「いざという時に役立つ資格6選!」西村知美先生の資格取得のすゝめ論【後編】
お笑い芸人から俳優、ミュージシャン、文化人まで幅広いジャンルの著名人が「今、とくに夢中になっている趣味」をテーマに、まさかと思うような意外な偏愛嗜好について論じます。 第8回は50以上の資格や検定に合格し、芸能界資格取得ランキングで1位を誇る西村知美さんに目的別のおすすめ資格、実用的な資格を厳選してご紹介していただきました。
いざという時に役立つ資格6選!
今回は私の取得した資格や検定の中から、実用的なものやコミュニケーションに役立つものを厳選してご紹介します。
私が資格を選ぶ基準は三つあります。一つは「趣味、好きなこと」。二つ目は反対に「苦手なこと」。あともう一つは「いざという時に役に立つこと」。この三つで判断して取っています。
その中でも特に将来のために取っておきたいのが、いざという時に役立つ「上級救命技能認定」と「甲種防火管理者」です。
上級救命技能認定、甲種防火管理者
「上級救命技能認定」というのは、心肺蘇生、AEDの使用、人工呼吸、止血、外傷の応急手当てなどいざという時に役立つ応急救命処置を学べます。東京消防庁のイベントなどでは無料で受講することもできます※。
- ※全教程を終了すると、終了証または認定証が交付されます。
「甲種防火管理者」は、マンションやお店には防火管理者(火元責任者は防火管理者の補助)が一人はいなければならないとのことで、主人が取りに行ったときに私も同行して夫婦で取りました。
火傷(やけど)についても細かく学び、症状のレベルや対処の仕方、合併症への処置までとかなり実践的な内容です。
この資格が役立ったのは、以前娘がベッドから落ちた際。泣きもせず大あくびをしたのです。これは危ないということを学んでいたので、すぐに救急車を呼びました。こういった知識があるとないとでは対応が違っていたと思うので、すごくためになりました。この二つの資格は本当におすすめです。
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)
介護職員初任者研修の実習では老人ホームで働く経験もしました。
次は「介護職員初任者研修」です。介護と聞くと将来の親の話かと思いますが、私は自分が骨折をしたときに「これは親のことだけじゃないな」と思ったんです。
いつ病気やけがで寝たきりになるかもしれない。そのときに食事の介助や歯磨きの仕方、ベッドに寝たまま洋服やシーツの交換をする方法、寝たまま頭を洗う方法など、実践で教えてもらえます。
将来の介護ではなく今、家族が倒れたときにも役に立つので、これも学んでいて良かったなと思いますね。130時間(講義時間58時間、実技スクーリング42時間、施設実習30時間)のカリキュラムを修了させるので時間はかかりますが、現在、人手不足で需要もあり、デイサービス、訪問介護、特別養護老人ホームなどへの就職につながることも含めておすすめします。
手話技能検定2級
1994年に手話を披露したときの写真。これからも手話を身近に感じていたいです。
もう一つは「手話技能検定2級」です。私にとって手話は、英語やフランス語などの外国語を習う感覚と同じなんです。たとえば「指文字」での「あいうえお」だけでも相手に伝えることができるので、「サンキュー」や「バイバイ」といった簡単な英語を皆さんが使えるのと同様に、小学校の授業で手話を取り入れたりして、自然に街中で手話が学べて使える世の中になるといいですよね。
コミュニケーションに役立つ、話題になる資格3選!
