昭和の面影を残すバス停5選! 時が止まったままの鄙びた空間へ
山口・周防大島の青い海から長崎・軍艦島の夕景まで。岩手、長野、奈良などの『昭和』を縦断するドライブ記昭和時代、全国各地にバス路線網が張り巡らされました。数え切れないほどの停留所が誕生し、時を経て新しいデザインに刷新された箇所や、路線ごと廃止されてしまった箇所もあり、「バス停」と一口に言っても、その姿形は実にさまざまです 。今回は鄙(ひな)びた停留所をテーマに、5か所をドライブしてきました。
ソロドライブをしたのは
栗原悠人さん(一人旅研究会)
くりはら・ゆうと 旅情・郷愁探訪家。1995年生まれ。旅情と郷愁を求め、日本全国のひなび空間・退廃的空間・秘境・温泉などを巡る。撮影した写真や動画を一人旅研究会 ウェブサイトやX、YouTube等で紹介している。著書に『ノスタルジック写真集』(マール社)など。
1. 山口県・周防大島町 / 総合庁舎前停留所…青春アニメに出てきそうな海辺の停留所
周防大島の海岸通り
奥には青い空と海
堤防から案内看板が生えている
付近の様子。山口ならではの黄色いガードレールがある
瀬戸内海に浮かぶ周防(すおう)大島。島の外周に防長(ぼうちょう)交通のバス停が多くあります。島内では、背後に海が広がる郷愁を感じさせる景色をいくつも楽しむことができ、なかでも青いベンチが置かれた総合庁舎前停留所が見せる景色は圧巻です。堤防から「にゅっ」と生えたかのように見える案内看板がかわいらしいです。晴れ渡る空、ずーっと向こうで海と空の青が溶け合う風景……。入道雲やラムネも似合いそうです。青春アニメや映画のワンシーンが思い浮かぶようなエモーショナルな景色です。
山口県 / 総合庁舎前停留所のマップ
2. 岩手県・奥州市前沢 / 塔ヶ崎停留所…昭和の空気を今に伝える木造鄙び停留所
外観
正面から
左には消火器と周辺地図
壁には広告がぎっしり
岩手県交通一関前沢線の塔ヶ崎停留所。私が初めて停留所を「旅の目的地」として訪れた思い出深い場所です 。1955年4月に設置され、壁面には、付近のお店の広告がずらりと並んでいます。文字が手書きであることに温かみを感じます。近くにはコンビニや給油所、クリーニング店など現役の商店が並ぶなか、このバス停だけは、まるで時が止まったかのような、どこか違う時間軸にひっそりと存在しているかのような雰囲気です。
岩手県 / 塔ヶ崎停留所のマップ
3. 奈良県・五條市西吉野町 / 上茄子原(かみなすはら)停留所…ザ・昭和な風景に溶け込む奈良県山間部の停留所
周辺の様子
ノスタルジックな雰囲気が漂う
商店の正面から
昔はここでバスの切符が買えたらしい
たばこ売り場跡
奈良県南西部に位置する五條市ではコミュニティバスが運行され、市街地から山間部まで市民の生活を支えています。その沿線にある上茄子原停留所は、昭和の香りを強く残す商店の軒先がそのまま待合スペースとなっており、傾きかけた瓦屋根と小さな郵便ポストがノスタルジックな空気をさらに強めています。ドライブ中に偶然見つけたのですが、普段の旅程では見逃してしまいそうな空間と出会えるのも、ローカル旅の神髄だと思います。
奈良県 / 上茄子原停留所のマップ
4. 長野県・上田市下之条 / 常福寺停留所…限界が近づきながらも地域を見守る停留所
バス停の全体像
地元企業の広告
壁の一部は穴が開いている
椅子も崩れている
向こうの自販機スペースに愛車を止めてぱしゃり
長野県上田市の下之条地区にある、コミュニティバスの停留所です。圧倒的な鄙び感を放つ外観に、思わず二度見してしまうでしょう。外壁の一部や椅子が崩れてしまっています。コミュニティバスは地域の人々の足として今も使われていますが、週2日のみの運行で、運行日であったとしても1日2便しかありません。利用頻度が少ないため、特段の修繕はされていないのかもしれません。そんな状態でも、地域を見守るけなげな姿に、「頑張ってね」と応援したくなります。
長野県 / 常福寺停留所のマップ
5. 長崎県・長崎市南越町 / 南越(なんごし)停留所…トワイライトが似合う絶景停留所
正面
壁がスケルトンですてき
すてきな色をした空
奥に軍艦島が見える
望遠レンズで軍艦島を撮影
長崎バスの停留所のひとつ、南越停留所は、長崎半島の先端付近にあります。一日の中でもほんの30分ほどしかないトワイライトの時間帯(日没の約20分後から50分後までの薄暮の時間帯)に行くと、あかね色から青紫色へと移りゆく、絵画のような色の空に溶け込む停留所の姿が見られます。海の向こうには、炭鉱で栄え、世界文化遺産に登録された端島(はしま。軍艦のように見えることから「軍艦島」とも呼ばれます)を望むこともできます。
長崎県 / 南越停留所のマップ
鄙び停留所のもつ味には訪れる価値がある
全国には、このような停留所が各地に残っています。一方で都市部では、側面のサイネージに次のバスの時刻が表示され、道路側の壁がガラスで覆われた近代的な停留所をよく見かけます。そういった先進的なものも美しいですが、アナログな表示や木材が経年変化して増す「鄙び」による「わびさび」を持つ風景も、日本が持つ一つの美しさの形だと思います。いつまでも残り続けてほしい風景です。
ソロドライブ探訪裏ばなし
静かな暗闇に浮かぶ「休憩スポット」を見逃すな!
みなさんはドライブ中、どこで休憩することが多いですか? 道の駅やコンビニ、偶然通りかかった展望駐車場……探してみると結構ありますよね! 個人的に好きなのは、自販機と公衆電話を備えた道路の脇に広めに取られたスペース。夜、このような場所で飲み物を買うとき、子供の頃に想像していた「大人」を演じているような気がして、ひとり、ロマンチックな気分になるのです。
山形県蔵王温泉街付近。自販機と公衆電話
島根県有福(ありふく)温泉付近。並ぶ自販機
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