神出鬼没! ヒャダインの適当旅

朝起きてふと思う。「そうだ福島へ行こう」から始まる適当旅 in 浄土平

人生知らないことだらけ…にハッとした浄土平の絶景

ヒャダイン
2023.12.21

文=ヒャダイン / イラスト=大山功一

2023.12.21

文=ヒャダイン / イラスト=大山功一

今回の旅は、福島県は磐梯吾妻スカイラインの中間地点にある国立公園、浄土平(じょうどだいら)を訪れたお話です。火山荒原の絶景に心を射抜かれ、吾妻小富士の頂上で自らの見識の浅さに気が付き、新たなことを知る喜びを感じることの大切さを噛みしめたのだとか。

ヒャダインさんが適当に旅した思い出を書き綴る旅エッセーを読んで、一緒に旅したつもりで浄土平の絶景をお楽しみください!

友人に誘われ初福島・ジョードダイラへ出発

それは去年の6月初旬。朝起きたらとてもよく晴れていて、天気予報を確認すると全国的にも、晴れ。こうなったらじっとしていられない。虫が騒ぐとでもいいましょうか、つい旅に出たくなるんですね。そういえば、と思い朝っぱらから旅仲間に連絡してみたらなんと空いている、と。とりあえず1時間後に東京駅集合! 急いで支度をして出発です。
とりあえず東京駅に来てみたらアイデアというのは出るものらしく、友人から「福島の浄土平に行ってみないか」という提案。「ジョードダイラ? 」まったく知らない文字列でしたが、私が「森羅万象コンシェルジュ」と仰ぐ友人が言うからには間違いない。東北新幹線に乗って車内でレンタカー予約してたらちゃちゃっと福島! 意外に近いんですね。実は福島県を訪れたことが少なく、福島駅は初。来たことない駅ってどうしてこんなにテンションが上がるのかしら。

福島駅前ロータリー

こんなどうだっていい写真も機嫌がいい。

レンタカーを借りて浄土平へ。好きな曲をBluetoothで流しながら窓を開けて快適ドライブ。こんな一日が一生続けばいいのに、という気温と天気です。素敵な橋があったので途中で停車。友達といても適当に旅ができるのが本当に嬉しい。持つべきものは友とはよく言ったものです。

鉄橋の前で写真を撮るヒャダインさん

なんか往年のプロレスラーみたいな私です。

そして噂の浄土平へ近づくにつれ「硫黄注意」の看板が。立ち入り禁止、と。おっかねえ。にしても火山独特の荒野が広がります。わくわくが止まりません。てっぺんの駐車場に停めて外に出ると、なんじゃこりゃ。煙出とるよ。

浄土平の山肌

雲に見えるやつ、これ煙です。

絶景に立つ! 反省と感謝の思いに包まれた浄土平

眼前に少し長めの階段があり、えっちらおっちらと登ると絶句です。「え⁉ これって早朝に起きて果てしない登山の結果ようやく観られる絶景じゃないか」。これをちょちょいと歩いただけで味わえるとはなんたる贅沢。それではこちらが画像です。

吾妻小富士の頂上

吾妻小富士の頂上。いやあ果てしない。

昨日の夜までこんな景色に出会えるなんてつゆとも思っていなかっただけに、感動もひとしおです。人生ってなにがあるかわからないですね。人もまばらだったので遊歩道を散策しながら撮影タイムです。こりゃ映えるわ。

吾妻小富士を背景にしたヒャダインさん

友人の腕がいい写真

しかし、まあ、絶景を見ながら反省したわけです。私、博識のつもりでいたんです。クイズ番組に出たりして。そもそも家庭教師のバイトもやっていたし。でも知らないことは山ほどあるんだな、そしてまだまだそれを知っていく喜びがあるんだな、と。反省と感謝。そんな感情の反復運動を繰り返しながら歩く浄土平。そうか。浄土、てことは極楽か。人間は天国に行くときもきっと今までの人生を反省し、今まで生きてこられたことに対して感謝するんだろうなあ。だとしたらなんという素晴らしいネーミングでしょう、浄土平。一回あの世に行った人が還(かえ)ってきて名付けたのかと思うほどです。丹波哲郎さんでしょうか。懐かしいですね。

浄土平のカルデラを撮影

落とし物したらどうするのだろう。

ぶらり居酒屋探訪で名店に大当たり!

感動がホカホカのままそのままドライブ。道の駅やらなにやらに寄り道をしながら早めに福島駅で車を返却。そう。我々はもう一つやらねばならないことがある。それは、いい飲み屋を探すこと。師匠・濡れ頭巾ちゃんから授かった「濡れ頭巾センサー」で店をさがします。そういえば福島市の名物ってなんなんだろう。ネットで調べてみても出てこない。レンタカー店のお姉様に聞いてみたら、「んー、ないわねえ! 強いて言えば餃子? とか?」ふむ。ないのだな。了解。別に名物なんてなくてもいいのだ。チェーン店が並ぶ町並みを抜けて少し町外れ、なんだかちっこくていい感じの店があるじゃない。一見(いちげん)さんお断りな感じもするけど勇気を出してこんばんは~。ご年配の女性が一人。「え、どちらさん? 」な雰囲気は言葉がなくても伝わる。しかし負けるか。「ぜひここでお酒飲ませてください」と粘ったらOK! 野菜にこだわった少量ずつのお店でお惣菜が全部おいしい!

小料理居酒屋の小皿おばんざい

量がちょうどいい。

日本酒がグイグイ進みます。女主人との会話も楽しく、最初の緊張感はどこへやら、すっかり仲良くなりました。レシピも教えてもらったりして。こういうのも適当旅の醍醐味ですよね。あまり馴染みのなかった福島市、すっかり大好きになりました。次回はロンドン・パリ、1日3万歩の悲劇をお届けします。

ヒャダイン

音楽クリエイター。1980年大阪府生まれ。本名 前山田健一。3歳でピアノを始め、音楽キャリアをスタート。京都大学卒業後、本格的な作家活動を開始。さまざまなアーティストに楽曲提供を行い、自身もタレントとして活動。「musicるTV」「久保みねヒャダこじらせナイト」「サウナを愛でたい」「おはよう朝日です」などテレビのレギュラー多数。

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