次に皆さんにご紹介したいのはコミュニケーションに役立つ、話のネタになる資格です。
日本健康マスター検定ベーシック
年齢的に友人たちとの会話のテーマが病気、健康になることが多くなってきました。もう少し年齢を重ねると保険とお墓の話ばかりになるそうです。
その点、正しい健康知識・ノウハウが身に付く「日本健康マスター検定ベーシック」の資格を取ると、話のネタに困りません。喫煙者が1日に吸うタバコの本数と肺がん発症のリスクや関係性を話すとしても、会話の中に具体的に数値を入れて語れると、説得力もあってハッとしますよね。
また、「日本健康マスター検定ベーシック」では食生活、運動、睡眠、高齢の家族の健康、女性の健康や口の健康まで幅広い内容を学べるので、私は勉強をしながら「健康寿命」というものを強く意識するようになりました。
キムチビルダー
これは私の漬けたキムチたちです。
「キムチビルダー」という資格は耳慣れないという方もいらっしゃると思います。手前味噌で恐縮なのですが、主人が韓国料理店を10年以上経営していまして、とてもキムチの評判が良いということで、この資格も主人が監修をしています。かといって私が資格を取るときに何一つ教えてくれなかったんですけどね。でもキムチの歴史からレシピまで、キムチの楽しみ方を総合的に学べます。
キムチは素(もと)のヤンニョム(朝鮮料理における合わせ調味料の総称)を作れるようになると、材料は何でもOK。自分が食べたいもので作れるので、いろいろと試しています。その中で私は「さきイカ」がおいしかったですね。それと「うずらの卵」は韓国でも珍しがられました。韓国では保存食なので卵で作るという発想はなかったのかもしれませんね。でもうちで漬けてすぐに食べるなら「さきイカ」と「うずらの卵」がおすすめです。
今は食品のうまみや栄養素を引き出し、体にも良い効果をもたらしてくれる発酵食品がブームなので、その点でもコミュニケーションが広がりますよね!
ラッピングコーディネーター
ラッピングって見ているとワクワクしますね!
最後は「ラッピングコーディネーター」です。
これは包装紙やリボンなどを使ってギフトなど、贈り物の演出をするための技術を学べます。自分で包めるようになれば、贈る相手への思いもさらに深まりますよね。コミュニケーションが苦手だと思っている方は自分の思いを込めて相手にプレゼントをしてみてはいかがでしょう?
私は「自分の思いをプレゼントする」という行為をとってもいいなと思っていて、いろんな人にプレゼントをしています。プレゼントをするときに大切なのは、その中身よりも思いです。手紙でもその人のことを一生懸命に思って文章を考えますよね? プレゼントも一緒で高価なものでなくても手作りでも何でもいいんです。中身そのものを渡すというより、贈る相手に合ったものを探す。つまりプレゼントというのはモノをあげるという行為ではなくて、相手のことを思っている時間をプレゼントしているんです……とは、さだまさしさんの受け売りです。ごめんなさい。
講習ではいろいろな包み方を教えてもらえますし、どのような紙でも、それこそ捨ててしまうような紙袋を切って包装紙を作ることもできます。余談ですが、ラッピングの先生はすごいんですよ。車やビルもラッピングで包んでしまうんですから。
資格は取れなくても得るものがある
資格の勉強は大変なものもありますし、一生懸命勉強をしたのに落ちることもあります。でも私は資格というものは受かる、受からないというゴールがはっきりしていることが魅力だと思っています。
過去にダンス、英会話やピアノと習い事をしていましたが、ゴールがはっきりしていないため、中途半端に終わってしまうことがありました。でも資格はゴールがあるからこそ、そこに向かって集中して勉強ができるのです。
誤解を恐れずに言えば、私は資格試験に落ちてもいいと思っています。落ちたときはもちろんショックですし、お金も時間も無駄になったと後悔することもあります。けれど勉強した内容は一つも無駄ではありません。だからこそ気持ちを楽にして何回もチャレンジができるのです。
また資格にも向き不向きがあります。好きだからこそ身に付けて職業にできるというのは一番幸せですけれど、なかなかそうはいきませんよね? もっと自分に向いているものが世の中にたくさんあるはずだから探そうと。自分探しではありませんが、探し続けることも楽しみなのです。
遠回りしてしまったけれど、その時間がなければ自分に向いていないということにも気が付かなかった。そう考えると無駄なものなんて何一つないのだと、すべてにおいて楽しみなのです。
これを読んでくださった皆さんが少しでも資格に興味を持ってくださったらうれしいです。無料で取れるものもたくさんありますし、そこから見える世界も広がって、コミュニケーションの輪も広がっていくと思います。
西村知美
にしむら・ともみ 1970年生まれ。山口県出身。86年、映画『ドン松五郎の生活』で主演デビューし、また主題歌「夢色のメッセージ」でアイドル歌手としてもデビュー。その後は、テレビ、ラジオ、映画などで活躍中。現在は、ラジオ日本「加藤裕介の横浜ポップJ」(月曜レギュラー)と、ニッポン放送「森田健作 青春の勲章は くじけない心」(アシスタント)出演中。来年秋公開の映画『SOMEDAYS』が控えている。