首都圏~東北「割引とお得」を追求した1泊2日ドライブ旅! その結果はいくら?
高速道路乗り放題プランやJAF優待、ウェブ割引を活用してFPがお得度を検証
クルマで長距離移動をするとき、時間短縮のために高速道路を使う人も多いだろう。走行距離が多くなれば、それだけ利用料金も高くなるが、特定の区間においては「乗り放題プラン」が用意されている。今回、ファイナンシャルプランナーの宇野源一氏が、高速道路乗り放題プランを使って行った家族旅行の模様と、通常料金と比べてどれくらいお得になったか、また乗り放題プランはどのような人におすすめなのか紹介する。
ドラ割、速旅、ドライブパス…高速道路の乗り放題プランとは
今回使った高速道路の乗り放題は、ETCの利用限定でNEXCO各社が提供している。地域(会社)によって名称が異なり、東日本は「ドラ割」、中日本は「速旅(はやたび)」、西日本は「ドライブパス」となっている。
このプランは、特定のエリアの高速道路を一定期間(2日間あるいは3日間)定額で利用できるものに加え、首都圏などからの往復+特定エリアの周遊、宿泊やレジャー付きのプランなどがある。原稿を執筆している9月3日時点では、下記地域を対象とした乗り放題プランが提供されている。
・北海道・東北(東北6県、北東北3県、南東北3県)・北関東・千葉・南房総・茨城・栃木・群馬・信州(長野)・新潟・静岡・京都、福井、滋賀・中国地方・関西エリア・四国・九州
上記に加え、2輪車限定のプランも用意されている。
山形県と宮城県を巡る高速道路ドライブ旅に出発!
筆者は何度も乗り放題プランを使ってドライブ旅をしているが、今回は「東北観光フリーパス(首都圏発着南東北周遊プラン)」の2日間プランを利用し、山形県と宮城県を旅行した。
大まかなルートは以下の通りだ。
1日目: 8月22日金曜日
埼玉県(自宅)→山形県山形市→宮城県仙台市
2日目: 8月23日土曜日
宮城県仙台市→宮城県松島町→宮城県蔵王→山形県山形市→埼玉県(自宅)
今回利用した東北観光フリーパスは2日間で税込11,500円、どれくらいお得になったのかも含めて検証する。
立石寺、赤湯からみそラーメン、山形土産…旅行1日目の立ち寄りスポット
今回の旅行は、妻の要望をできるだけ叶えるスケジュールを立てた。計画時点でかなり過密スケジュールだったため、埼玉県南部にある自宅を朝3時45分に出発し、東北自動車道浦和ICに4時すぎに入った。
那須塩原SAで朝食休憩をとり、山形道山形北ICで下車。道の駅天童でトイレ休憩を取ったのち、朝9時30分頃に最初の目的地「立石寺」(山形県山形市)に到着した。
立石寺(山寺)
松尾芭蕉の「閑(しずか)さや 岩にしみ入る 蝉の声」という句を見聞きしたことのある人も多いだろう。その句が詠まれた場所が立石寺である。立石寺は通称「山寺」と呼ばれており、その名のとおり山の中に建立されている。
奥の院へ辿り着くまでに約1,000段の石段を登る、体力にやや自信がないと厳しい場所と言えるだろう。筆者は幼少期に両親に連れられてきたことがある(そうで)、実に30年以上ぶりの来訪となった。
今回、上は小学生、下は3歳までの子供たち3人を連れての来訪。しかも気温35℃を超える猛暑の中での登山となったので水分・塩分・おやつを完備。写真はないが山頂まで適度に休憩場所が用意されているので、都度休憩をしながら約1時間の登山となった。
懸念していた子供達の弱音は一切なく、むしろ疲れの色を見せない子供たちの無尽蔵な体力に感服した。
風の抜ける場所で休憩をしつつ景色を堪能したのちに下山。さすがに3歳の子供は疲れのためおんぶをしたが、1時間ほどで車を止めている駐車場まで戻って来られた。
赤湯からみそラーメン「龍上海」
猛暑の中の登山で汗をかいたため、着替えてから次の目的地へ。妻がかねてから行きたかった、赤湯からみそラーメンのお店「龍上海」へ向かった。龍上海は南陽市の本店以外に山形県内に複数の店舗を構えている。
今回は山寺からも遠くなく、宿泊先のホテルにも行きやすい「医大前支店」(山形県山形市)を選択した。山寺から車で約15km、30分程度で到着。ちょうどランチタイムと重なったため食券を購入してから30分ほど待ったが、席へ案内され10分ほどでラーメンと対面した。
妻はお土産の麺で龍上海のラーメンを食べた経験があるが、実際にお店で食べるのは初めて。「おいしい」と満足した様子だった。子供達は醤油ラーメンを選択。こちらも美味しそうに食べていた。ちなみにこちらの店舗ではお座敷もあり子供用の食器も完備されていて、子連れにも優しいお店だ。
山形県観光物産会館 ぐっと山形
ホテルのチェックインまで時間があったので、山形土産を買いに行こうということになった。龍上海から車で5分程度の場所にある、山形県観光物産会館の「ぐっと山形」(山形県山形市)に向かった。
こちらでは、山形県内陸部の有名な物産が一堂に介しているので、ドライブにおすすめのスポットだ。隣地に「道の駅やまがた蔵王」も併設されており、野菜や果物といった特産物も買える。食事処もあるので、ここですべてが完結するスポットと言えるだろう。
ぐっと山形では、JAF会員限定の特典が用意されている。「税込2,000円以上の買い物とJAF会員証の提示でプレゼント」とレジにあったので、特典のお土産「蔵王そば」をもらった。
