視界を遮るもののない広大な笹原とシラカバの緑のなか、稜線に沿って緩やかに弧を描く上信スカイライン。正面には北信五岳や北アルプスへと続く山脈の大パノラマが広がっている
写真1 視界を遮るもののない広大な笹原とシラカバの緑のなか、稜線に沿って緩やかに弧を描く上信スカイライン。正面には北信五岳や北アルプスへと続く山脈の大パノラマが広がっている

上信スカイライン(群馬県、長野県)。荒々しい岩肌と吹き抜ける風、空にいちばん近い荒野が広がる雲上ルート

絶景写真の専門家が、厳選したドライブコースをお届け
須藤英一

上信スカイラインは、群馬県と長野県の県境、標高2,000m近い尾根伝いを走る屈指の山岳道路。厳しい自然の中で木材や物資を運ぶために切り開かれ、戦後は観光道路として有名になった。現在は、荒涼とした「最果ての絶景」を楽しめ、乗り物好きにとって特別な聖地に。四季折々で輝く絶景に出会えるドライブコースを、日本の隅々まで走り尽くした写真家の須藤英一さんが紹介。

目次

標高1,800mの絶景露天から、天空の快走路へ

ALT 「群馬県嬬恋(つまごい)村」の標識が立つ、まさに県境の尾根伝いを行く高山帯特有のセクション。ここから毛無峠への分岐へと道は続く

写真2 「群馬県嬬恋(つまごい)村」の標識が立つ、まさに県境の尾根伝いを行く高山帯特有のセクション。ここから毛無峠への分岐へと道は続く

万座温泉から高山村へ向かう長野県道・群馬県道466号と群馬県道・長野県道112号が上信スカイラインになる。万座温泉は群馬県の標高1,800mにある日本最高レベルの濃厚な酸性硫黄泉と乳白色の湯が特徴で、露天風呂からは大自然のパノラマを楽しめる。中心部の外れにある「空吹(からぶき)」と呼ばれる水蒸気を含んだ硫化水素ガスの噴出口は万座温泉の名物である。

ALT 視界いっぱいに広がる鮮烈なスカイブルーと秋の気配を感じる筋雲に向かって、まるで空へと飛び出していくかのようなダイナミックな高度感を体感できる

写真3 視界いっぱいに広がる鮮烈なスカイブルーと秋の気配を感じる筋雲に向かって、まるで空へと飛び出していくかのようなダイナミックな高度感を体感できる

静寂と絶景が織り成す上信スカイライン&毛無峠ルート

こんな万座温泉から走り出すと、周辺は森林限界に近い高山帯で背の低いハイマツなどが広がる。すぐに視界が開けとても空が近いと感じる。晴れていれば遠くの山々が幾重にも重なり、まさに天空の回廊を走っている気持ちになる。道幅は広くはないが、すれ違う車も少なく、自然の音を感じながら走れるのもこのルートの魅力だろう。自然の雄大さと山岳道路の醍醐味を同時に味わえる道だ。

ALT 上信スカイラインから分岐した先、草木すらまばらな荒々しい岩肌を見せる破風岳(はふだけ)の麓に広がる毛無峠周辺。かつて小串硫黄鉱山として栄えた歴史を持ち、現在では日常を忘れさせる「世界の果て」のような独特の雰囲気がある

写真4 上信スカイラインから分岐した先、草木すらまばらな荒々しい岩肌を見せる破風岳(はふだけ)の麓に広がる毛無峠周辺。かつて小串硫黄鉱山として栄えた歴史を持ち、現在では日常を忘れさせる「世界の果て」のような独特の雰囲気がある

ALT 道中にひっそりと佇む、木の温もりあふれるあずまやが整備された展望パーキング。どこまでも幾重にも重なる、奥信濃の山稜をのんびりと見渡すことができる休憩スポットだ

写真5 道中にひっそりと佇む、木の温もりあふれるあずまやが整備された展望パーキング。どこまでも幾重にも重なる、奥信濃の山稜をのんびりと見渡すことができる休憩スポットだ

途中で左折して毛無峠へ向かってみよう。毛無峠はかつての小串硫黄鉱山跡地であり、荒涼とした風景や錆びた鉄塔が続く絶景スポットとして知られる。樹木が少なく火山性の荒涼とした大地が広がる。視界を遮るものがほとんどなく、風の音だけが響く静寂の世界で車を停めると、どこまでも続く空の広がりに包まれる。県道112号に戻りさらに西へ向かうと道はタイトなカーブが連続し里へ下りていく。


上信スカイライン データ

上信スカイラインへのアクセスは、関越自動車道・渋川伊香保ICから国道353号と国道145号を経由し、万座ハイウェーまたは志賀草津道路、国道292号を経由し万座温泉から入る。白根山の火山活動による通行規制や夜間通行止めが実施されることがあるため、事前の情報確認が必須だ。

本内容は、須藤氏が撮影したときの情報を基に編集しています。詳細については、お出かけ前に最新の情報をご確認ください。

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日本遺産 とは、文化庁が地域の歴史的魅力や特色を通して、我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」として認定する制度です。

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須藤英一

1956年東京生まれ。アバコ撮影スタジオを経て1981年フリーカメラマンに。1985年から雑誌『アウトライダー』でツーリング写真の撮影を開始。以来、日本の道や風景をテーマにした写真を撮り続けている。『秋冬色の風景ドライブ―絶景の道を求めて』(2009年/JAF出版社)、『新・日本百名道』(2014年/大泉書店)など著書多数。 日本の絶景・Japan Beautiful Landscape

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