ヒャダイン糸島の旅イラスト
文=ヒャダイン / イラスト=大山功一

福岡県糸島市で魅力をリサーチ! 移住者増加の理由とは

「好いと~と」をBGMに糸島を満喫
ヒャダイン

連休に前々から気になっていた福岡県西部の糸島市へ行ってきたヒャダインさん。開放的な海と新鮮な海鮮料理、活気のある観光スポット……。移住者を引きつける糸島の魅力に迫ります。

目次

福岡から1時間で行ける糸島ってどんなところ?

最近若い人が福岡県の糸島市にバンバン移住しているというニュースを複数見まして、ずっと気になっていたんですよ、糸島。こないだ2日連休ができたので泊まりで行ってきました。今回のレンタカーはステップワゴンでした。広くてのびのびしていいですねー。

福岡空港から1時間もかからずに到着した糸島なのですが、海沿いにおしゃれなカフェやレストランが並び、すでにたくさんの車がいます。しかも駐車場が有料。これってこないだ一人で行った淡路島によく似ているな。若者が活気づく「島」というのはフォーマットが似るのだろうか。さてどこに止めてひと休みしようかな、なんて思っていたら一緒に行った友人がいきなりハンドルを左に切って丘を上り始めるじゃありませんか。適当旅を実践している素晴らしい友人です。そしてたどり着いたのが高級墓地。小高い丘で死後のんびり海を観られるなんてQOL高めですね。あ、Lはおかしいか。駐車場も無料で景色も抜群です。墓参りの富裕層の皆さまの隣でしばらくぼーっと海を眺めておりました。

墓石でできた看板

徐行の看板も墓石でした。ぜいたく〜

極上の景色に感激! 地魚の刺し身に舌鼓

特に目的地もなくしばらく海岸沿いをスススーとドライブしていたらどうやら観光地っぽいところがあったので行ってみることに。トトロの森、とのことでトトロの小さい傘を貸し出して写真を撮るスポットもありますがスルーして吸い込まれるように海へ。なんて奇麗な海なんでしょうか、玄界灘。海の色は空の色、とはわかっているものの水質が大変に奇麗です。沖縄が1強なわけじゃないんですよねえ。キャンプ場もあるとのことでしばらく堤防をブラブラと。何も目的地決めてないから時間を贅沢に使えるのが適当旅の醍醐味です。

芥屋の大門(けやのおおと)を背景に立つヒャダイン

芥屋の大門(けやのおおと)、というらしいです。いやー海が奇麗

そんなこんなしていたら腹が減ってきたので近隣の食堂へと。民宿も経営しているというこぢんまりした店内はすでにアラ汁のいい香りがします。地魚のみ使ったという刺し身定食を頼んだのですが、出てきたものを見た感想。「なんか白くない?」。地魚の白身魚ばかり、しかも盛り付け方もお世辞にも上手と言えずテンションがかなり下がったのですが一口バクッと食べると、うめえええ!! 地魚の味が濃い!! そして同時に反省ですよ。刺し身定食=マグロやサーモンみたいな彩りとかフォーマットみたいなものを気にしていた自分が恥ずかしい。味は目じゃなく舌で判断せねば、と猛省した瞬間でした。

糸島で食べた刺身定食

とはいえやっぱり魚、白いよね

糸島の空気感と方言「好いとうと」にすっかり夢中

おなかもいっぱいになったところで、店内にあった糸島ガイドブックを読んでみる。移住者の声や観光情報がおしゃれな冊子に書かれている。ふむ。農業したり店を開いたり楽しそうだな。なに。滝もあるのか。とりあえず行ってみよう。運転を代わった車の中ではハロプロのグループであるアンジュルムの名曲「糸島Distance」が流れます。昭和ってご当地の名前が出てくる歌が多かったけど最近って東京以外使われないよなあ。自分も積極的に地名を使っていきたいな。にしてもサビの「好いとうと」はキャッチーだなあ。本当に地元の人は使うのかな。そんなこと言っていたら、おもむろに民家に「唐津焼」の文字が。私、食器見るのが大好きなんです。入ってみると質素ながらも高級感を感じる唐津焼の数々。お店の人も優しく、唐津焼の特徴なんか教えてもらいながら一品購入です。家帰って早速使いました。

唐津焼の器

糸島の道の駅で買ったたけのこをのせました、唐津焼

ほくほくの気分のまま滝へと。まあ車が多い。大人気スポットやないか。確かに素晴らしい滝だったんですけどそこにあるお茶屋さんが経営母体しっかりしていて釣り堀や流し素麺(そうめん)を経営していて非常にエンタメとして優れている。そう。糸島はいろんな施設が「諦めていない」感がすごいんですよね。旧態依然に甘えるわけでもなくプラスアルファを常に考えているようなイメージです。限界集落ばかりになってしまった現在の日本において、地方活性の素晴らしいロールモデルだなあと感心したものです。

流し素麺のレストラン

流し素麺は家族連れに人気でした。私はやらない。普通に食うほうが好き

アップデートを繰り返して糸島の魅力は保たれる

まだ数時間だというのにすっかり夢中になってしまったよ糸島。ニコニコしながら車を進めていると「鳴き砂」の文字が。あれでしょ! 歩いたらキュッキュッて鳴るやつね。寄らざるを得ない。車を止めて駆け出すものの、ふむ。鳴かない。水に近づいても鳴かない。ま、そんなもんか。鳴かれたところで、ねえ。そんな強がりを言いながらとりあえず砂浜でゴロンです。ああ。海が奇麗。たとえば東京中心部から1時間でここに来られるとしたら人が殺到するだろうな。そりゃ若い人も移住したくなるよな。元々土地が持つ魅力を生かしながらアップデートに成功している稀有(けう)な例、糸島。もっと深く知りたいからまた行こうと思います。もちろん糸島Distanceを聴きながら。

鳴き砂の砂浜

鳴かせようといっぱい踏みしめた跡が悲しい

ヒャダイン

音楽クリエイター。1980年大阪府生まれ。本名 前山田健一。3歳でピアノを始め、音楽キャリアをスタート。京都大学卒業後、本格的な作家活動を開始。さまざまなアーティストに楽曲提供を行い、自身もタレントとして活動。「musicるTV」「久保みねヒャダこじらせナイト」「サウナを愛でたい」「おはよう朝日です」などテレビのレギュラー多数。

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