店員さんに聞いたところ日によってプレゼントが変わるようで、そば・うどん・そうめんをローテーションしているらしい。我が家にとって麺類(乾麺)はいくらあっても困らないものだったので、大変ありがたかった。
ホテルはオールインクルーシブでお得感アップ! 「秋保温泉 ホテル華乃湯」に宿泊
山形道の山形蔵王ICから高速に乗り、仙台方面へ。仙台川崎ICを降りて秋保温泉へ向かった。ぐっと山形からの所要時間は約1時間だった。
今回宿泊した宿は「秋保温泉 ホテル華乃湯」(宮城県仙台市)。妹夫婦が以前訪れており勧められた宿だ。7月に開催された楽天スーパーセールで予約が取れたため訪問した。
この宿の魅力は「オールインクルーシブ」で、宿泊代以外の追加費用が一切発生しない。チェックイン後すぐにロビーでウェルカムドリンクが用意されていた。アルコールも用意されており、部屋に入る前に早速ビールを堪能する。
部屋に入った後は温泉に入り、夕食へ。夕食はビュッフェスタイル。仙台牛タンや寿司などが用意されていた。アルコールも宿泊料金に含まれているのでいただいた。
夜はラウンジでバータイムと称してソフトドリンクやアルコールが提供され、中庭で焚き火をしていた。写真はないがここで焼きマシュマロができて、バーベキュー体験ができたと子供達も喜んでいた。
松島、蔵王の御釜、最上川の温泉、鳥中華…旅行2日目の立ち寄りスポット
2日目の朝食もビュッフェスタイル。朝から食べ過ぎてしまった……。チェックアウトはのんびり11時まで可能だったが、行きたい場所の予約時間が迫っていたため、9時半ごろホテルを後にした。
ホテルを出発し、東北自動車道仙台南ICから三陸自動車道松島海岸ICまで高速を使い、松島へ向かった。
日本三景「松島」(宮城県松島町)
松島に到着し、家族で遊覧船乗り場へ。事前にウェブ予約しておくと、一番人気の仁王丸コースの乗船料金が大人1名1500円から900円に、小学生以上の子供が750円から650円に割引される。
土曜日ということもあり、船は満員の状態。追加料金を支払うことでグリーン席にアップグレードできたが、こちらも満席だった。
松島仁王尊から名付けられたという仁王島。約1時間の遊覧、子供達も喜んでいた
マリンゲート塩釜「ガネーシャ塩竈店」
せっかくだから松島で海鮮を、と思っていたのだが、あまりに混んでいるために断念。松島から塩釜まで船が出ており、塩釜近辺なら何か美味しいものがあるのでは、と思い向かう。
松島と塩釜を結ぶマリンゲート塩釜(宮城県塩竈市)に到着し、海鮮丼でも食べようかと思っていたのだがこちらも大混雑。子供達が館内案内でインドカレーのお店「ガネーシャ塩竈店」を見つけ、そちらを訪問。塩竈店限定の「シーフードカリーセット」を注文した。
エビなど海鮮がふんだんに入っているカレーは、エビの味噌が入っているようで濃厚、桜エビが入ったナンも美味。「ここまで来てカレー」と思われるかもしれないが、なかなか味わうことのないおいしいカレーだった。
蔵王の御釜(宮城県蔵王町)
カレーを食べた後は一路山形方面へ。仙台東部道路仙台港ICから東北自動車道村田ICを走行し、蔵王エコーラインへ。道中で蔵王ハイラインを通り御釜(おかま)に到着した。時間は15時を過ぎたところだったが多くの観光客がいた。クルマを止めてから歩いて5分程度で火山湖の御釜が見られる。
御釜は自然が作った絶景を堪能できるスポットだ。ただし、蔵王エコーラインと、御釜へと続く蔵王ハイラインは冬季(11月初旬〜4月下旬)通行止めとなっているので、訪問時は要注意だ。
山形駅でお土産を購入
御釜を出て蔵王エコーラインを下り山形県に再訪。山形県内で購入できる場所が限られる清川屋のスイーツ「ほわいとぱりろーる」を買うために山形駅へ向かう。
「ほわいとぱりろーる」は凍った状態で販売されている。保冷剤と保冷バッグも用意されているが、移動距離が長い人はさらに保冷剤を用意しておくと安心だ。テレビなどでも何度も紹介されており、お取り寄せも可能なので興味のある方は調べていただきたい。
鳥中華発祥のお店「水車生そば」(山形県天童市)
今回の旅行の締めくくりに選択したのが、天童市にある水車生(すいしゃき)そばの「鳥中華」だ。山形県はラーメンの消費量が多い県として知られているが、そのなかでも鳥中華は「老舗そば屋のまかない」が発祥と言われている。
和風のつゆで作られたラーメンは、他では味わうことのできないうま味がある。鳥中華自体は県内の多くのお店にあるが、発祥と言われる店で食べるということも楽しみのひとつだ。
天童最上川温泉 ゆぴあ(山形県天童市)
鳥中華を食べたあと、帰路に着く前に温泉に入った。水車生そばから車で約20分のところにある「ゆぴあ」は、地元の人たちに愛されている温浴施設とのこと。入浴料が大人350円、小学生100円とリーズナブルという点がありがたい。
温泉は源泉掛け流しで、疲労回復に効果があるようだ。ちなみに、ここで食事をした場合、JAF会員優待でミニソフトクリ−ムが1つもらえる。
風呂に入った後、21時半ごろに山形を出発。山形北インターから山形道、東北道を経て埼玉県へ向かった。道中家族は寝ていたので休憩はトイレの小休止など2回。自宅に到着したのは午前2時前だった。
今回の旅行の総走行距離は1,050km。走行距離と訪問した件数から考えると2泊3日でも良かったのではないかと感じられるが、思ったほど疲れない、のんびりとした旅だった。
結果発表! トータルで12,100円もお得に!
