「アロマと甘さ、酸味に包まれる至福体験」竹内由恵が夢中のコーヒー愛
竹内由恵先生のコーヒー論【前編】お笑い芸人から俳優、ミュージシャン、文化人まで幅広いジャンルの著名人が「今、とくに夢中になっている趣味」をテーマに、まさかと思うような意外な偏愛嗜好について論じます。 第11回は元テレビ朝日アナウンサーで、現在はタレントとして活躍する竹内由恵さん。焙煎(ばいせん)を勉強するほどコーヒー好きの竹内さんに、その魅力について語っていただきました。
いつかはコーヒーを仕事にしたくて
コーヒーが大好きです。毎日4、5杯飲んでいます。リラックスしたいなと思ったタイミングでコーヒーを飲みます。私にとってコーヒーは、家事、育児、仕事の緊張感からブレイクをとるためのスイッチのような役割を果たしてくれています。また、いつかはコーヒーを販売する仕事に就きたいと考え、現在その実現に向けて自宅でコーヒー焙煎をしています。70万円ほどする焙煎機を買ったのは、その夢への投資です。そんな勉強中の焙煎の話は後編でするとして、前編では、コーヒーを好きになったきっかけについてお話ししたいと思います。
スペシャルティコーヒーとの出会い
私はコーヒー、なかでもスペシャルティコーヒーが好きです。今ではこだわりのあるコーヒー店ではどこでも飲めるようになりました。定義は「消費者の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしいおいしさであり、消費者がおいしいと評価して満足するコーヒーであること(※)」です。一時期、コーヒーがアメリカで大量消費され、低価格化が加速し、生産者に渡る賃金が低下したことで、品質が落ちてしまった時代がありました。その反省から、コーヒー農園を守り高品質な豆を生産しようという理念が生まれたそうです。
実は私、スペシャルティコーヒーに出会うまで、紅茶のほうが好きでした。私にとってコーヒーは、飲んだ後に顔をゆがめてしまう苦い飲み物だったのです。しかし、あるとき、「丸山珈琲」というお店でスペシャルティコーヒーを飲んだことで、コーヒーの概念が覆されました。そのとき私が飲んだのが、まさにスペシャルティコーヒーの代表と言われる「ゲイシャコーヒー」です。フローラルで華やかなアロマ、トロピカルフルーツのような甘さ、心地よい酸味、スッキリした後味。目を閉じて浸りたくなる奥深さがありました。一気に丸山珈琲のファンになり、表参道店(現在は閉店)、西麻布店、そして軽井沢にある3店舗には足を運びました。どの店舗も試飲コーナーがあるので、何度でも行きたくなる魅力があります。
- ※日本スペシャルティコーヒー協会による
スペシャルティコーヒーでは品質だけではなく、生産者の存在も重要視されます。
コーヒーのおいしさに目覚めてからは、コーヒー豆を購入して、自宅で楽しむようになりました。丸山珈琲はもちろんですが、当時は会社の途中にあるカフェで「FUGLEN COFFEE ROASTERS」の豆をよく買っていました。ここは焙煎具合が軽く、どちらかというと酸味の強い、そして華やかな香りのコーヒーが多く、私の好みでした。そのラインナップの中でもケニアが大のお気に入りでした。
ちなみに酸味が苦手という方は、コーヒー好きの中にも多いと思います。でも本当においしい豆でうまく焙煎されていたら、印象は変わるはずです。諦めずにトライしていただきたいと思います。同じお店の焙煎でも、常に一定のクオリティーで楽しめるわけではない気がしています。「あれ? 前回はおいしかったのに、今回はいまいちだな」と思うことも。これはもう「この年のワインは出来がいい」という感覚と同じだと感じています。いまいちだと思ったコーヒー豆は、アイスコーヒー好きな夫用にまわしています(笑)。アイスコーヒーだとそこまで味が気にならないんです。
お湯の注ぎ方がコーヒーの味の決め手に!
自宅ではドリッパーを使って淹(い)れています。豆が新鮮だと、お湯を注いだ瞬間にコーヒーの粉がぶわっと膨らみドームのようになります。ちなみに、なぜ膨らむのかというと、焙煎直後の豆には大量の二酸化炭素が発生していて、豆がお湯と触れ合うことで、豆の中の二酸化炭素が外に出てくるからだそうです。ああ、このドームにダイブして思いきり香りに包まれていたい! という気持ちを抑えながら、ドームを崩さないように、中心から円を描くようにゆっくりとお湯を注いでいきます。おいしいドリップコーヒーの淹れ方は諸説あり、プロでも多様なやり方があるのですが、私は一応「UCCドリップマスターコース」で資格を取ったときに教えていただいたやり方で淹れています。
約3か月、課題に取り組み、無事に認定されました。
それはドームの中心からゆっくり円を描くようにお湯を注いでいき、基本的には縁にはふれないことです。すると注ぎ終わったあとのコーヒーはこのような見た目になります。
ペーパードリップは初心者にもおいしく淹れやすい方法の一つです。
毎日のコーヒーを楽しみにして生きているので、コーヒーフィルターが切れてしまったことに気づいて、夜中にもかかわらず買い求めてさまよったことがあります。だって、夜飲めないだけでなく、次の日の朝も飲めなくなってしまうなんて、耐えられません!
私が毎日コーヒーを飲んでいるので、まもなく2歳になる息子は、私がカップを持っていると「ママ、コーヒー」と指さしてきます。ママがカップを持っていたら必ずコーヒーを飲むもの、と思われているようです(笑)。
次回は竹内由恵さんの、こだわりのコーヒー焙煎についてお伺いします。
竹内由恵
たけうち・よしえ 1986年生まれ。東京都出身。2008年、テレビ朝日にアナウンサーとして入社。同年『ミュージックステーション』のサブ司会に抜擢(ばってき)され、『やべっちFC』や『世界水泳2011』などスポーツ番組のキャスターを経て、『スーパーJチャンネル』や『報道ステーション』などのニュース番組のキャスターとして活躍。33歳で結婚を機に退社し、夫の勤務地である静岡での暮らしをスタート。35歳で長男を出産。現在は、バラエティ番組や情報番組など幅広い分野で活躍中。自分自身で豆を焙煎するほどのコーヒー好き。趣味はカフェ巡り。