偏愛アカデミー

「合羽橋には週2で通ってます」加藤 諒先生の食品サンプル論

わたしの推し活語ります【前編】

加藤 諒
2022.06.07
2022.06.07
この記事のキーワード
この記事をシェア

お笑い芸人から俳優、ミュージシャン、文化人まで幅広いジャンルの著名人が「今、とくに夢中になっている趣味」をテーマに、まさかと思うような意外な偏愛嗜好について論じます。

第3回は俳優の加藤諒さんに、飲食店の店頭や店内に陳列される料理の模型、「食品サンプル」について語っていただきました。


合羽橋に週2で通うようになっていました

僕が食品サンプルを愛するようになったのは、小さい頃からお寿司がすごく好きだったからです。もちろん味も好きなんですけど、僕はお寿司の見た目、色味とか形とかが、シンプルなのにどうしてこんなにアートを感じるんだろうって思っていたんです。

その魅力って何だろうって考えると、光なんじゃないかと思って。お寿司のみずみずしい輝き。さらにそれがとても上手に盛り付けられている。そこに僕はアートを感じたんです。そう思うとそこから「食品サンプル」に惹(ひ)かれていくのは、とても自然なことだったと思います。だって「食品サンプルの光り方=照りとツヤ」の美しさこそが、食品サンプルの魅力なのですから(これに関してはまた後でお話ししますね)。

実際に食品サンプル屋さんに行ったのは、23、4歳のときで、友達と一緒に年越しをしようって話になって、せっかくだから何か面白いことをしたいなって調べたら「食品サンプル屋さんで年越しそばを作って年を越しましょう! 」っていうのを見つけて。大興奮しましたね。「食品サンプルを作れるんだ! 」って。残念ながらそのときは行けなかったんですけど、僕としては「早く行きたい! すぐに作りたい! 」と、後ろ髪を引かれまくっていました。

それで後日、一人で行って初めて作ってみて、食品サンプルへの愛のダムが壊れてあふれてしまったんです。
気が付いたら週2で合羽橋(かっぱばし)へ通うようになっていました。

この天丼が僕の初めて作った食品サンプルです。

この天丼が僕が初めて作った食品サンプルです。

それまでは読者のみなさんと同じように食品サンプルという存在は知っていましたが、集めたいとは思いませんでした。僕が食品サンプルを愛するようになったのは、自分で作ってから。ぜひみなさんも一度、作ってみてください。

今では小さいのも含めたら50個くらいの食品サンプルに囲まれて暮らしています。ちなみに食品サンプル屋さんに行くと、福袋を売っていることがあるんですね。それを買うとマグネットやキーホルダーなど小さいものがけっこう入っているので面白いですよ。

僕があまりにも食品サンプルが好き好き言うんで、家族も興味を持ったみたいで、東京へ来たときに一緒に食品サンプル屋さんに行ったこともありました。お店の人も仲良くしてくださって、食品サンプルでつながる愛には本当に感謝しています。でもこのコロナ禍で閉店したお店もあって……。とてもショックでした。

本当に微力ながら少しでも食品サンプル業界を盛り上げたくて、『SHOKU☆HIN☆SAMPLE』という曲を作らせていただきました。歌詞も僕が書いているんですが、僕の食品サンプルへの愛があふれています。少しでも応援できればと思っているので、ぜひみなさんに聴いていただきたいです。よろしくお願いします。

(クリックすると、音楽配信サービスSpotifyで楽曲の一部を視聴できます。)

この歌の中でも言っているんですけど、食品サンプルは「同じものなんて世界中どこにもない」というのも魅力のひとつだと思っています。型取りひとつにしても、着色にしても職人さんの手作業で行われるので、微妙に違っているんです。そう考えると食品サンプルってやっぱりアートだと思いませんか?

みなさんが知っているものだと、フォークを宙に浮かせたスパゲティの食品サンプル、あれは愛知県にある「食品模型のアイディア さんぷる屋さん」の竹内繁春さんという食品サンプル業界のレジェンドが考案された作品です。僕にとって竹内さんは職人ではなく、芸術家ですね。大芸術家です。

実は僕、竹内さんから作品をいただいてしまいまして。今までで一番感動した食品サンプルです。

実は僕、竹内さんから作品をいただいてしまいまして。今までで一番感動した食品サンプルです。

俳優の表現と食品サンプル

僕にとって食品サンプルは、俳優としてのお仕事と通じるところがあるんです。読者のみなさんもご存じのようにお芝居っていうのは嘘の世界です。だからこそ僕たち俳優は、見ている人たちに本当に起こっているかのように信じ込ませるというか、説得力を持たせないといけないわけです。僕は、偽物だけど、おいしそうって思わせる食品サンプルに、お芝居と似たものを感じるんです。

食品サンプルと実際のものを並べると、不思議なことに食品サンプルのほうがおいしそうに見えるんです。冒頭にも書きましたが、これは食品サンプルが本物よりも「光り方=照りとツヤ」を多くしているからなんです。誇張することによって相手に感じ取ってもらいやすくする(食欲を刺激する)んですね。ただのリアリティーの追求というだけじゃないんです。気が付かない程度に誇張することで、相手の気持ちを動かすという点は、僕の考える表現の感覚と重なるのかなと思っています。

みなさん、食品サンプルの魅力、少しは伝わったでしょうか? 街を歩けば、無意識に必ず目に入っている食品サンプル、ぜひご自身の手で作ってみてもらいたいと思います。後編では、初心者でも作りやすい食品サンプルについてお話しさせていただきたいと思います。お楽しみに!


次回の偏愛アカデミーは、

加藤 諒

かとう・りょう 10歳のときに『あっぱれさんま大先生』でデビュー。舞台、映画、ドラマ、バラエティーなどで幅広く活躍する俳優。近年の主な出演作は、映画『おそ松さん』『翔んで埼玉』『ギャングース』、舞台『パタリロ!』『人間風車』、ドラマ『ルパンの娘』『アシガール』『僕たちがやりました』『真田丸』等。現在、フジテレビドラマ『ナンバMG5』に出演中。

加藤諒主演作 『パタリロ!』〜ファントム〜 上演決定!
2016 年に舞台初演を行い、大好評を博した舞台『パタリロ!』。この度、原作連載 45 周年を記念して、2022 年 9 月にシリーズ第4弾となる、舞台『パタリロ!』〜ファントム〜の上演が決定いたしました。見ればハッピーになること間違いなしの舞台に、どうぞご期待ください!
【東京】2022年9月1日(木)〜11日(日)@天王洲 銀河劇場
【大阪】2022年9月17日(土)〜19日(月・祝)@サンケイホールブリーゼ

この記事のキーワード
この記事をシェア

この記事はいかがでしたか?