シュールな世界観が魅力⁉ 交通安全キャラ「宮古島まもる君」ファミリーとは?
沖縄県宮古列島で21人(体)が交通安全を見守る今回のテーマは「宮古島まもる君」です。「JAF Mate」2024年春号でも紹介されており、ご覧になった方もいらっしゃるかと思います。宮古島まもる君は、沖縄県宮古列島の交通安全を促すために設置(配属?)された警察官の人形で、宮古島を中心に池間島(いけまじま)、伊良部島(いらぶじま)、多良間島(たらまじま)の道路脇で会うことができます。1996年に宮古島地区交通安全協会が設置した5体がはじまりで、2024年3月現在は21体にまで増員されました。今回は多良間島に設置された1体を除く20体を紹介します。ちなみに今回巡った4島はすべて橋でつながっていますので車で行き来できます。なお、下地島(しもじじま)も勤務エリアではありますが現在は配属されていません。 「日本と世界の道の雑学」では道路にまつわるさまざまなトリビアをお届けします。これまで何げなく利用してきた道路にちょっぴり興味を持ちながら運転を楽しんでもらえれば嬉しく思います。
今やお土産物屋さんでも大人気の「宮古島まもる君」
「宮古島まもる君」(りょうぞう君)
宮古島では市内の繁華街や空港で、「宮古島まもる君」が描かれたステッカーやキーホルダー、お菓子などのお土産を数多く目にします。島の交通安全意識の啓発という本来の目的はもちろん、今や宮古島観光のシンボル的存在のひとつとも言えるでしょう。総称として「宮古島まもる君」と呼ばれていますが、実は個々の人形にも名前が付けられています。つまり数あるまもる君の中でもネームプレートにまもる君とあるのはただ1人、他は「宮古島まもる君」だけど、「宮古島まさお君」だったりする少々不思議な状況になっています。
1体1体にちゃんと名前があり、台座にはネームプレートが付いています
ややこしい話はさておき、その特徴はなんといってもその表情。手描き感あふれる表情はそれぞれ個性的でありながら、いずれもが何を考えているのかわからない無表情さで統一されています。職務中の警察官ですから表情がヘラヘラしていないのは当然ですが、ここまで表情を消し去っているのは見事。南の島、宮古島の野外勤務ながら誰一人(一体?)日焼けしていないのも大きな特徴です。かなりの色白。今やご当地キャラと言ってもおかしくない認知度ながら、どことなくシュールな感じすら漂うところが魅力です。
宮古島勤務は17名
宮古島警察署で勤務する「まもる君」と女性警察官「まる子ちゃん」
宮古島の玄関口、宮古空港の警備派出所前にいるのは「宮古島いたる君」です(全員名字は「宮古島」なので、以下の名字は省略します)。彼だけが室内勤務のせいか唇の血色もよく表情もいくぶん柔らかく感じます。そして宮古島警察署では「まもる君」と唯一の女性警察官「まる子ちゃん」がお出迎え。こちらに展示されている特別住民票によるとまもる君は平成3(1991)年生まれ、まる子ちゃんは平成5(1993)年の3月3日生まれだそうです。これで3名。以下宮古島全域に14名が配置されています。池間島、伊良部島も含め今回20名全員の姿を確認できました(2024年3月現在)。ネットにあふれる目撃情報通りの場所で粛々と勤務している人形、目撃情報のあった場所からすでに移動(異動?)している人形、さまざまでした。興味のある方はぜひ探してみてください。
池間島には1名、伊良部島には2名
池間島の「たかや君」。左右の看板には「まる子ちゃん」と「まもる君」
まもる君ファミリーのうち、最も北にいるのは池間島勤務の1名。ネームプレートが隠れてしまって見えなかったのですが、「たかや君」だそうです。ちなみに池間島には駐在所がないので、この島唯一の警察官(?)ということになります。また伊良部島には2名が勤務しています。1名は「きよし君」、もう1名は台座が新調されたようでネームプレートがありませんが「じゅんき君」だそうです。
サブキャラ?ちょっと違うタイプの警察官人形
宮古島地区交通安全協会創立60周年を記念して生まれた「たかぼー」
青白くシュルッとした「宮古島まもる君」とはちょっと違った趣なのが、石像の「たかぼー」。なぜか彼だけは君づけされていませんが、この警察官人形の生みの親とも言える宮古島地区交通安全協会の、創立60周年を記念して生まれた特別な存在です。
また、陶器製の泡盛ボトルのタイプの小型宮古島まもる君を島内で数か所見かけましたが、こちらは個々に名前は付けられていないようです。かなり小さいので見逃してしまいそうですが、こちらも探してみてください。
小型の宮古島まもる君もいます
のどかな宮古島列島の各地で勤務する「宮古島まもる君」(写真はいずる君)。宮古島観光の際にはぜひ探してみてください
写真左上から「としお君」「すすむ君」「こうじ君」「あつし君」 写真左下から右へ「じゅんき君」「かずき君」「みつお君」「いたる君」
写真左上から「きよし君」「たくま君」「ひとし君」「いさお君」 写真左下から右へ「てつや君」「まさかつ君」「まさお君」「たかぼー」
宮古列島各地で勤務を続ける「宮古島まもる君」。お揃いの制服と喜怒哀楽が見えない表情で決して目立つ存在でないけれど、ちょっと複雑な交差点やスピードが出そうな直線路、学校のそば、どちらが優先かわからない交差点などにいますので、レンタカーなどで宮古島観光を楽しむ人は、見かけたらちょっと意識してみるといいかもしれません。また、さまざまな場所で見かけるので、シュールな存在感は宮古島での思い出のひとコマとしてきっと記憶に残ると思います。
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高橋 学
たかはし・まなぶ 1966年北海道生まれ。下積み時代は毎日スタジオにこもり商品撮影のカメラアシスタントとして過ごすも、独立後はなぜか太陽の下でレーシングカーをはじめとするさまざまな自動車の撮影を中心に活動。ウェブ等でカメラマン目線での執筆も行いながら現在に至る。