「見てうっとり、作って楽しい! 」加藤 諒先生の食品サンプル論
わたしの推し活語ります【後編】お笑い芸人から俳優、ミュージシャン、文化人まで幅広いジャンルの著名人が「今、とくに夢中になっている趣味」をテーマに、まさかと思うような意外な偏愛嗜好について論じます。
第3回の後編は俳優の加藤諒さんに、初心者におすすめの「食品サンプルベスト3」を語っていただきました。
前編はこちらから
おすすめの食品サンプルは?
もしも今、読者のみなさんが少しでも食品サンプルに興味を持ってくれたのならば、一度は作ってみるべきだと思います。「でも食品サンプルって、難しいんじゃない? 時間もかかりそうだし」と心配な方も多いと思うんですが、実はとっても簡単。教室に行ったら1時間くらいでお店に置いてあるようなレベルのものが作れちゃいます。僕はとにかく不器用で、『プレバト!!』というバラエティ番組で「才能なし」をかなりもらっているほどなんです……。そんな僕でもお店で体験して作ると「ここまでのクオリティーのものができるんだ!」と感動したんです。どうぞチャレンジしてみてください!
そこで今回は僕、加藤諒がおすすめする「ぜひ作ってもらいたい食品サンプルベスト3」を発表したいと思います。
まず第3位は、アイスです。
アイスはやっぱりかわいいし、映えるしいいですよね。これはホラン千秋ちゃんにもおすすめしました。ただアイスは作るのがものすごく難しいんです。アイスクリームそのものも難しいんですけど、ワッフルコーンが特に難しくて。丸く平べったいワッフルをお湯で軟らかくして筒状にしていくんですけど、そこで挫折してしまう可能性がありますね。ちなみにホランちゃんがそうでした。
でもアイスを作れようになるといろいろ遊べると思うんです。色味をアレンジすることもできますし、何より食品サンプルならいくつものアイスを重ねられる。とっても夢があると思いませんか? こんなふうに作る人の個性が出せるので、アイスはおすすめです。
そして第2位は、パスタです。
おそらくみなさんが想像する食品サンプルのイメージは「フォークが宙に浮いているスパゲッティ」だと思います(ちなみにあれを僕たちは「フライングフォーク」って呼んでいます)。なんとあれを作れるキットが売っているんです。プラモデルのように簡単に作れるので、初心者の方もぜひ「フライングフォーク」を作ってみてください。テンション上がりますよ!
僕がおすすめする「作ってもらいたい食品サンプル」第1位は、パフェです。
パフェもアイスのように難しく感じるかもしれませんが、こちらは盛り付けをする感じなので、とっても簡単で楽しいんです。僕の家にも作ったパフェが5個くらいあります。
家にある食品サンプル棚です。ここにも作ったパフェが並んでいます。
また、パフェはそれぞれ作った人の個性が出やすいです。以前に事務所の後輩男子2人と僕でパフェを作ったんですけど、出来上がりがぜんぜん違いました。1人はクリームがうまくいかなくてやけになったのか、グチャグチャに混ぜたりしていて食べかけのようなパフェになっていましたね。でもそれはそれで面白いパフェでした。作るなら食品サンプルのお店で体験させてもらうのがいいと思います。先生の教え方も上手ですし、見本もあるのでそれを参考にしながら、「こういうふうに盛り付けしてみようかな」など、イメージも湧くと思います。
羽根つき餃子も、あえて餃子を割って中身を見せると個性が出ます。
おいしそうに見えるだけが食品サンプルではない
後輩の作った「食べかけみたいなパフェ」のときも思ったんですけど、食品サンプルを作っていてアートだなって思うのはそこに時間を感じる、その瞬間を切り取っているかのように見えるときなんです。だから語弊があるかもしれませんが、おいしそうに見えるだけが食品サンプルじゃないなって思うんです。
それこそスパゲッティのフォークが浮いているのもそうですよね。おいしそうに見えるだけじゃなく、食べようとしてスパゲッティをフォークで巻いて口に運ぶその瞬間を、切り取っているんです。「フライングフォーク」を作られた竹内繁春さんはさらに進化されていて、時間だけではなく重力さえ切り取っているんです。
竹内さんが現在作っている食品サンプルは、動きのある超立体サンプルで、サンプルを半分のみ作って、後ろを鏡に映すことによって全体を立体的に見せるような作品なんです。チャーハンが中華鍋から飛び上がっている瞬間を、重力をも超えて見事に表現した作品は、ダイナミックそのもの!
唐突ですが、みなさんは「たこ焼きのおいしい瞬間」って何をイメージされますか? おそらくは出来上がった瞬間の熱々のたこ焼きを想像されると思うんですけど、竹内さんは生地がたこ焼き器に入る瞬間、鉄板と生地が触れあって音がするあの瞬間を、食品サンプルとして切り取っています。
食品サンプルは必ずしも完成した料理を見せるだけじゃないんです。おいしそうに見えるだけが食品サンプルじゃない! って言った理由がおわかりいただけましたでしょうか?
昨今ではカプセルトイで手に入れることができる「おにぎりん具」など、身近になりつつある食品サンプルですが、きっともっといろいろな使い道があるんじゃないかと思っています。僕は食品サンプルを生活の中にも浸透させたいんです。
一つ夢があって。食品サンプルが日常的に使えそうなグッズって何だろう? と考えたときに思い付いたんですけど、「盗難防止シール」として「噛んだ後のガム」っていうシリーズを作りたいと思っているんです!
たとえば「噛んだ後のガム」が自転車のサドルにくっついていたら、座りたくなくなると思いますけど、ビニール傘に貼っておくだけで盗難防止になるんじゃないかなって思っていて、ずっと作ってみたいんです。
ショーウインドーだけじゃなく、日常に必要不可欠な役割のある食品サンプルができる。そんな未来がすぐそこまで来ていると僕は思っています。
加藤 諒
かとう・りょう 10歳のときに『あっぱれさんま大先生』でデビュー。舞台、映画、ドラマ、バラエティーなどで幅広く活躍する俳優。近年の主な出演作は、映画『おそ松さん』『翔んで埼玉』『ギャングース』、舞台『パタリロ!』『人間風車』、ドラマ『ルパンの娘』『アシガール』『僕たちがやりました』『真田丸』等。現在、フジテレビドラマ『ナンバMG5』に出演中。 加藤諒主演作 『パタリロ!』〜ファントム〜 上演決定! 2016 年に舞台初演を行い、大好評を博した舞台『パタリロ!』。この度、原作連載 45 周年を記念して、2022 年 9 月にシリーズ第4弾となる、舞台『パタリロ!』〜ファントム〜の上演が決定いたしました。見ればハッピーになること間違いなしの舞台に、どうぞご期待ください! 【東京】2022年9月1日(木)〜11日(日)@天王洲 銀河劇場 【大阪】2022年9月17日(土)〜19日(月・祝)@サンケイホールブリーゼ