取材・文=鴨居理子/撮影=鈴木大喜/ヘアメイク=HORI/スタイリスト=服部昌孝

【後編】杉野遥亮の信条…傷ついても「気遣いより本音」

杉野遥亮 インタビュー 後編

大学在学中に「第12回FINEBOYS専属モデルオーディション」でグランプリを獲得し、モデルとして芸能界デビューを果たした杉野遥亮(ようすけ)さん(27)。
近年ではドラマ『ユニコーンに乗って』『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』、映画『東京リベンジャーズ』など話題作で好演し、実力派俳優として存在感を増しています。

車に関するお話を中心に伺った前編に続き、後編ではお仕事への向き合い方や、健やかに過ごすために行っていることについて伺いました。

信条は「嘘をつかないこと、本音でぶつかること」

インタビューに答える杉野氏

ーー20歳で芸能界入りされて、今年でデビュー7年目ですね。若手俳優として邁進(まいしん)する中でさまざまな葛藤もあったのでは?

杉野遥亮(以下、杉野):ありました。芸能界で仕事をしていると、心の浮き沈みはどうしても激しくなります。俳優としては、自分の心が動いていないと役柄の気持ちなんてわからないとも思うんです。自分が傷つけば傷つくほど、演技に深みが出たり、幅が広がったりする部分は確かにあると感じています。

ーーそんな中、杉野さんが大切にしていることは何ですか?

杉野:嘘をつかないこと、本音でぶつかることです。それは自分にも、他人にもです。本音を隠すと自分の気分が明らかに下がるし、なかなか自分らしくいられなくなってしまいます。それに、思っていることをちゃんと伝えなければ仕事の仲間にも、観てくれているみなさんにも信頼してもらえないですから。

ーー監督や共演者にも本音でぶつかっていくよう意識している?

杉野:最初は意識してやっているところもありましたけれど、今はもう「そうしなきゃ、いいものは作れない」っていう気持ちのほうが大きいです。「やらなきゃ意味ないでしょ」という。なあなあな感じでみんなが譲り合ってできたものって、やっぱり中途半端なものとして受け取る人にも伝わってしまうと思っています。

ーーモデル出身で、期待の若手イケメン俳優で……という華やかなイメージを持って今のお話を聞くと、熱血な部分に意外性を感じる人も多いのではないかなと思ったのですが。

杉野:どうなんでしょうか、ギャップを感じる人もいるかもしれません。まわりに気を使いすぎていた時期もありましたが、「大事なのはこっち(本音でぶつかること)だ」って自分で奮い立たせてきたところはあります。“モデル出身”だったり、自分の外側の部分を生かせるときは生かしたいとも思いますが、それ“だけ”を求められるとどうしてもやりがいを感じられないんです。でも、たとえ外見ありきでも、人の心を伝えられる作品や役柄であれば、その部分に熱中して取り組むことができると思います。

まわりに気を使いすぎていたら、いつの間にか自分の心が疲れていた

窓辺でこちらを見る杉野氏

ーーまわりに気を使っていた時期があったとのことですが、変わったきっかけは何ですか?

杉野:コロナ禍になって、自分に向き合う時間が増えたことです。まわりに気を遣いすぎていたら、いつの間にか自分の心が疲れ切ってしまっていることに気が付いたんです。

自分や他人に嘘をついてしまっていたりすると、あからさまにへこみます。そういう自分は好きじゃないし、そういう自分で毎日過ごしていくと、全然楽しくないんです。当時の自分より、今の自分のほうが好きになれています。

ーー「自分のことを好きでいたい」というベースがあるんですね。

杉野:よく“ストイック”とも言われるんですが、自分ではそうは思っていないんです。自分を好きになる方法って人それぞれですが、僕だったら部屋を掃除してみたり、ジムで汗をかいたりすると、やる前よりちょっとだけ自分のことを好きになれている気がします。