高速道路の利用料金:5,020円お得
今回の旅行では、平日1日と休日1日の旅だったため、乗り放題プランを使わない場合は、休日割引が1日だけ使える。そのため乗り放題プランを使わない場合の料金は合計で16,520円に割引されるが、東北観光フリーパスは2日間で税込11,500円なので、5,020円もお得に高速道路を利用できた。
もし初日の浦和インター進入(通過)が午前4時より前だった場合は深夜割引が適用され、通行料金が5,600円となる。その場合でも14,120円なので、乗り放題プランの方がお得ということがわかる。
ちなみに利用日がいずれも平日だった場合の合計は19,750円なので、約半額で利用できたことになる。詳しくは以下の表にまとめてあるので確認してほしい。
日時 | 乗り放題プランを利用した区間 | 同一行程で乗り放題プランを使わない場合の料金 | (参考)通常価格 |
8月22日(金) | 浦和〜山形北 | 8,000円 | 同左 |
山形蔵王〜宮城川崎 | 950円 | 同左 | |
8月23日(土) | 仙台南〜松島海岸 | 1,020円(休日割引) | 1,450円 |
仙台港〜村田 | 950円(休日割引) | 1,350円 | |
山形北〜浦和 | 5,600円(深夜割引) | 8,000円 | |
合計 | 11,500円 | 16,520円 | 19,750円 |
ホテル代と観光料金: 7,140円
宿泊したホテルは楽天トラベルで予約した。宿泊費用は58,400円(大人2名48,400円、小学生5,000円、未就学2名5,000円)だったが、楽天スーパーセールによる10%値引きで5,840円お得だった。
観光では松島遊覧船がウェブ割引で大人600円引き×2名、小学生100円引きとなり、総額1,300円お得だった。
最終的に今回の旅行ではトータルで12,100円もお得になった。
JAF優待を使うとドライブ旅行が「もっとお得」になる
今回の行程では、条件からJAF会員優待が使えたのは「ぐっと山形」でのお買い物時だけだったが、JAF優待をフルに使う旅を計画したらさまざまな恩恵を受けられるだろう。
JAF優待は買い物時の優待やレジャー施設の割引、レストランでのドリンクサービスなど多岐にわたる。ガソリンスタンドによってはJAF優待でガソリンの割引も受けられるので、会員なら積極的に利用するといい。
高速道路乗り放題プランの「ちょっとした裏ワザ」
筆者は今回早朝出発、深夜帰宅というややハードなスケジュールで旅行した。利用期間は「お申込みされた利用期間内に、入口料金所または出口料金所のいずれかを通過しているかで判定」される。今回のように8月23日の23時59分までに高速道路の料金所(ETCレーン)を通過すればOKということになる。
帰宅が深夜になるのであまりおすすめはしないが、制度上は利用期間内ギリギリまで遊んで、休憩や仮眠を取りながらのんびり帰る、ということも可能だ。
※ご利用前に優待内容や利用方法等の詳細をJAFナビ
でご確認ください。
※施設の休日・営業時間・優待適用時期等は、各ウェブサイトまたはJAFナビでご確認ください。
※写真はイメージです。
※会員優待サービスは各提携先から提供しています。
※掲載内容は諸事情により予告なしに変更・中止になる事があります。
※掲載内容は、2025年9月3日現在のものです。

宇野源一
うの・げんいち 大学卒業後、大手メーカー系自動車ディーラーに就職。その後、金融業界の業務・教育支援を行う会社に転職し、法人営業に従事しながら、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP資格を取得。2018年よりライターとしても活動。FP視点でのカーライフを提案することが得意。
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