持っていくものは何ですか?
A.スキンケア用品はどうしてもいつもと同じものを使いたいので、ボトルごと全部持っていきます。大きいボトルのままたくさん持っていくので、結構な重さになります。あとは、ホテルや旅館でもなるべく家みたいに過ごしたいので(笑)、普段使っている香りのスプレーやタオル、スピーカーを持っていったりします。
Q.「ここぞ」というお仕事のときにやっていることはありますか?
A.一人で生放送番組に出るような緊張するお仕事のときは、当日までなるべく考えないようにしています。少し前は、そのお仕事が決まったときからずーっとあれこれ考えてしまって、本番で余計に緊張しちゃってうまくいかないことが結構あって。最近は、一応準備はしますが、成功したときのイメージだけするようにします。これで結構うまくいくようになりましたね。
Q.最近ハマっている美容は?
A.つい最近、ヘッドスパを人生で初めて体験して感動しました! 単純にその時間、本当にリラックスできるし、さらにトリートメントもやってくれて、髪もきれいになるし最高。「今、一番贅沢してる」「自分へのご褒美!」って感じがして、なんだか心もすごく元気になったので、これからも定期的に行きたいと思います。
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※オークションサイト、フリマアプリなどでの転売を禁止します。
柏木由紀
かしわぎ・ゆき 1991年、鹿児島県出身。2007年にAKB48の3期生としてデビュー。愛称は“ゆきりん”。18年のNHK大河ドラマ『西郷どん』に出演。21年3月には約7年半ぶりのシングル『CAN YOU WALK WITH ME??』をリリース。22年6月1日には自身が初めてプロデュースしたアイドルグループ「SPY」のシングル『あなたを狙い撃ち♡』がリリースされた。21年に行われた柏木由紀ソロコンサート「寝ても覚めてもゆきりんワールド2021」パシフィコ横浜・神奈川県民ホールの2公演を収めたブルーレイ&DVDが9月14日(水)に発売される。