ーーお話を聞いていると、忙しい日々のなかでも自分に向き合う時間をしっかりととられていることが伝わってきます。

杉野:健やかに毎日楽しく生きるためにやっていることです。「自分が何に落ち込んでいるのか?」「どうしたら気持ちがラクになるのか?」って、その都度向き合って解決していければ、ちょっとずつ気持ちが晴れていくんです。一人きりで考えるんじゃなくて、信頼する誰かに電話して自分を取り戻すっていうのもいいと思います。

そうすると見える景色も変わってきて、「今日は天気がいいな」「金木犀(きんもくせい)のいい香りがするな」とか、いろんな素敵なことに気づけるようになってくるんです。自分が思ったことをしゃべるとか、笑える何かを探すとか、自分を健やかに取り戻していかないと、いいことにも気づけないですから。

弟の「ロスになったよ」の一言がうれしかった

窓辺に立つ物憂げな杉野氏

ーー俳優として「これだけは負けない」という部分はありますか?

杉野:自分で言うのもなんですが、一生懸命さだと思っています。「自分にできることはやろう」と。意志とか責任感とか使命感は、持っていたいなと思います。

ーー具体的にはどのような思いで作品に臨まれているんですか?

杉野:作品を観てくださるみなさんに、できる限り元気になってもらえるようにと思っています。たとえばドラマはテレビの電波に乗ったら何十万人、何百万人という人に観てもらえます。それだけ責任のある仕事をしているんだから、しっかりしないといけないと感じています。

ーー実際に、作品を観た人からの反応に触れることはありますか?

杉野:僕は、いわゆる“エゴサーチ”はあんまりしないんです。だから、周りの人たちから直接言ってもらえることで「ちゃんと届いているな」と感じることが多いです。現場でお会いしたスタッフさんだったり、家族だったり。9月6日に最終回が放送された『ユニコーンに乗って』というドラマは、初めて弟に「俺、ロスになった(番組が終わって喪失感を感じた)よ」って言われて、なんだかうれしかったです。

ーー現在、27歳ですね。30代、40代とどんな年の重ね方をしていきたいですか?

杉野:かっこいい人になりたいです。『妻、小学生になる。』というドラマで共演させていただいた堤真一さんは、やっぱりかっこよかったです。素敵に年を重ねている方って、顔のつくりとかそういうことではなくて、背負ってきたものや、戦ってきた人生とか、そういうのが全身からにじみ出ていると思うんです。そういう艶(つや)のある人間になりたいです。

日を受ける横顔の杉野氏

<JAF会員から3つの質問>

Q.1週間の休みがあったらどこに行きたいですか?

A.レンタカーを借りて、一人で長野県か石川県あたりに泊まりに行きたいです。あんまり計画を立てて旅をするタイプではないので、思いつきであちこち行ってみたい。東京から離れて、一人で自分と向き合ったり、自然に癒やされたりしたいです。


Q.普段はどんな食事をされていますか?

A.コロナ禍に入ってから最近までずっとデリバリーばかり注文していたんですが、お店のラインナップも変わらないし、なんだかなぁと思っていたんです。それでついこの間、近所のスーパーでお惣菜のグリルチキンを買って、家で温めて食べたらちょっと自分でご飯作った気分になって、それだけでテンションが上がったんです。「これ、いいじゃん」と(笑)。ちょっとしたことだけど、気分が変わるのでおすすめです。


Q.最近、ハマっているものは?

A.アニメの『黒子のバスケ』です。今、Netflixで観られるんです(インタビュー時点)。中学生から高校生の頃に読んでいたバスケ漫画なんですが、Netflixに第3シーズンまであるので、少しずつ観ています。描かれている人物がみんな目の前のことに一生懸命で、心がアツくなるし、ときめきます。

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杉野遥亮

すぎの・ようすけ 1995年、千葉県出身。2015年、第12回FINEBOYS専属モデルオーディションでグランプリを受賞しデビュー。2017年には映画『キセキ〜あの日のソビト〜』で俳優デビューし、近年ではドラマ『ユニコーンに乗って』『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』、映画『東京リベンジャーズ』など話題作に出演。2022年9月22日にはフォトブック『8』(ワニブックス刊)を出版。

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